プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座 3
・特別講座 Part1 | プロジェクトを成功させるにはコツがある!
・特別講座 Part2 | 目的・資源・期限を設定しプロジェクトを進める!
時間管理術の習得は”できるフリーランス”への大きな一歩
依頼された仕事 = プロジェクトを成功に導くためには、どのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。プロジェクトを管理・推進する方法であるプロジェクトマネジメントのコツを、自身の体験と重ね合わせながら効率よく学んでいきましょう。
フリーランスとしてプロフェッショナルを目指す人、ワンランク上の仕事を手がけたい人に送る、フリーランスのプロジェクトマネジメント論。大学でプロジェクトマネジメントを教える先生による第3回目の講義、今回は仕事の中でも大切な個人の時間管理がテーマです。
フィールタイムを短く感じるとハッピーになる
「時間ってなに?」
いつも私たちの生活の中にあるものですが、あらためて考えてみると謎なものは沢山あります。時間もその一つ。辞書で調べてみると、3つの定義がでてきます。(1) 時の流れの二点間(その長さ)。時の長さ。(2) 俗に、時刻と同義。(3) 空間と共に人間の認識の基礎を成すもの。(広辞苑第六版より)
時間自体は目に見えません。それを目に見える形で表示しているのが時計です。今では電波時計など正確なものもありますが、古くは日時計や砂時計を使って人々は時間を見えるように工夫してきました。1日を24時間とか、1時間を60分とかは、人間が考え出した概念です。
時間に関して面白いのは、フィールタイムとクロックタイムという2つの時間があることです。フィールタイムというのは、自分自身が感じる時間の長さ。クロックタイムというのは、時計で測る時間の長さです。みなさんも、「あー、楽しい時はあっという間に過ぎちゃうな」とか、「えー、まだ終わんないの? いつもより長くない?」と感じることはありますよね。その感覚がフィールタイムです。人間はメンタルな動物なので、このフィールタイムをどう感じるかはとても重要です。
フィールタイムを短く感じるときは、ハッピーな時です。逆に長く感じるときは、苦痛な時。仕事でも遊びでも「あっという間に終わったね!」という感覚を持ち続けるには、どのようにしたらいいでしょうか? 今回は、そのポイントである時間管理についてお話しします。
仕事は時間で管理されている
私たちの仕事は、何を(スコープ)、どのくらい(品質)、いつまでに(時間)、いくらで(コスト)という依頼のされ方をします。企業に勤めている場合は、勤務時間、休憩時間、休日、など時間で管理されています。どちらも重要なのは時間です。このときの時間はクロックタイムです。
何年何月何日の何時と言えば、どう感じていようと同じ時刻を示しています。仕事をする上では時間を守らないことはペナルティになるので、時間管理は重要な仕事テクニックの1つになります。
また、グローバル化が進む現代社会においては、どこのタイムゾーンが使われるかも、重要なことになってきました。時差を利用して世界中で仕事を回していくという、時間を味方に付けた新しいビジネスも出てきています。
うまく時間を使いこなしている人のコツ
では、時間をうまく使いこなしている人は、どのようなことに気を使っているのでしょう? 私がお会いしてきた時間管理の達人たちの特徴から、以下に4つのポイントにまとめてみます。
ポイント1:優先順位をつけて、やるべきことを絞る
みなさん毎日忙しいですよね? ほとんどの方は、毎日、朝から晩まで何かしらの用事に追われています。1日を終えるとき、「あー、あれもやれなかった」「明日は絶対やろう!」と思いながら机の前を離れることはないですか?
時間は1日24時間と限られています。そして作業を行なうのにも必要な時間はあります。では、どうしたら後悔しないか? それは優先順位をつけて、やるべきことを絞ることです。来たものを次から次へと手を付けるのではなく、夜寝る前に、明日やることに優先順位をつけ、当日はそれ以外はやらない。これくらいの心構えが必要です。
ポイント2:無駄な時間を削るには不安を退治
私は、レスポンスが速いとよく言われます。速すぎて、他の仕事はしてないのかとまで言われます(笑)。実はこれは無駄な時間を削るテクニックなのです。
入ってきた案件をそのままにしておくと、頭の片隅で「あれはどうしようかな」「こういう手もあったな」「あの人は、時間あるかな」といろいろ考えます。ある仕事をしながら、別のことも考える。これがエネルギーと時間の無駄につながります。
不安は時間を置くと次の不安を生み、そしてその不安は頭の中でどんどん増殖する曲者です。そうなる前に、打ち合わせのテーマ、時間、場所、メンバーくらいは即時に決めたほうが、増殖前に不安を退治できます。結論が出せるものは、サクッと出しましょう。
限られたクロックタイムを有効に使う方法は、ただ1つ。集中することによる効率化です。そのためには、案件を瞬時に打ち返してボールを相手に渡しておく行動も必要です。
ポイント3:始まりと終わりを決める
なんとなく始めて、なんとなく終わらない。これも時間管理の大切なポイントです。始める時に「ヨシッ!」と声を出し、終わった時に「終了!」と声を出してみましょう。仕事にメリハリがついてきます。
ポイント4:手戻りは最大の敵
1度やったことと同じことを、途中からもう1度やりなおすこと。これを手戻りと言います。この手戻りは、ものすごくエネルギーと時間の無駄になります。私たちは、新たな価値を生み出すために仕事をしていますから、手戻りは価値ゼロです。
では、手戻りをしないためにどうするのかというと、やはり事前の作戦です。要件について依頼主から良く聞いておいて、やり直しになる要因を事前につぶしておきます。
もう1つは、変更に耐えられる設計をするという方法もあります。こちらは少し高度ですが、あらかじめ変更が予想されるところは簡単に修正できるような構造で組んでいきます。「やっぱり、前の方がいい」といった(よくある)要望に、バージョン管理でバックアップを取っておくと言うのも基本的なワザになります。
ポイント5:意識的にボーッとする
時間管理の達人たちは、意識的にボーッとしています。その様子を見ているとボーッとすることにも集中しているように見えます。時間は短いのですが、彼らにとってはとても長くてリラックスした贅沢な時間なのだそうです。クロックタイムは短くてもフィールタイムが長いのですね。
私たちも、仕事と仕事の合間に、30秒何も考えず時計だけを見つめてボーッとしてみましょう。頭がスッキリしますよ。
時間管理のツールとして定番の手帳を拝見
何をいつするのか? その管理に定番なのは手帳もしくはスケジューラーです。他の人とスケジュールを共有するためには、Googleカレンダーのようなクラウドのスケジューラーが便利です。自分の中での案件の管理には一覧性と色々なことが書き込める手帳が便利です。
12月は来年の手帳を買う時期でもあります。手帳は時間管理の工夫の塊なので、時間管理が上手そうな方の手帳をチラッと拝見させてもらうのもいいですよ。案件の数や、それに要する時間、案件以外に書いているメモなど参考になると思います。見せるほうは、かなり恥ずかしいので、一瞬チラッとだけにしておきましょう。
さて、今回の時間管理に関するテーマはいかがだったでしょうか?自分でも取り入れたいというところはありましたか?年が明けて来年1月の第4回目は、再びプロジェクトに戻ってリスク管理についてお話をします。みなさんはリスクをどう管理していますか?
■ 第三回の学び
- 時間にはフィールタイムとクロックタイムがある
- 仕事は時間(クロックタイム)で管理されている
- 優先順位をつけてやるべきことを絞る
- 無駄な時間を削るには不安を退治
- 始まりと終わりを決める
- 手戻りは最大の敵
- 意識的にボーッとする
- 時間管理の上手い人の手帳をチラッと見せてもらう