女子たちの「こんなの欲しい」を実現! 女性だけでつくる『GIRLS.PRODUCT』

女子たちの「こんなの欲しい」を実現! 女性だけでつくる『GIRLS.PRODUCT』
女性のアイデアから生まれる利便性を世の中に発信するプロジェクトが開催されます。日常生活の困ったを解決したい。そのソリューションを、具体的なプロダクトに落としこむイベントです。サービスの企画者、デザイナーを広く集めています。普段はひとりきりで働いているフリーランスも、新しい仲間を手に入れるチャンス。職種を問わず、アイデアを持つ「女性」ならば、誰でも参加可能です。
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女性のアイデアで、世の中をもっと便利に

昨年の8月に国会で制定された、女性活躍推進法。女性が職業生活で活躍することを推進する法律だ。仕事を通じて活躍したいと願うすべての女性のために、その個性と能力を発揮できる社会を実現する目的だという。

女性が活躍する社会の実現―。『保育園落ちた日本死ね!』
というブログが話題になったことからも、理想と現実に大きな隔たりがあると想像できる。

一方で、女性が持つ個性と能力を発揮し、楽しく便利な世の中に変えようとする試みもある。本稿で紹介する、『GIRLS.PRODUCT―女性のワクワクをカタチに GIRLS.TEAMでプロダクトをつくろう―』もそのひとつ。

エンジニアのためのイベント&コミュニティスペース dots.を拠点に活動する、女性エンジニアたち「dots.女子部」が主催する取り組みだ。男性目線でつくられたサービスやプロダクトではなく、女性が女性のためにアイデアをカタチにするプロジェクト。

アイデアは浮かぶけど、実現方法がわからない。デザインやプログラミングの技術を活かして、自分たちのプロダクトをつくりたい。こんな女性たちを広く集め、プロダクト・サービスをつくりだす試みだ。

女性視点のアイデアを持つ人であれば、職種を問わず参加することが可能。主催者である「dots.女子部」のメンバーに、活動内容とイベントにかける想いを語ってもらった。

『GIRLS.PRODUCT』運営メンバー
矢野 桐子さん(エンジニア@dots.)
高木 里穂さん(エンジニア@楽天)
高林 美千代さん(エンジニア@スカイウイル)

女性だけのエンジニア勉強会

高木さん・高林さん・矢野さん

『GIRLS.PRODUCT』の企画に取り組む、高林さん・矢野さん・高木さん

「dots.女子部」に所属するメンバーは、勉強会参加者を含めると延べ100名以上。その大半がエンジニアだ。女性限定の技術を向上させる場としてはじまった。

話を聞いた3名は、それぞれ違う会社でエンジニアとして働いている。平日の勉強会であれば、就業時間が終わってからの活動。多くのエンジニアと同じように、「向上心がある」といえばそれまでだが、主催者側としての苦労は大きいだろう。彼女たちが活動する理由はどこにあるのか。

高木:プロダクトをイチからつくってみたい、自分の手でつくりたいからです。仕事では運用業務が多く、つくり始めに携わるチャンスはまだありません。あったとしても、複数のプロジェクトチームを組んで、マーケティングを綿密にやって……プロダクトを出すまでに長い時間が必要になると思います。そういう経験は必要ですが、今はとにかく、プロダクトをつくりたい。
矢野:小学生のころからパソコンを触っていて。ホームページをつくって、小学生新聞みたいなものに告知を載せてもらえたんですね。すると大勢の人が、しかも日本中からアクセスしてくれて。この経験が、インターネットってすごい、たくさんの人が集まるコミュニティをつくりたい、という気持ちにさせてくれたんです。大学時代も学生団体をやっていて、全国の人とネットを通じてやりとりしました。社会人になったいまでも、そういう場を提供したいと思ったのがきっかけです。
高林:SIerで働いていたんですが、いわゆるデスマーチで。たまたま見つけたのが、「dots.女子部」でした。参加してみて衝撃的だったのが、若い子のエネルギー。インハウスのエンジニアとして働くだけだと、外の人が、しかも同じ女性が、どんなことを考えていたり、取り組んでいるかはわからないままです。勉強会に出てみると、自分が遅れていることに気がつけました。自分を磨き続けないと、いずれエンジニアとして必要されなくなる。そんな未来に怯えるよりも、自分を高めていくことが大事だと思い、刺激を求めて参加しました。

「dots.女子部」の活動を始めて驚いたのが、「エンジニア女子がこんなにもたくさんいるのか!?」ということだという。勤務先では10人に1人くらいの割合にも関わらず、自主的に勉強をしようという熱量とその人数に驚きを隠せなかったそうだ。

確かにエンジニアの勉強会は、今日も明日も、どこかで開催されている。しかし彼女たちいわく「男性ばかりで行きにくい。懇親会も男性が圧倒的に多くて」「勝手なイメージですが、男性はひとつのことを突き詰めて、専門性をどんどん高めているように感じます。同じことをしても勝てないなって」「自分は男性ばかりでも参加できるけど、多くの女性は諦めてしまう。それはとても損失だと思うんです」だそう。

女性だけの勉強会という、敷居を下げたことで、これまで呼び込めなかった女性エンジニアのニーズに応えられたのだろう。ただし女性だけの集まりといっても、有名企業のCTOを招聘するなど、そこで学ぶ内容はあなどれない。

日常生活の「困った」を解決したいという強い気持ち

高木さん・高林さん・矢野さん

三者三様の想いで携わっている「dots.女子部」が開催する、『GIRLS.PRODUCT』というイベント。女性目線でのプロダクトを開発し、サービスとして立ち上げるまでの大掛かりな取り組みだ。「dots.女子部」に在籍するエンジニアやデザイナーだけではなく、外部からプロデューサーやデザイナー、エンジニアを広く募るという。

プロデューサーというとハードルが高くなるが、サービスのプロデュース経験は問わないという。本稿の読者であるフリーランスのデザイナー・エンジニアはもちろん、企画者としてライターやエディターにも門戸は開かれている。

矢野:『GIRLS.PRODUCT』を開催するきっかけは、部活後の飲み会で「こういうことやりたい」と盛り上がったことにあります。酔が覚めた翌日にも「やりたい!」と思えたので、具体的な企画を進めました。イベントばかりやってきた女子部ですが、何か形に残るものをやりたかったんです。
高木:世の中の会社を見渡すと、CTOというポジションは圧倒的に男性ばかりですよね。プロダクトやサービスが、男性目線でつくられていると感じるんです。もちろん女性がアドバイスをしながらつくっているんでしょうけど、だったら生み出すところから女性がやれば良いと思った
高林:女性目線で、「もっと良くできるのに」と思うプロダクトがたくさんあると思うんです。「女性はこれが好きでしょ?」という男性目線を感じるものもあったり。女心を分かっていないとまで言いませんが(笑)、だったら女性だけでつくると面白いかもしれない。少なくとも、女性ユーザーにとっては使いやすかったり親しみやすかったり、利便性を感じてもらえるプロダクトを生み出せるのではないかと期待してるんです。

女性はピンクが好き。誰が言ったわけでもないが、確かにそんな固定観念がある。彼女たちにいわせると「そうそうそう。でもそのピンクの色味が違う」そうだ。

「dots.女子部」はエンジニアを基本とする集まり。数名のデザイナーはいるが、今回のようにプロダクトゼロからつくり上げるには足りない。「外部のデザイナーが入ってくれたら、ぜんぜん違う視点を持ち込んでもらえるんじゃないか」と期待しているそうだ。

企画についても、エンジニアリングができる人の発案である必要はないという。「ちょっと不便だな」「こんなサービスがあったら嬉しい」という、日常生活で感じている不便とそれを解決するアイデアが重要なのだ。

高木さん・高林さん・矢野さん

高木:エンジニアとして参加するなら、「一度もコードを書いたことがないです」だと困ります。でも技術力が絶対ではないんです。もともと、出来ないことをできるようにするための勉強会から始まったわけですし。スキルよりも、何かをつくりたいという想い。それを継続する意志のある方に加わっていただきたいと思います。途中で投げ出すようなことがなく、最後までやり切るための想いですね。
高林:女性のエンジニアって「あんまり出来る人いなくない?」というイメージがあるような気がします。だからこそ、「女性がこんなプロダクトをつくれるんだよ」というのを見せていきたい。参加した人たちの自信になって、見ていた人たちにも勇気を与えられるような。そしてつくった人たちは、自分たちの生み出したプロダクトに誇りを持って欲しいと思います。つくって終わりではなく、その先の運用まで、誇りと責任を持てる人です。
矢野:企画を考えるプロデューサーであれば、プロダクトの将来まで考えられる人が望ましいです。アイデアはあるんだけど、どうやってデザインするか、どうやってエンジニアリングをするか分からないという人でいい。例えば主婦の人で「Webサービスやプロダクトがあれば解決できるけど、カタチにすることはできない」とか。期限内に完成させることは、私たちエンジニアがやるべきこと。困ったことがあって、それをインターネットの力で解決しようというアイデアを求めています。

まだ始まってもいないプロジェクトではあるが、その先にある未来については、しかりとした考えを持っていた。「プロダクトは成熟する。それまでは必死に成長させていきたい。その先は、世の中に困っていることなんてたくさんあるので、機会があれば他のことにもチャレンジしていきたい」と話す。

仮にプロダクトが流行らなかったとしても、「一緒にやった仲間とはずっと関係が続く。成長して手に入れた技術と経験も、ずっと自分のなかに財産として残る」という想いで取り組むという。

最後に「dots.女子部」のこれからについて聞くと、「技術コアな女子部ではなく、キャリアパスまで網羅していきたい」そうだ。確かに女性には、仕事との両立を悩むライフイベントが数多くある。自身が課題に直面したとき、同じ女性として相談・助言のできる集まりを目指しているという。

活動の根底にあるのは、女性がもっと活躍できる世の中にしたい、女性のエンジニアを増やし、世の中をもっと良くしたいという想いだった。

『GIRLS.PRODUCT』スケジュール

高木さん・高林さん・矢野さん

『GIRLS.PRODUCT―女性のワクワクをカタチに GIRLS.TEAMでプロダクトをつくろう―』の最初の工程となるアイデア発表会は、4月22日に開催される。開発するプロダクトの企画をもちより、アイデアとその未来を発表しあう場だ。好き勝手にアイデアを発散させるだけではなく、目的はプロダクトを開発し世の中に届けること。その実現可能性を審査するために、業界の著名人たちを審査員に迎えている。

【審査員紹介】
■日本最大級の無料オンライン家計簿「Zaim」の閑歳 孝子さん。
■飲食店・レストランのiPad予約台帳アプリ「トレタ」の増井 雄一郎さん。
■日本最大の料理レシピサイト「クックパッド」の池田 拓司さん。
■AWS 導入ソリューションを手掛ける「クラスメソッド」の大橋 力丈さん。

そうそうたる審査員と熱意のある参加者が集う『GIRLS.PRODUCT』。少しでも興味を持った女性は、この機会に参加してみてはいかがだろうか。

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(おわり)

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