意外と簡単! 開業届1枚で「個人事業主」に。書き方&注意点

意外と簡単! 開業届1枚で「個人事業主」に。書き方&注意点
「開業届」、出していますか?「お店を開くような人が出すものでしょう?」、「在宅ワークで開業っていうほどじゃないし、出さなくてもいいのでは?」と、出していない人もいるのではないでしょうか。「難しそう……」と思うかもしれませんが、実際は書類を1枚提出するだけの、簡単な手続きなのです。今回は開業届の書き方、注意点に加え、他に出しておくべき書類について、ご紹介します。
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開業届を出しておくべきメリットとは

個人事業主としての仕事を開始したら、事業主は開業届を出す必要があります。ただし、フリーランスとして仕事を始めた人の場合、開業届を出さないままの人もいるのでは?

「確定申告はするから、問題ないでしょ?」と思いますか? でも、開業届を出しておくと、税金を減らすことができるのです!

個人事業主は、所得税・個人事業税・住民税の納税義務を負っています。この中でも、所得税は所得額に応じて納税額が決まるため、報酬が上がるほど、納税額も上がってしまうのです。

所得額は、収入額から経費を差し引いた額なので、経費を使って対策することも可能です。だからといって、いくらでも使えるわけではないので、対策にも限界があります。それが開業届を出すと、控除額が大きい「青色申告」を選べるようになるのです。

また、「去年は赤字だけど、今年は大儲けだ」と、収入に変動がある場合もありますよね。そのような場合も、開業届を出して「青色申告」を選んでおけば、赤字額を繰り越して、翌年の所得額を抑えることもできるのです。

副業でも開業届を出すメリットはこちらから確認

書類はホームページから入手可能! 開業届の書き方をチェック

開業届は、正式には「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。開業後1ヶ月以内に出すように定められています。

在宅で仕事をしている人の場合は、開業したと言えるラインが明確ではない場合が多いため、「すでに1ヶ月を過ぎてしまっているけど……」ということもあるでしょう。

1ヶ月以内に提出をしていない場合は税務署に確認するようにしましょう。なお、罰則はありませんが、過去分の青色申告は認められません。早めに出しておく方が節税にもなりますね。

書類は最寄りの税務署か、 国税庁のHPから入手できます。プリンターがあれば自宅で印刷してしまう方が早くて便利ですね。準備ができたら、順に必要事項を記入していきます。

管轄している税務署が不明な場合は、国税庁のHPで住所から調べましょう。

日付提出日を記入(郵送の場合は投函日)
納税地在宅勤務の場合は住所地に○をして、郵便番号と住所を記入
氏名本名、フリガナを記入
印鑑認印を使用(シャチハタはダメです! )
生年月日年号に○、生年月日を記入
個人番号マイナンバーを記入
職業文筆業、デザイナーなど、当てはまる業種を記入
屋号店名のようなものです。ある場合は記入(必須ではありません)
届出の区分開業に○
所得の種類事業所得に○
開業・廃業等日開業した日付を記入
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無(上段)青色申告承認申請書を同時に提出する場合は有に、申請しない場合は無に○
開業・廃業に伴う届出書の提出の有無(下段)課税事業者選択届出書や事業廃止届出書を提出する場合は有に○、しない場合は無に○
事業の概要「HP制作に関わるプログラミング」、「Webメディアでの記事の執筆」、「アイコン等のデザイン」など。例として一部を抜粋しています。

不明点があれば、税務署に電話をしてきちんと確認しておきましょう。

屋号をつけるメリット&その他提出書類の有無をチェック

開業届にある屋号欄で、迷う人もいるのではないでしょうか。

開業時に書かなくても問題はありませんが、屋号をつけておくと、屋号名+個人名で事業用口座を開設できたり、名刺にも表記できたりと、より「個人事業主だ」という信用性を周りに示すことができます。事業内容がわかりやすいものを考えておきましょう。

なお、個人事業主は法人ではありませんので、屋号に「~会社」「~Inc.」などをつけることはできません。

また、必要に応じて、開業届のほかに必要となる書類があります。

課税事業者選択届出書

免税事業者が消費税の還付を受けるため、あえて課税事業者を選択する場合に出す書類です。(課税売上高が1,000万円以下の場合は免税事業者)

受け取った消費税より支払った消費税の方が多かった場合に還付を受けられる制度です。輸出業や、設備投資代が高額であったり、売上が少なかったりした場合に支払額の方が多くなることがあるのです。ただ、在宅フリーランスの場合は、あてはまらない人の方が多いでしょう。

課税事業者を選択した場合、2年間は取りやめられません。提出日の翌納税期間からの適用となるため、提出時期にも気をつけましょう。
提出先は管轄税務署長。手数料は無料です。

事業開始等申告書

地方税法第72条の2に規定される個人事業主は、個人事業税の対象です。対象者は事業開始等申告書を、都道府県の税務課に提出する必要があります。

以下の業種に該当する場合は、3月15日までに提出しましょう。なお所得金額が290万円以下の場合は、該当しても課税されません。

区分事業の種類
第1種事業:
税率5%(37業種)
物品販売業、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、不動産貸付業、
駐車場業、製造業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、
運送業、運送取扱業、船舶ていけい場業、倉庫業、請負業、
印刷業、出版業、写真業、席貸業、旅館業、料理店業、飲食店業、
周旋業、代理業、仲立業、問屋業、両替業、公衆浴場業、
演劇興行業、遊技場業、遊覧所業、商品取引業、不動産売買業、
広告業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業
第2種事業:
税率4%(3業種)
畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業:
税率5%(28業種)
医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、
行政書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、
計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、
不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、理容業、美容業、
クリーニング業、公衆浴場業、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、
土地家屋調査士業、海事代理士業、印刷製版業
第3種事業:
税率3%(2業種)
あん摩・マッサージ又は指圧・はり・きゆう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業

参考サイト:東京都主税局HP「個人事業税」

国税関係は管轄する税務署に、事業開始等申告書は各都道府県の税務課に提出します。間違わないように気をつけましょう。なお、直接持ち込んでも郵送でも、どちらでも問題はありません。

また、書類はコピーを取り、2部提出した上で、コピー分を控えとして返してもらいましょう。

特に印を捺してもらった開業届の控えは、開業の唯一の証拠です。屋号で銀行口座を開くときなど、提示が必要となることもあります。郵送で提出する場合は返送用封筒とともに、2部提出しましょうね。

開業届と一緒に「青色申告申請書」も出しておこう

以上で開業手続きは完了です。おおまかな事業内容がわかれば大丈夫。あまり難しく考えず、肩の力を抜いてチャレンジしてみましょう。

また、これから開業届を出す人に、一緒に提出することをオススメしたいのが、青色申告申請書です。

確定申告の際、青色で申告すると、より多くの控除を受けられるからです。

申告方法には青色の他に白色申告がありますが、白色は控除額が少なくなります。青色申告申請書は、開業日から2か月以内に提出しないと、その年は青色申告を行なえなくなるため、開業届と同時に提出しておくことをオススメします。

THE LANCER 参考記事:白色申告と青色申告の違いとは

フリーランスにとって、節税も収入アップのためには大切なこと。開業に挑戦するなら、ぜひ青色申告にも挑戦してみましょう!

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