プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座8

プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座8
プロジェクトを成功に導くためには、どのような知識とスキルが必要でしょうか? フリーランスとしてワンランク上の仕事を手がけたい人に送る、実践講座。大学でプロジェクトマネジメントを教える先生による第8回目の講義です。今回は『品質管理』がテーマです!
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【 より理解を深めるために、過去の講座にも目を通してみてください! 】

特別講座 Part1 | プロジェクトを成功させるにはコツがある!

特別講座 Part2 | 目的・資源・期限を設定しプロジェクトを進める!

特別講座 Part3 | フリーランスの上手な時間管理術!

特別講座 Part4 | リスクとの付き合い方!

特別講座 Part5 | プロジェクトの整理・構造化

特別講座 Part6 | フリーランスと「組織」コミュニケーション

特別講座 Part7 | 正しい優先順位の考え方

特別講座 Part9 | 利害関係の管理

 

品質は高くてもダメ!?

この講座の第1回目で、プロジェクトというものは、ある「目的」を与えられた「資源」を使って「期限」までに達成することである、という説明しました。

この定義はプロジェクトを進める上でとても重要な内容です。プロジェクトに参加するときには、絶えず「目的は?」「使っていい資源は?」「いつまで?」ということを気にして呪文のように唱えましょう(笑)。

さて、この「目的」というものを簡単に言い換えると「何を」「どれだけ」ということになります。プロジェクトにおける品質というのは、「どれだけ」が実現できたかどうかということです。

「どれだけ」というものが達成できたら成功。達成できなかったら失敗です。さらに難しいのは、目標の「どれだけ」にピッタリ合わせることです。多すぎてもダメ、少なすぎてもダメです。

わたしたちは、日常、「品質が高い」とか「品質が低い」と言って品質の評価をしますが、プロジェクトにおいては、低くても高くても不合格。目標とする品質レベルと一致するかどうかが評価ポイントになるのです。

「どれだけ」を決めて始める

プロジェクトにおける目的の「どれだけ」を決めるにはどうしたらよいのか? これには2つのポイントがあります。

1つ目は、客観的に確認ができることです。誰が評価しても同じように評価ができること。自分の主観で、「できました!」ということでは、依頼主を満足させることはできません。

したがって、数値で評価できるようにしておかなければなりません。「何を」「何個」という具合にチェックリストを作りましょう。

もう1つは、依頼主との合意です。仕事というものは依頼主のリクエストを達成することによって成り立ちます。何を依頼主は依頼しているのか? これが明確でなかったり、受ける側と合意がなされていないと、契約になりません。

依頼している内容が決まっていない? そんなことはアリエナイと思う方は、あまりいないはずです。実のところ、依頼主と依頼内容の詰めができないままにプロジェクトがスタートしていることが多いのです。そして、そのことがプロジェクトを失敗にしてしまう最大の要因なのです。

品質は積上げるもの


品質の依頼主と合意するためにはどうしたらよいか? まず、品質は、スタート時点から納期に向かって積み上げていくものです。途中、何をやっているかわからないけれど、最後に完成して「オーッ!」となることありますね。それでも、実際は一つ一つの作業の中で品質は積みあがっています。

積上げるためには、時間の経過とともに出来上がりをチェックしなくてはなりません。1日ごと、1週間ごとに、何がいくつできていないといけないかを計画時点で設計します。これを「品質計画」と言います。この時間ごとの計画が無ければ、途中段階での品質のチェックができません。

カレーを作るプロジェクトでは、16時までに材料の購入が終わっている、17時までにタマネギが飴色に炒まっている、18時までにカレーの煮込みが終わっている、19時までに固めにごはんが炊き上がっている、などの品質チェックポイントを決めることができます。

プロジェクトの開始の前の計画段階で、時間ごとの「品質計画書」というものを作っておきましょう。この「品質計画書」の書き方は、ライティング、デザイン、ウェブ制作など仕事の内容によって異なります。

経験を経るごとにオリジナルの「品質計画書」の精度は上がっていきますので、トライしてみてください。出来上がったら依頼主に確認を取ることが大切です。

途中品質のチェックで遅れ進みを確認

富士山の頂上で午前3時に御来光を見るのであれば、何時から登り始め、何時に7合目、何時に8合目、何時に9合目という計画を立てます。どの時点でどの品質が達成できているかを測ることで、プロジェクトの遅れ進みがわかります。途中段階で遅れ進みがわかることで、早い時点での対処ができます。

締切ギリギリになって、「あれができていなかった!」「これができていなかった!」と慌てることがないようにしましょう。最終的に締切に間に合わない場合、しょうがないので達成すべき品質を少し落とすということでは、次の仕事が来なくなります。

時系列の「品質計画書」を作るのは面倒ですが、自分の仕事全体の品質を上げ、依頼主からの良い評価を得るためのコミュニケーションツールにもなります。

さらにお得な品質チェックリストの使い方

当初のプロジェクトで作った品質チェックリストは、次の発注にも使うことができます。前回は、○○機能を10個でしたが、次回は20個で、という風に同じ依頼主からの発注を受けやすくなります。

さらに、同様の受注内容であれば、一部を変更して他の依頼主にも使うことができますからお得です。使い勝手を考えてバージョンアップも必須です。品質管理で自分の仕事の完成度をチェックして、依頼主からの高い評価をゲットしましょう!

■ 第8回の学び

  • 品質管理とは目的の値に合わせること
  • 品質のレベルは目標より低すぎても高すぎてもダメ
  • 本質目標は、客観的に評価ができる数値で表す
  • 途中段階の品質目標を時系列で計画する
  • 品質計画書はスタート前に依頼主と合意をとる
  • 品質計画書は一度作るとアレンジが可能
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