業務委託と派遣の違いってなんだか知ってる?

業務委託と派遣の違いってなんだか知ってる?
自分が立場にならないとわからない、それどころか自分の雇用形態が変わってもなかなかなかなか調べることのない「業務委託」と「派遣」。この2つについて、改めて調べてみました。違いを知った上で、自分に合う働き方を選びたいですね。
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聞きなれない「業務委託」とはどういうこと?

フリーランス仲間との会話で「最近、あの会社と業務委託契約を結んでさあ……」と小耳に挟んだAさん。「業務委託」という言葉を聞くのははじめてです。「業務」を「委託」されるんだろうということは想像がついても、細かいところまではわかりません。

じゃあ、私がデザイナーとしてホームページをつくるというB社の仕事を請けているのも「業務委託」って言っていいのかな? と思ったAさんは、業務委託について調べてみることにしました。

さまざまなサイトで調べた結果、業務委託とは企業に雇われることなく、あくまで個人として、企業の仕事をする働き方だと知ったAさん。どんな内容の仕事を、いつまでに、いくらで、どんな形で完了させるかを、仕事ひとつひとつについて契約を結んで働くのです。

Aさんは「私も業務委託でB社の仕事をしてるんだ」と仲間に話しましたが、そこでベテランのフリーランス仲間のCさんが「もっとよく調べたほうがいいよ」と進言してくれました。なんでも、Cさんによると、業務委託には「請負契約」と「委任契約」の2つの契約形態があるそうなのです。Aさんは、業務委託について、Cさんにもっと詳しく教えてもらうことにしました。

「業務委託契約」は存在しない!「請負契約」って何?

「まずね、厳密に言うと、業務委託契約という契約は存在しないんだよ」とCさんに言われたAさんはびっくり。「じゃあ、仲間が言っていた『業務委託契約を結んだ』というのはどういうこと?」と思いましたが、Cさんによれば、業務委託には「請負契約」と「委託契約」という2種類があり、それをまとめて「業務委託」と呼んでいるとのことなのです。

「それなら、あの人の言っていた契約はどっちに当てはまるのかな? 私の契約はどうなのかな」と、Cさんに説明を求めました。「請負契約というのは、仕事の完成を目的としているんだよ。だから、仕事の結果に対して報酬が支払われる。

大工さんが家を建てればその分の料金を支払うけど、もし施工ミスがあったりしたら当然そこは直すよね? 『家を建てる』という仕事の完成を目指しているから、結果が問われるのが特徴なんだよ」という説明を受けたAさん、わかるようなわからないような感覚です。

「委託契約」について教えてもらえば違いがよくわかるかと、次は委託契約について質問することにしました。

もうひとつの契約形態、「委託契約」とは?

「それなら、『委託契約』っていうのはどういうことなんですか?」と尋ねたAさんに対して、Cさんはこんなふうに答えてくれました。

「業務を遂行することに対して責任を負うのが委託契約で、結果だけを目的としたものじゃないんだ。この点が請負契約と異なるところだね。委託された仕事を完了すれば、成果は問われない。事務や秘書業務、受付のように、明確な成果物や納品物がないものについては委託契約を交わすんだ」。

なるほど、結果に対しての報酬か、行為に対しての報酬かを考えるとわかりやすくなりました。「委託契約は契約解除に制限はありません。請負契約については結果に対して契約を結ぶという性質上、発注する側にも受注する側にも契約を解除するためには条件があります。そのため、契約を結ぶときには十分に気をつけて」と言われたAさん。

周りの友達に派遣として働いている人も多いAさんは、派遣契約についても調べてみることにしました。

派遣契約は業務委託と何が違うの?

Aさんが派遣契約について知っているのは、実際に派遣されて働く企業と派遣される人の間に雇用契約がないということだけ。それなら派遣会社と派遣される人の間柄はどうなっているかを調べたところ、雇用関係が存在することがわかりました。

また、派遣契約に基づき、労働者は派遣先の企業から指揮命令を受け、それに従って働くのだそう。これは、雇用関係を結ばずに働く業務委託という働き方とはまったく異なる点。

そういえば、友達のDさんは「今度転勤してきた営業所の所長の指示がわかりやすくて、前よりも仕事がしやすくなった」って言ってたなあと思い出したAさん。自分の働き方の指揮系統の違いに気づいたようです。

そしてさらに、「私はどの会社とも雇用関係にないし、ホームページをつくったことで報酬をいただいているから、契約は請負契約になるんだ」と、自分の契約がどうなっているかを改めて理解することができました。

「でも、派遣契約だったら雇用されているという利点があるけど、業務委託のメリットは何だろう?」と疑問に思ったAさんは、業務委託のメリットとデメリットについて、さらに調べはじめました。

業務委託のメリットとデメリットを知った上で働こう

まず業務委託のメリットとして挙げられるのは、自分の得意な分野だけを仕事をして行なえること。デザインを考えたりコーディングをしたりするのは得意なAさんですが、実は書類作成などの事務がとても苦手。

会社員として働いていたときは、いくら専門職とはいえ、ある程度の事務作業からは逃れられず、いつも総務の人に注意を受けていたのを思い出しました。「それに比べたら、今は好きなだけデザインやコーディングをしていられるから、とっても気が楽になったなあ」と思っています。

今は時間や場所を制限されることがないので、平日でも何日か休みにして旅行に行ったり、その分、夜中に一気に仕事を仕上げたりという融通を利かせることもできます。「その代わり、仕事がないこともあるし、将来の保障もないから、自分の身は自分で守らなきゃいけないよね」と感じているAさん。

「その人に合った働き方は、できることや性格によっても違うけど、私は今の生活が気に入っているなあ」と思えるAさんは、意識せずとも自分に適した働き方をしていたよう。派遣と業務委託の違いを知り、さらに契約の種類についても知識を持った上で、自分が心地よく働ける環境をつくっていきたいですね。

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