プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座6

プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座6
依頼された仕事=プロジェクトを成功に導くためには、どのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。プロジェクトを管理・推進する方法であるプロジェクトマネジメントのコツを、自身の体験と重ね合わせながら効率よく学んでいきましょう。フリーランスとしてプロフェッショナルを目指す人、ワンランク上の仕事を手がけたい人に送る、フリーランスのプロジェクトマネジメント論。大学でプロジェクトマネジメントを教える先生による第6回目の講義、今回は組織がテーマです。
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【 より理解を深めるために、過去の講座にも目を通してみてください! 】

特別講座 Part1 | プロジェクトを成功させるにはコツがある!

特別講座 Part2 | 目的・資源・期限を設定しプロジェクトを進める!

特別講座 Part3 | フリーランスの上手な時間管理術!

特別講座 Part4 | リスクとの付き合い方!

特別講座 Part5 | プロジェクトの整理・構造化

特別講座 Part7 | 正しい優先順位の考え方

特別講座 Part8 | プロジェクトの品質管理

特別講座 Part9 | 利害関係の管理

 

フリーなのに組織?

複数の人たちが何かひとつのことに取り組もうとするとき、そこには組織が必要になります。私はフリーランスだから組織は関係ない? そんなことはありません。

組織の中には、軍隊や会社といった固い組織からコミュニティやチーム、そして地域や家族といった柔らかい組織まであります。私たちはいつも組織に囲まれ、組織の一員として生活しているのですね。

人は1人では生きることができない。と、いうことで今回は組織というものについて一緒に考えていきたいと思います。

組織も個人も、目的と役割から

会議している会社員

さて、組織はどのように作るのでしょうか? まず必要なのは目的です。企業という組織の場合、目的はミッションや企業理念という形で表現されています。

例えば、ランサーズのミッションは「時間と場所にとらわれない新しい働き方を創る」。ですから、クラウドソーシングという事業にこだわることなく、「時間と場所にとらわれない新しい働き方を創る」ために必要な事業を今後も展開していくでしょう。

どのような企業も組織を立ち上げる時に、自分たちは社会で何を実現する組織なのだろう? どう思われる存在でありたいだろう? と自問自答してミッションや企業理念を作っています。

フリーランスの私たちも個人事業主という立場において、自分のミッションはコレだ! と掲げておくと、専門性が明確になりクライアント側も発注がしやすくなります。

組織づくりの2番目は、役割です。目的を達成するのには、どのような役割が必要かを考えます。役割自体が部署になったり、特定の仕事になったりとレベルは様々です。

その役割に人を配置すると組織ができあがります。人を採用してから役割を考えるのではなく、役割を決めてから採用するのが正しい順序です。

人は次第に「やるべきこと」ではなく「やりたいこと」を役割として置き換えがちです。組織にいてもいなくても、1年に1回は、望まれている役割とそれに対応した行動を行なっているか確認してみましょう。

クライアントと仮想の組織を作ってルールを決める

オーケストラ

組織ができたら、次は運営です。組織が活動するために必要なルールは、組織によって様々。軍隊や企業のような階層型の組織では、「指示」「実行」「報告」の3つのアクションで組織が運営されます。

上の人が指示を出し、下の人がそれを実行。終了したら報告するという流れです。上下関係も組織としての役割であって、偉い・偉くないとは関係がありません。

他方、指揮者のいないオーケストラやジャズバンドのようにプロによる協調型の組織では、暗黙の間のとり方や遊び方がルールになります。

私たちはフリーランスなので、クライアントと仮想のチームを作ってコミュニケーションのルールを作りましょう。クライアントとの間には、必ず何か1つの目的が共有できるハズです。

その目的の実現に向けて、お互いにどのような役割を果たし、それをどう伝え合うのかを取決めしましょう。納品直前や納品後に揉めるのは、こうしたルール決めが先にできていないから。

クライアントと自分が同じ目的を達成するためにできたチームメイトであるという感覚が良い仕事、次につながる良い評価をもたらします。

フリーランスの組織は貢献が参加資格

では、フリーランス同志で何かの目的を持って組織を作る場合、あるいはユーザーズ・グループのような組織を作る場合、どんな秘訣があるのでしょうか?

最も重要なのは積極的な参加による貢献です。企業のように営利を目的とした活動でないので、何かをしても対価がお金で返ってくることはありません。

対価は自分が感じる喜びです。相手の課題が解決して喜んでいるのを見る喜びや、考える価値のある質問に遭遇し答えを導いたときの喜びなど、金額に替えられない喜びは沢山あります。

このことが理解できていると、ユーザーズ・グループへの質問内容をよく考えて出す必要性がわかります。調べればスグわかりそうなこと、何を聞いているのかわからない質問、既に誰かが答えている質問など、組織に貢献しない質問はNGです。

以前、OK WAVEの兼元社長にお会いした時に「いい答えは、いい質問から生まれている」ということを伺いました。質問に限らず、報酬ベースでない組織においては、一人一人が貢献することによって組織が維持され質が高まっていくのです。

色々な組織で異なる役割を果たすことで組織運営の実力アップ

肩を組む男女

『働きアリの法則』というのを聞いたことがあるでしょうか? 別名『2:6:2の法則』とも言われています。働きアリを観察すると、全体の2割が良く働き、6割が普通に働き、そして残りの2割が全く働かない状態になってしまうそうです。

良く働いている働きアリを取り出して観測すると、また同じようにその中の2割だけがよく働き、6割が普通に働き、残り2割が働かなくなるのだそうです。

これは、人間社会にも成り立ちます。いつもは会社で管理職としてバリバリやっている人でも、地域の集まりでは他にリーダーがいれば動かない人になったりします。

私たちは組織の全体を見て、自分がバリバリ働く2割になるべきか、言われたことをやるだけの6割でよいのか、あるいはほとんど動かない2割を決め込むのかを判断しているのです。

組織運営の腕を上げるためには、こうした人間の動物的な本質を利用して、色んな組織で異なる役割を果たすことです。

ひとつの組織で同じ役割ばかりを担当していると、行動様式が固まってしまい、働きものになったり、リラックスした怠け者になったりの切り替えができません。普段引っ込み思案な人にリーダーを任せ、自分はサポート役にまわるのも組織運営上達の方法です。

組織とはコミュニケーションである

ここまで見てきてお分かりのように、組織とはコミュニケーションなのです。組織を設計するということは、コミュニケーションを設計するということなのです。

しかし、多くの組織では、組織図を作ったり、業務分担表を作ったり、人事評価を行なうことで組織を回そうとしています。

実際に実績が上がっている組織というのは、コミュニケーションがうまく設計されています。例えば人事評価というのは、採点をすることではなくて、仕事に対する対話をじっくり行なう機会です。

目的の確認、実行したことの評価と改善、そして次の課題の共有です。通達は一方方向、コミュニケーションは双方向と覚えておきましょう。

離れたクライアントとの仮想チームにはツールを駆使

パソコンを画面を見る3人

特にクラウドソーシングで仕事をする場合、クライアントと顔を合わすことが少ないですよね。そうした組織の場合は、ネットを介したコミュニケーションが大切になります。

プロフィールの充実で自分を知ってもらうということを始めとして、案件に対する的確な質問や中間報告が、納品物の出来上がりを左右します。

また、クラウドソーシングではない場合でも、クライアントと離れて仕事をすることは多いと思います。そうした場合でもビデオ会議やChatWorkなどの管理ツールを使って、「言った・言わない」が無いようにドキュメントを残して手戻りを減らしましょう。

組織とは、目に見えないモノ。でも組織が無いと人が集まっただけでは成果が得られないので、必ず必要なモノ。そんな不思議なしくみとしての組織について今回は考えてみました。

皆さんも、自分流の組織運営のカタチを目指して、コミュニケーションの設計に取り組んでみてください。

■ 第6回の学び

  • 組織も個人も目的と役割が基本
  • クライアントを仮想の組織があると想定する
  • 積極的な貢献が柔らかい組織への参加資格
  • 色々な組織で異なる役割を受け持って運営力アップ
  • 組織とはコミュニケーションである
  • ITを駆使して組織運営を円滑に
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