副業解禁企業の人事が語る、副業のリアル。トークブースセッションレポート

副業解禁企業の人事が語る、副業のリアル。トークブースセッションレポート
副業イベント『【#アタラシイ時間】ドーナツを食べながら「副業」について考える!?~輪になって対話しよう!』にておこなわれたトークブースセッションの模様をご紹介します。副業を推奨している2つの企業のブースでは、どのような背景で副業を解禁したのか、そして解禁することによって起きた変化はあるのか、参加者からの質問を中心にお話いただきました。
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トークブースセッション「5つのテーマで話せる、副業相談トークブース」

7月3日に開催された副業について考えるイベント『【#アタラシイ時間】ドーナツを食べながら「副業」について考える!?~輪になって対話しよう!~』から、トークブースセッションの様子を前編・後編に分けてお届けします。

5つのテーマを設けたトークブースセッションは、3つの副業者ブースと2つの副業解禁企業ブースとなり、(1)解禁したて企業、(2)成功している解禁企業ブース、(3)副業解禁企業者、(4)副業未解禁企業者、(5)副業解禁企業経営者と5つのテーマで構成されました。

本稿では前編、副業を推奨している企業として『(1)解禁したて企業:株式会社新生銀行 中尾 陽平 氏』『(2)成功している解禁企業ブース:ソフトバンク株式会社 石田 恵一 氏』の2つのブースの模様をご紹介します。

2社がどのような背景で副業を解禁したのか、そして解禁することによって起きた変化はあるのか。参加者からは、副業解禁を推進した両名に副業解禁企業のリアルに迫る質問が寄せられました。

■会場協賛:The Millennials Shibuya(運営:株式会社グローバルエージェンツ)
『世の中に新しい価値を生み出し文化を創る企業。未来が見える​宿泊体験。暮らす・泊まる・働く・遊ぶ テクノロジーが進化し全ての境界線がなくなっていく時代 暮らすように泊まり 遊ぶように働き 働きながら旅する ここはそんな未来のライフスタイルを切り開く世代のためのホテル』をコンセプトにしたホテルや、ソーシャルアパートメント、ホテル、カフェなど様々なライフスタイル事業を手掛ける。

解禁したて企業ブース:中尾 陽平 氏(株式会社新生銀行)

中尾 陽平
株式会社新生銀行
グループ人事部 マネージャー

1980年岡山県生まれ。東京工業大学大学院卒(2006年)。新生銀行の企業再生チームでキャリアをスタート。その後ベンチャー企業の支援業務、プライベートエクイティ業務に従事した後、現在、グループ人事部の人事戦略担当に所属。やってみたい副業はアプリ開発。

<自己紹介>
中尾 陽平 氏(新生銀行:以下、中尾):はじめまして。新生銀行の中尾陽平と申します。人事の部署で、人事政策の企画を担当しております。

副業解禁に至った背景は、皆さんご存じのとおり働き方改革というものが始まっている中で、ひとつ大きなテーマになっていました。

では、消極的に解禁したのかと問われるとそうではなくて、もともと新生銀行には多様な人材が増えているという土壌があった。

いま、全体の半分ぐらいが中途入社の社員ですが、新しい風が入ってくることに対してあまり抵抗がなかったのでメリットを得られやすいと考えています。

副業解禁にあたり考えたことは、よく言われる三つの問題点です。ひとつは情報流出という問題。それから、副業先での利益相反と、競業避止ですね。

基本的に情報流出の問題は、(副業とは)別の問題と切り分けています。というのも、情報管理は別に副業をしたから問題になるということではなく、流出リスクはそもそもきちんと管理しなくてはならない。副業解禁云々の問題ではないだろうと整理しています。 

利益相反や競業避止というものについては、申請時に判断すればよいことです。

それから、解禁のメリットについてもお話します。組織の縦割りに起因する問題、いわゆる「たこつぼ化」の問題がどこの組織でもあるのだろうと思いますが、会社の中の風通しを良くする効果と言いますか、、副業を解禁すれば何か新しい風が吹いてくる、いわゆる新陳代謝がよくなったり、活性化ができたりするのではないかと考え、解禁に踏み切りました。

そのあとの変化について、まさに今年の4月に解禁したばかりで、解禁直後に20名ぐらいの申請がありました。もともと関心があった人が社内にもいたんだな、と改めて感じた次第です。

参加者1:副業をはじめる際は、申請が必要になるのでしょうか?

中尾:副業かどうかわからないものもきちんと申請してもらうために、副業に関するルールを整備したということですね。

副業にあたるかどうかわからないものについて、不安に思いながら逡巡している方もいらっしゃったんですが、制度に基づいて申請すれば認められることが多いので安心して取り組んでいただけるようになりました。

参加者2:副業を認める前と、認めたあとでは、会社の雰囲気は変わりましたか。

中尾:正直に申し上げて、人事部の中で副業している者がいないので変わったかどうか実感しづらいところではあります。しかし、「変わったね」と言ってもらえることは多くなったなと思います。これは外部の方から言っていただくこともありますし、社内でもそう感じている社員は少なくないと思います。

もともと副業をやりたいという方は高いモチベーションを持った人が多く、自分のやりたいことを実現できているということに対して、喜びだったり日々の活力にもなったりすることで、良い影響が出てきたなということはあると思います。

参加者3:今回、副業を申請された人たちの年齢層って、どれぐらいの人が多いんですか。

中尾:様々です。仕事に余裕が出てきた世代で10年ほど仕事とは別に趣味でやっていたものを、お金に換えることで自己実現を形にしたい、といった内容で検討している社員もいます。

参加者4:逆に、副業をOKにしたことで、すごく副業に一生懸命になってしまって本業に身が入らなくなってきたなどの報告はありますか。

中尾:案外、そういう話が多くはなかったというのも、ひとつの気づきです。冒頭に申し上げたとおり、中途で入社している社員が多いので、自社の中に籠らずに、もっと外を見てこいというような風土はあるかなと思います。

<成功している解禁企業ブース:石田 恵一 氏(ソフトバンク株式会社)

石田 恵一
ソフトバンク株式会社
人事本部 人事企画部 労務厚生企画課 課長

元公務員。2008年にソフトバンク株式会社の子会社であるSBアットワーク株式会社へ入社し、2010年よりソフトバンク株式会社の人事部門所属。組織人事(HRビジネスパートナー)担当を経験後、人事企画部へ。2017年より人事企画部 労務厚生企画課長。人事制度の策定、運用とあわせて、働き方改革の推進やLGBT支援などを担当。

<自己紹介>
石田 恵一 氏(ソフトバンク:以下、石田):ソフトバンク 人事本部の石田と申します。どうぞよろしくお願いします。

当社は、昨年11月に副業を解禁しました。まず、副業解禁に至った背景ですが、今のソフトバンクの状況としては、ご存知のとおり、通信業界は競争環境が厳しくなっているというのがひとつ。もうひとつが、通信業界自体が成熟した市場になってきているというのがあります。

このような環境の中、当社としては、よりイノベーションを起こしながら、新しいことに取り組んでいかなければならないと考えています。働き方改革という流れの中で、もっとイノベーションが起きやすい会社に変えていこうという取り組みをしていまして、その打ち手のひとつとして副業解禁をしたというのが経緯になります。

イノベーションが起きるときというのはいろいろあると思うのですが、ひとつには、既存知と既存知のかけ合わせが起きたときに、はじめてイノベーションが起きると言われています。

既存知というのは、自分で知っている知識と、別の人が知っている知識という意味なんですが、まさに、ソフトバンクの社内にある知識と、社外で副業する社員が得てくる知識、ほかの既存知がかけ合わされることでイノベーションが発揮されて、本業にプラスアルファがあるんじゃないかなというところが、一番の理由になっています。

どんな小さいことでもいいので、本業に持って帰ってもらって、還元してほしいというのが、社員に伝えているメッセージです。

副業を解禁してからの変化ですと、11月から申請を受け付けて承認をしているのが大体300人ぐらい。もっと副業のメリットや、どういうふうに取り組めばいいのかというのを、人事が中心となって落とし込んでいかなきゃいけないなと思っています。

ただ、副業をしている社員からアンケートを取ると、かなりポジティブな声が多いです。副業できないんだったら辞めようかなと思っていた社員をリテンションできたりとか、社員の挑戦を後押しできたりとか、全体の社員数からみれば副業をしている社員のパーセンテージは低いですが、やっている社員に対しては、結構響いているかなというのが、人事担当者の所感です。

副業解禁にあたり、効果的だったと思う行動なんですが、これは副業だけに当てはまるわけではありませんが、経営陣にトライアンドエラーでやることを理解してもらっています。やらないよりはまずやってみる。懸念があっても、うまくいかなかったら直せばよい、という考え方です。

給与などのお金にかかわる部分だとなかなか難しいですが、人事制度であれば、やり方をちょっと変えるとか、ルールを少し変えるみたいなのは、制度の中で柔軟にできる部分だと思っています。

そのため、まずはやらせてほしいと。問題が起きたら、ちゃんと直していくのでやらせてくださいということで、了解を得たというのが効果的だったかなと思うところです。

参加者1:社員のうち300人に副業が許可された裏に、どれぐらいの方が実際には申請されたのでしょうか?

石田:当社の場合は、申請を受けて却下した件数というのは、本当に数%ですね。90%以上は許可しています。

参加者2:申請が来た中で、どんな副業が多かったなど、印象に残っている副業はありますか? また、イノベーションを起こすためや、いろいろな背景があるというお話でしたが、副業を紹介したり、活性化するような施策をおこなっているのでしょうか?

石田:申請が来たなかで、一番多いのは講師です。どこの企業でもそうだと思うのですが、社会人として何年も続けていると専門性が養われていくので、そういった部分を活かして講師などをやっている社員が比較的多いです。あとはヨガやボクシングなどのインストラクター、知人の企業の手伝いですね。

活性化施策という部分では、現状ではそこまでやれていないというところです。副業社員の活動を社内イントラで公開するなどはしていますが、社員の声としてのニーズもあるので、そこはもう少しやっていきたいなと思っています。ただし、人事としては全社員が副業に取り組むよう推進しているわけではなく、社員の選択肢の一つとして制度を設けています。

参加者3:副業解禁にあたり、準備期間はどのぐらい用意されたのでしょうか? また、定量的な効果測定はされていますか?

石田:準備期間はそこまでかかっていません。理由は「副業解禁」と言われてはいますが、親族の会社を手伝いたいとか、不動産管理のために法人を設立したい、というようなものは以前からあり、個別で承認していました。プラスアルファで、数は少ないものの講師などをいくつか個別に承認しているケースがあったので、そこをベースに少し変えただけなんです。

効果測定に関して、どれだけイノベーションを発揮できたかを定量的に計ることはやはり難しいなと思っています。副業だけでなくていくつか働き方改革の施策をやっていますが、人事の施策はなかなか定量的に測りづらい。

そのため、当社は本人の主観で回答してもらったアンケートの結果を指標としています。社員が主観でどう思っているか、ということもやはりすごく大切なんだろうなと思っていまして、現在はこういった測り方をしています。

参加者4:副業を解禁したことで会社の雰囲気が変わったなどはありますか?

石田:副業をやっている社員はまだ少数なので、会社の雰囲気がそれで変わりましたかというと、そこまでではありません。ただ、そういうことに取り組む会社なんだねというのは、メディアで取り上げていただいたところもあって、社員には刺さってきたように感じます。人事の取組みに関してポジティブな感情を持ってくれる社員が増えたかなというのはあります。

人事が制度を作って社内で通達を出したりしても、社員はそんなに見てくれなかったりすると思うんですよね。でも、やはりメディアに出ると家族や友人からその話をされて、それで理解が深まったり、みたいなこともあります。そういう意味で、いいサイクルが今回まわったかなと思います。

※後編:「副業解禁の波をうけ、副業実践者は今なにを思うのか? トークブースセッションレポート」に続きます

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