大地に親しむ仕事がしたい!個人事業で農業をするには

大地に親しむ仕事がしたい!個人事業で農業をするには
農業も個人事業主?と思う人もいるかもしれませんが、雇われずに仕事をすれば個人事業です。都市生活を離れ農業を志す人が増えているようですが、新規参入は本当に可能でしょうか。ここでは個人事業として農業を選択する際の注意点を見ていきます。
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個人事業としての農業とはどういうことか?

豊かな田園風景の中で暮らすのは憧れますが、住むだけではなく仕事にするとなるとかなりの覚悟が必要です。農業を始めるのには、確かに学歴や資格は必要ありません。

比較的誰でも始められるとはいえ、農業を生業とするためには多くの知識が必要となります。家庭菜園とは違い「商品」となる作物を確実に毎年育て、販売しなければなりません。

土づくりや作業の手順、成育の見極め、そして販売戦略までをトータルにこなすのです。プロの農家となるためには、最初は誰かの手ほどきが必要となるでしょう。どんなにうまくいっても商品として出荷できるものを育てるまでには、時間もかかります。

「個人事業」となれば、税金についても知らなければなりません。そこでは農業という事業に関する、税務上の特殊な知識が必要です。例えば自給自足分で消費した部分も、「収入」となります。

成育にかかる費用を経費として計上すれば、実際には現金の発生がなくても「収入」として扱わなければならないのです。このように、会社に雇用される仕事とはまったく異なる考え方について、ひとつひとつ理解していかなければなりません。

農業を個人事業で始めるための費用は?

「農業を始めるぞ!」と考えた時、さていったいどれくらい費用がかかるものでしょうか。個人事業として始める場合、まず農地を取得する必要があります。その他には農業用の設備費、当面の生活費などが考えられます。

気候や土地、何をどのような形で育てるのかによっても相当の違いがあるようです。一般的に個人事業として農業を始める際にかかる費用の全国平均は、機械、設備費に約655万円、営農資金220万円です。

米を水田で作る際には、約570〜1,190万円が準備段階でかかってきます。これらの設備準備に加えて、向こう3年ほどの生活費を考えると、トータルでは約1,200~1,600万円は考える必要があると言われます。

ただ、最近は自治体で移住制度やIターン、Uターンなどの支援を行なっています。廃業した農家の機器を譲り受けたり、レンタル・リースもあります。

できるだけ負担を減らすためには、利用できる制度がないか、事前によくリサーチしておく必要があるでしょう。

個人事業でできそうな農業の種類

ひと口に農業といっても、種類や形態は様々です。作る品目や農地には、水田作、畑作、露地野菜作、施設野菜作、露地花き作、施設花き作、果樹作などがあります。ポイントは土地選びでしょう。

土地の気候に合った種類かどうかで、結果が変わってくるようです。実際に脱サラをして個人事業主として農業を始めた例では、レタスの栽培で成功している人がいます。

高原の気候を利用し、付加価値が高く計算しやすさから取り扱い作物として選んだと言います。また、ビニールハウス栽培でトマト、オクラ、キュウリ、ピーマンなどを作り、軌道に乗せている例もあります。

農業を始めた個人事業主の実情は?

新規に個人事業として農業を始めた人の約7割は、農業だけでは食べていけないと実感しているようです。農業だけで暮らしていけるようになる目安はおよそ3年です。

しかし中には、サラリーマン時代に培った効率化や経営の知識を生かして、果樹農園を開業し比較的早期のうちに、大きな収益を上げている人もいます。農業の所得で生活が成り立つようになるには、500万円〜1000万円と言われます。

最初の3〜4年は、収穫・収益を安定させることに集中します。その後5〜6年で1000万円クラスにまで徐々に規模を拡大してゆく、という例がほとんどのようです。

ただ農業をするというだけではなく、育てる作物の選定から販路についての戦略を幅広く考える人が、個人農業家として成長していきます。

個人事業で農業するのに向く人は?

農業という仕事に一攫千金はあり得ません。毎日コツコツと地道な作業をしながら、丁寧に作物の状態を見ていける人が農業には向いています。成育していく過程を楽しみ、植物の息吹を感じられることに仕事への喜びがあります。

泥まみれになることを厭わず、生物として作物への愛情を、惜しみなくかけられる性格ならば、農業を志すことができます。それと同時に個人事業としての農業をするためには、すべてを自分で把握できなければなりません。

畑や田んぼの管理、栽培方針、天候に合わせた品種、農薬の選定、さらには販路についても決定は自分の責任です。会社時代に指示待ちをしていたようでは、やっていけなくなるでしょう。

どんな職種でも個人事業は自己責任ですが、自然を相手にする農業だからこその判断が、さらに付加されているのです。神経質になり過ぎず、しかし細心の注意をもち、自分の手でやり遂げる覚悟のある人が農業に向いていると言えます。

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