プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座4

プロジェクトマネジメントを学んで、できるフリーランスに! 大学教授直伝、プロジェクトを成功に導く特別講座4
依頼された仕事=プロジェクトを成功に導くためには、どのような知識とスキルが必要となるのでしょうか。プロジェクトを管理・推進する方法であるプロジェクトマネジメントのコツを、自身の体験と重ね合わせながら効率よく学んでいきましょう。フリーランスとしてプロフェッショナルを目指す人、ワンランク上の仕事を手がけたい人に送る、フリーランスのプロジェクトマネジメント論。大学でプロジェクトマネジメントを教える先生による第4回目の講義、今回は新しい年を迎え新たなテーマに挑戦する人たちに大切なリスク管理がテーマです。
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【 より理解を深めるために、その他の講座にも目を通してみてください! 】

特別講座 Part1 | プロジェクトを成功させるにはコツがある!

特別講座 Part2 | 目的・資源・期限を設定しプロジェクトを進める!

特別講座 Part3 | フリーランスの上手な時間管理術!

特別講座 Part5 | プロジェクトの整理・構造化

特別講座 Part6 | フリーランスと「組織」コミュニケーション

特別講座 Part7 | 正しい優先順位の考え方

特別講座 Part8 | プロジェクトの品質管理

特別講座 Part9 | 利害関係の管理

 

リスクなきところに成功なし?

「この発注主は大丈夫?」「自分は、今、この仕事を受けて納期に間に合う?」フリーランスの私たちの日常はリスク管理の連続です。そんな日常にあるリスクですが、意外と真剣に向き合う機会が少ないのも事実です。

リスクの語源は、ラテン語の risicare。「勇気をもって試みる」という意味です。リスクがあるからやる価値があり、そこに対価が発生するのです。かといって、リスクをかえりみず挑戦して失敗すると大きな痛手となります。リスクの特徴をよく知って、リスクを避けずに積極的に利用することで、成功を手に入れましょう。

プラスのリスクとマイナスのリスク

リスクとは今後発生するであろう不確実性のことで、プラスのリスクとマイナスのリスクがあります。プラスのリスクのことを「好機」。マイナスのリスクのことを「脅威」と呼びます。普段私たちはマイナスのリスクのことだけを考えているので、今回も「脅威」について取り上げましょう。

マイナスのリスクの対処法には3つあります。1つ目は「回避」です。想定される脅威が発生した場合に、あらかじめ計画した内容に変更してしまいます。たとえば今週末に予定していたBBQの予定を、水曜日の週間天気予報で天気を確認し、雨になりそうなら、来週末に変更するというような対処のしかたです。

2つ目は「転嫁」です。脅威に対して、別のものを犠牲にして対処しようとする方法です。例えば、雨の予報なら、コストを少し犠牲にして屋根付のBBQ場に場所を変更するというような対処のしかたです。コストはアップしますが、雨天でBBQができないというリスクをコストに転嫁することができます。

最後の3つ目は「軽減」です。雨の影響を小さくするために、少々の小雨ならできるようにBBQで焼くのではなくタープの下で食事を持ち寄り食べる用意をするとか、参加人数を減らすなどという対処法があります。私たちの仕事においても、想定されるリスクに対してどのように対処するかをあらかじめ考えておけば、いざと言うときに落ち着いて対応ができます。

整理してスッキリ!どんなリスクが発生する?

プロジェクトに限らず、一番の時間のムダで、しかも脳のエネルギーを消費するのは、「不安」です。つまり頭の中で悩み続けることです。「不安」は、徐々に小さくなるどころか、そのままにしておくと、どんどん大きくなるというやっかいものです。

「こんなことが起きたら、どうしよう?」「予備で何か計画を立てたらいいかな?」「もし、中止したらどんな影響が出るのだろう?」こうしたことを頭の中で考えていると、時間は過ぎ、そして何も解決はしていません。

リスクという不安は、未来に起きることなので、一気に解決することはできません。まずは、何がリスクなのかを書き出すことです。時間軸に沿って書かれたスケジュールを見ながら、該当のタスク(作業)をする時に、どんなリスクが発生するであろうかを書き出します。

この時に頼りになるのが経験です。全く経験したことがないと、どの作業をしたときにどんなことが起こりうるかを想定することができません。最初のうちは経験者の方に話を伺うなどして、リストアップを手伝ってもらいましょう。

発生確率影響度マトリックスで優先順位がわかる!

リスクのリストアップができたら、今度はそのリスクの発生確率を考えてみます。ほぼ確実に起きる場合は0.9、起きる可能性が高い場合は0.7、どちらともいえない場合は0.5、まれに起きる場合を0.3、非常にまれに起きる場合を0.1とします。統計がとれていない場合は感覚値でもかまいません。

次に、そのリスクの影響度を考えてみます。影響が非常に低い場合は0.05、低い場合は0.10、普通の場合には0.20、高い場合には0.40、非常に高い場合には0.80とします。該当のリスクの発生確率と影響度が決まったでしょうか?

決まったところで、下の図の「発生確率影響度マトリックス」の中で、そのリスクがどこに位置するか確認してください。数多くのリスクが想定されますが、発生確率が高く、影響度の大きいものから対処策を考えていきます。ピンクの欄に位置するリスクについて、まず検討し、次に黄色、そして緑という順番に手を付けていきます。

先ほどのBBQの例では、発生確率は0.5、影響度は0.40の交わるピンクなので要検討リスクと考えることができます。発生確率が低く影響度の小さいものは、あまり気にしなくても良いのです。
 

下の図

実行中にリスクが発生したらスグに対処

プロジェクトは、計画をじっくり立てたら、あとは粛々と計画に沿って作業を進めるだけです。せっかく良い計画を立てたのに、計画そっちのけで実行していては計画を立てた意味がありません。そればかりではなく、次回に向けた計画のブラッシュアップの機会も失ってしまいます。

リスクに関しても、発生したら素早く対処です。そのままにしておくと、事態は変化して手遅れになってしまいます。そのためにも想定していたリスクが発生しないかを注意して見ておくことが大切です。

モヤモヤは頭の外に出し作業に集中することで、プロジェクト遂行能力がグンとアップします。

第四回の学び

  • 意識してリスクを取り、結果として対価を得る
  • リスクにはプラスのリスクとマイナスのリスクがある
  • マイナスのリスクの対象法は、回避、転嫁、軽減の3通り
  • 発生確率影響度マトリックスで対処の優先順位を決める
  • リスク発生を監視して発生したら速やかに対処
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