進化するフリーランスの未来 ~フリーランス実態調査2018~

進化するフリーランスの未来 ~フリーランス実態調査2018~
先日4月4日(水)に多数のメディア関係者をお招きし、発表された「フリーランス実態調査2018」の模様をお伝えします。2015年より毎年、弊社がおこなっている「フリーランス実態調査」。調査開始から4年が経ち、フリーランスを取り巻く環境はどのように変化してきたのでしょうか。「働き方改革」「副業元年」と叫ばれる現在の実状を、弊社取締役 曽根秀晶が報告します。
LANCER SCORE
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フリーランス人口は23%増、経済規模は41%増。実態調査から見る4年間の変化

<今回の調査:『進化するフリーランスの未来』>

■ 調査時期:
    2018年2月13日~15日(※昨年は2017年2月14日~18日)

■ 調査対象:
    過去12カ月に仕事の対価として報酬を得た全国の20~69歳男女

■ 調査方法:
    株式会社マクロミルによるオンライン調査

■ 有効回答数:
    3,096人(うち、フリーランスは1,550人)

Survey on actual condition1

曽根:まずはフリーランスの規模についてお話させていただきます。調査概要といたしましては、20歳以上のうち、本業の他に何かしらの報酬を得られている方を「広義のフリーランス」、収入源が本業のみの方を「ノン・フリーランス」と呼ばせていただいております。

結論から申し上げますと、広義のフリーランスが2015年の913万人から2018年は1,119万人と4年間で約23%の増加。経済規模で14.3兆円から20.1兆円と約41%の増加が見られています。日本の労働系KPIが軒並み右肩下がりの中、このフリーランスの経済規模20兆円は、総給与支払額200兆円の10%となり、決して無視できない規模となってきたと思っています。

一方、前年比でいいますと特徴的なのはフリーランス人口の横ばい。2017年は1,122万人でしたので微減ととらえることができます。これは、新しい時代の働き方である「副業」のフリーランスは増えている一方で、いわゆる自営業のフリーランスは減少し、ノン・フリーランスに戻るような雇用形態の流動化が進んでいると考えられます。

Survey on actual condition2

曽根:次にアメリカとの比較を述べさせていただきます。日本のフリーランス人口は、全労働力人口の17%。一方、アメリカは35%となっており、3人に1人が広義のフリーランスという実態です。つまり、労働力人口ベースでは、日本はアメリカの約半分の比率であると考えてください。

ただ、2015年からの推移を見ますと、日本は4年間で22.6%の増加。アメリカは8.1%の増加ですので日本のほうが伸びている。労働力人口に対する割合で見るとアメリカには及んでおりませんが、伸びしろは日本のほうがあると我々は考えております。

Survey on actual condition3

曽根:経済規模を比べますと、アメリカは154兆円。日本は20.1兆円となっております。注目していただきたいのは、年間報酬額。昨年は165万円のところ今年は186万と12%伸びています。フリーランス人口は横ばいですが、1人あたりの報酬額は増えているという構造になっています。

副業ワーカーの経済規模は7兆円。進む潜在的労働力の発掘

Survey on actual condition4

曽根:我々が今注目しているのが副業フリーランスについてです。具体的に申し上げますと、副業系すきまワーカー※1と複業系パラレルワーカー※2の合計が744万人となっており、広義のフリーランス1,119万人の7割をこの新しいかたちの副業が占めています。

この副業フリーランスのもたらす経済規模は、副業系すきまワーカーが3.4兆円、複業系パラレルワーカーが3.5兆円で約7兆円となっています。これは新しい潜在的労働力の発掘だと我々は考えており、日本の経済がなかなか右肩上がりに向かわない現在において、新しい流れではないかと思っております。

※1 定義:常時雇用されているが副業としてフリーランスの仕事をこなすワーカー
     例:本業以外のやりがいや生活費の補助を目的に、週の数時間を副業にあてる若年層
 
※2 定義:雇用形態に関係なく2社以上の企業と契約ベースで仕事をこなすワーカー
     例:自分のスキルや特技をいかしてフレキシブルなライフスタイルを実践するワーカー

Survey on actual condition5

曽根:副業フリーランスの職種は、いわゆる「接客・作業系」という自分で店舗を構えるスタイルだけでなく、オンラインでWeb開発・デザイン・ライティングなどを受注する「IT・クリエイティブ系」。また、近年では「ビジネ系」という営業や人事、経理といった専門家の職能を活かした職種も多くなっていると感じております。

Survey on actual condition6

曽根:最も特徴的なのが、副業系すきまワーカーの年齢分布。20〜30代の割合が約50%であり、他のフリーランス形態と比べ、非常に若年層が多くなっております。男女別で見ると、全体的に男性が多く、これまで本業1本で仕事をしていた男性が、パラレルワークに進出してきているのではないかと我々は注目しております。

Survey on actual condition7

曽根:働き方別のフリーランス歴と仕事時間についてですが、フリーランス歴は「副業系すきまワーカー → 複業系パラレルワーカー → 自由業系フリーワーカー※3 → 自営業系独立オーナー※4」と変化するにつれて、仕事へのコミットメントも平均4.4年から15.4年と上がっております。仕事時間も平均6.4時間から33.3時間とラダーのようなかたちで変化しています。

※3 定義:特定の勤務先はないが独立したプロフェッショナル
     例:組織に勤めていたが、定年前の退職や出産を機に自らやりたいことをやるために独立を決めたワーカー
 
※4 定義:個人事業主・法人経営者で、1人で経営している
     例:スキルや資格、顧客資産などを糧に長く自活している独立したプロフェッショナル

Survey on actual condition8

曽根:フリーランスの平均年収は186万円。個人年収に占める割合は平均49%となっております。特に副業系すきまワーカーの伸び率が顕著で、2016年は45万円、2017年は60万円、2018年は74万円と大きく変化しています。

仕事に対する満足度は、ノン・フリーランスより高いという結果に

Survey on actual condition9

曽根:フリーランスは自身の働き方をどう思っているのかでいうと、非常に満足感を得られているという結果が出ました。「自由である」や「裁量権が大きい」という点に加え、「仕事の熱意が高まった」「仕事に誇りを持てている」という声がノン・フリーランスとの違いとして見られました。

Survey on actual condition10

曽根:満足度の理由は「自分の能力を活かせている」というのが、全体の57%を占め、その他ですと「ワークライフバランスが良くなった」「家族との時間が持てるようになった」が最近の傾向として特徴的です。

Survey on actual condition12

曽根:また、フリーランスの障壁について尋ねると1位は「収入の不安定さ」。2位、3位は「働き方に対する信用力」です。「社会的信用を得るのが難しい」「仕事がなかなか見つからない」は今後も気になるところです。

Survey on actual condition13

曽根:続いて、フリーランスの仕事獲得経路ですが圧倒的に高いのが「人脈」です。これは旧来型の自営業型フリーランスに特に見られる傾向かと思われます。

ただ、新時代の副業フリーランスはWebやSNS、弊社のようなクラウドソーシングサービスなどのチャネルを利用しての仕事獲得が増えています。

Survey on actual condition14

曽根:日本はオンラインで受注し納品するというフリーランスが、全体の15%で169万人。昨年対比で9%増と着実に増えてきている。アメリカではよりその動きが顕著で、過半数の59%、3,380万人がオンラインで受注しており非常に加速しています。

フリーランスを希望する人は70%超。今後もますます拡大する見込み

Survey on actual condition15

曽根:次にフリーランスに対するイメージを、ノン・フリーランスとフリーランスに聞いてみたところ「自由でやりがいがあると思う」という声の一方で「責任を伴い、非常に不安定そう」の声もありました。「自由と責任」を抱えている点が特徴として見てとれます。

最後に働き方の未来についてですが、今後、より広義のフリーランスは加速していくと我々は捉えています。まだ、副業をしていない70%の方が「副業をしてみたい」と希望しており、実際にフリーランスとして働かれている80%以上が「今後も継続していきたい」と考えられているようです。

press conference

曽根:一方で副業を許可している企業は2~3割。そのうち、実際に副業をしている方は約1割といわれており、まだまだ理想と現実には大きな乖離があると思われます。「働き方改革」「副業元年」「フリーランス元年」と呼ばれるこの流れは、これからますます広がってくいくでしょう。

まとめ

1. 日本の広義のフリーランスによる経済規模は20兆円超である
2. 副業の経済規模は8兆円に到達している
3. フリーランスの15%はオンラインのみで仕事をしている(オンライン化の拡大)
4. フリーランスのワーク・ライフ・バランスが上昇している
5. 未来の働き方において、多様な働き方の選択肢が増え、雇用体系が流動化していく
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