転ばぬ先の杖としてのリスク管理術

なぜリスク管理をするのか
フリーランスは「リスク管理意識を特に高く持つべきだ」と言われます。それはなぜでしょうか?
そこには、トラブル防止はもちろんですが、「何も保証がない」という点が大きいと考えられます。クライアントの多くは会社であるのに対し、フリーランスは個人です。フリーランスは、誰も助けてはくれませんし、その立場を保証してはくれません。困ったとき、問題が起きたとき、自分自身で解決しなければなりません。
しかし、トラブル対応は大きなエネルギーを要します。ゆえに、問題が起きてから対応するのではなく、事前に予防しておくための「転ばぬ先の杖」として、リスク管理が存在するわけです。ここからは、フリーランスが特に陥りがちなリスクについて、その予防策と一緒にご紹介したいと思います。
フリーランスの陥りがちなケース1:納期トラブル編
「納期」は、フリーランスが最も注意しなければならないリスクのひとつです。怪我や病気で仕事が滞ったとしても、誰かが代わりにその仕事を進めてくれるわけではありません。
ですから、何か問題が発生した場合に備え、締め切りには常に余裕を持たせることが大切です。そして、進捗面につきましては、定期的な連絡を心がけ、必要に応じて作成途中の成果物を送っておけると良いでしょう。
特に、クライアントにとって最も困るのが、納期直前で「出来ない!」と言われることです。そうなれば、フリーランスの責任問題だけでは済まされない話になります。もし既存の締切日が厳しければ、できるだけ早めに連絡することで、軽微な負担をもって解決できるケースも多々あります。
フリーランスの陥りがちなケース2:支払トラブル編
次に「支払い」についてですが、これもフリーランスがトラブルに陥りやすいリスクのひとつです。報酬額・支払日・納品物の条件などが、契約もしくは着手の時点で明確になっていないというケースが考えられます。
場合によっては、「とにかく急いでいるので、そのあたりは後で詰めるとして、まずは先に進めてもらえませんか」というクライアントに遭遇する機会もあるかもしれません。しかし、支払いと言うのは、トラブルになりやすい要素です。
だからこそ、以下3点については仕事着手前に最低限合意しておきたいものです。
- 「いくら」支払われるのか
- 「いつ」支払われるのか
- 「何を納品」すれば支払われるのか
仕事が始まってしまうと、その進捗や内容に応じて、クライアントの状況や考え方も変わってしまう可能性もあります。だからこそ、仕事を始める前に確定させることが大切だと言えます。
ただ、個人でそういった話を詰めるのはなかなか難しいという声も多いのが事実です。そこで、支払い問題の解決手段のひとつとして、成果物を収めるフリーランスと報酬を支払うクライアントの間を第三者として管理するウェブサービスの利用をお勧めいたします。
同機能はクラウドソーシングサービスに含まれていることが多く、オンライン上で仕事取引が出来る以外にも、フリーランスの報酬受け取りに一層の安心感を与えてくれるものです。
フリーランスの陥りがちなケース3:品質トラブル編
クライアントとのトラブルで、意外と多いものが「納品されたものが、想定していたものと違う!」というクレームです。そのため、いつまで経っても報酬が支払われないというリスクが存在します。
これを予防する方法は、まず案件着手にあたって事前のコミュニケーションを密に取り、序盤での「要件定義」に尽力することです。そのためには、フリーランスから十分かつ的確な質問によって、クライアントが本当に求めている「要件」を突き止めましょう。
中途半端なイメージで仕事を始めてしまうと、やはり出来上がったものが中途半端になる可能性が極めて高くなります。だからこそ、打ち合わせを綿密に行い、フリーランスとクライアントの認識ずれを無くしていくことが大切なのです。
特に、「フリーランスに全部お任せしたい!」というような案件では、クライアントのイメージと食い違いやすいため、より一層の注意が必要です。
そして、もうひとつの予防策が、完成前の成果物をせめて一度は途中経過として見てもらい、方向性を段階的に確認するということです。
暫定成果物の共有によって、早期段階での軌道修正が可能となり、最終的な手戻り/修正のボリュームを減少させることができます。結果として、「クライアントが望む形で締め切り時に着地できる」ことにつながります。
トラブル防止に向けた普段の心がけ
このように、フリーランスが陥りがちなリスクと、その予防策について紹介してきました。いずれにおいても共通することは「確認」です。
手間のかかることですが、「クライアントへの連絡・確認を怠らないこと」が、リスク管理の基盤となります。「何度もクライアントに連絡すると、うっとうしく思われるかも」と考える必要は全くありません。むしろ、クライアントにとっては、多くの連絡があるほうが安心できるものと考えるようにしてください。特に、案件状況が納期に近いのであれば尚更です。
そして、確認した事項は、できるだけ記録に残すことが、後々のトラブル防止につながります。面談・電話などの口頭では、「言った、言わない」というトラブルに発展する可能性があります。ですから、メール等で「本日の打ち合わせについて」というように、記録を残しておくことをお勧めいたします。
少々面倒なことかもしれませんが、これらのひと手間こそが、「大きな手間となるトラブル」を防止してくれるのです。
フリーランスの仕事は常にリスクと背中合わせですが、リスク管理を十二分に行えていれば、大きな問題が発生することはさほどありません。
安心したフリーランス生活を過ごすためにも、トラブル防止のための「確認」について、手間を惜しまず取り組まれてみてはいかがでしょうか。







