働き方の先駆者に問う。フリーランスの生き方、そして時代の転換期に思うこと

働き方の先駆者に問う。フリーランスの生き方、そして時代の転換期に思うこと
去る3月16日(金)、Lancer of the Year 2018が開催されました。今回で4回目を迎える当セレモニーの中から、活躍されるフリーランスをお招きしておこなうパネルディスカッションの様子をお届けします。政府の『働き方改革』もより一層本格的に動き出している今、時代の先端を走る3名とランサーズ取締役 兼 新しい働き方研究所所長・曽根秀晶の討論をぜひお楽しみください。
LANCER SCORE
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登壇者およびファシリテーターのご紹介


多摩美術大学卒業後、大手IT企業に就職。現在も正社員として勤務する一方で、休日に複業としてランサーズで働いている。ランサーズを始めた理由は、デザインスキルの向上のため。ランサーズで得た報酬で、結婚式をあげられたとか。社内では「Lancers Wedding」と騒がれているとの噂も。

前職は海上保安庁に勤務し、巡視船で船舶料理士やヘリコプター降下員として、人命救助に従事。退職後、フリーライターへ。結婚・出産・育児・離婚・再婚と波乱万丈な半生を送る。2児の母。現在はWebライティングの講師業もスタート。「最強で最高のライティング集団をつくる」ことが夢。

大学時代にマジシャンとしての活動を開始。マジックの技術向上のため、海外の資料を読むようになったことがきかっけで英語翻訳家としての道を志すように。英検1級(G1+3)、TOEIC Listening: 495/495 Reading: 470/495。人の心や精神について強い興味をもっている。

東京大学卒。2007年より、マッキンゼー・アンド・カンパニーにてコンサルタントとして様々なプロジェクトに従事。2010年より楽天株式会社にて「楽天市場」の営業・事業戦略、海外事業のM&A、グループ全体の経営戦略をリード。2015年よりランサーズ株式会社に参画。建築学部出身のためか、建築について振ると話は尽きない。

フリーランスの経済規模が20兆円を突破!進む「働き方改革」

freelance report economic scale

まずは、2015年からランサーズがおこなっている「フリーランス実態調査」からご説明できればと思います。1つ目のトピックが「フリーランスの経済規模と収入」について。

調査によると、2018年フリーランスの経済規模は20兆円を超えました。日本の総給与支払い額が約200兆円あるなかで、10%超えてきたかと。昨年比で1.5兆円増えていることから、年々フリーランスの社会的影響が大きくなってきていると考えられます。

それに伴うかたちで、フリーランス個人の年間報酬額も昨年比で12%増えている。つまり、フリーランスの年収自体もあがってきているということです。そこで、はじめに来場者の皆さんが一番気になることをお聞きしたいのですが……ぶっちゃけ、年収はあがっていますか?

ずーっとあがっている感じです。最初の頃に比べると、もう数倍って感じで(笑)。

数倍! 三浦さんはどうですか?

私も毎年、階段を一歩ずつ……確実に(笑)。

freelance report population

期待通りの回答ありがとうございます(笑)。報酬はあがっているということですが、一方でフリーランスの人口は2017年で1,122万人、2018年は1,119万人とほぼ横ばいといった感じで、非常に興味深いデータだなと思っています。

「フリーランス元年」といわれる2018年に横ばいということは、フリーランスに向けた仕事は増えている、けれどもフリーランスから社員に戻る方も増えているのかなと。いろいろな仮説が見えてくるデータだといえます。

ただ、複業・パラレルワーカーは増えている。調査結果を見ると、2017年の276万人から2018年は290万人に。このパラレルワークという働き方について、ぜひ堂本さん、岡さんにお話を伺えればと思うのですが、堂本さんいかがでしょうか?

Domoto who speaks with a microphone

私のまわりでも本業に関係する分野でスキルアップのために、ランサーズで仕事されている方はいらっしゃいます。なんか、この流れは強く実感するというか。

一時期、起業ブームがありましたが、その波も過ぎて、新しい会社も減っていったりとか。起業しても立ち行かなくなったり。昔より企業への信頼感は低くなっているんじゃないかなという印象はあります。

今の時代、いくつもの会社・仕事の転換を考えられる方も多くなっていますし。その流れとして、パラレルワーカーがあるんじゃないかなと。

なるほど。岡さんはいかがですか。まわりで複業をしている人は増えてきていますか?

そうですね。自分は今の会社に勤めていて、実際、同僚や同じIT業界のなかで複業をやられている方は多くなってきた印象です。

IT業界で多いって感じですか?

近くにはいますね。やはり、1つの会社に長く勤めるっていう感覚が変わってきてます。

社内ではそのような感じなんですね。社外ではどうですか?

自分がランサーズさん経由で取材を受けるようになってからは、違う業界の方からも「複業をしている」と声をいただくようになって。「あっ、複業している人って増えているんだな」と気づきはじめました。

今はランサーズですごい複業がやりやすくなっていると思っていて。最初は「トラブルになったらどうしよう」「本業に影響したらどうしよう」と契約まわりや金銭面で躊躇しちゃうんです。僕も結構相談を受けたりしました。

でも、ランサーズは金銭面のやりとりが本当に楽なので、余計に気を取られることが減って複業のハードルも下がっているのかなと思います。

初受注は「カニに関する100本の記事」。地道な執筆の先で得るものを意識していた

Miura who speaks with a microphone

では、2つ目のテーマに移りたいと思います。ランサーズでの働き方という点で「今まで経験した苦労とその乗り越え方」をお伺いできればと思います。では、三浦さんからいかがでしょうか?

私はあの……初めて受けた記事が「カニについて100記事書いてくれ」というもので。

Sone who speaks with a microphone

みなさん、カニについて100記事ですよ! 書けますかっ!(笑)。

(会場 笑)

まず、「毛ガニとは何か」からはじまり「いつ美味しいのか」「美味しい塩茹での仕方」など。タイトル案もいただけなかったので、右も左も分からない状況で、すごい苦労しました(笑)。その後、タイトル案を出して「これでお願いします!」とOKもらってからは、タイトルに沿ってプロット書いて。この案件はまるまる1ヶ月……。

まるまる1ヶ月!

ずっとカニのことを考え続けて。でも、これだけでも稼げるんだって実感できて「これなら続けられるぞ!」と思えたのはあります。

我々はフリーランスの最初に迎える壁として10万円を捉えていたりするんですけども、月収10万円を超えるまでの期間は、当初のイメージと比べてどうでしたか? 思った通りだったのか、想像以上に苦労したのか。

私はびっくりですね。こんなにもらっていいものかと。カニについて調べただけなのに(笑)。

カニで喜んでいいのかと(笑)。

はい。でも、本当にやる気さえあればしっかり稼げるんだなということ。特別な苦労というよりは、しっかりと報酬がいただけて、自分も学ぶことができたなって。

100記事って途方もない数だなと最初は思っていたんですけども、書き終えた時に何を得るかというのを意識しながら。100記事だけだと辛いんですけども、その先を見ると充実した実感があって、それで頑張っていけたと思います。

あと、私は離婚をしていて人生山あり谷あり……。2つくらい谷のある人生だったので、恋愛のジャンルを中心に執筆していました。でも、そればっかりだと受注数も限られてきて、自分でライターとしての伸びしろを狭めてしまっているんじゃないかと思いまして。苦手なジャンルの記事にも取り組んでいくようになりましたね。

では、自分が得意としている分野以外にも、あえて積極的に広げていくことで、可能性が広がっていったということなんでしょうか。

はい。それで、自分自身の調べる力だとか、クライアントさんが何を望んでいるのか察する力が磨かれたのかなと思っています。

得意分野だけ依頼されるわけではない。トレンドを先回りして学習する姿勢が重要

Domoto who speaks with a microphone2

自分が普段飛び込んでいかないジャンルという意味では、ライターや翻訳家って扱う分野がいつも得意なものだけとは限りません。でも、苦手なジャンルだけど挑戦してみようってのは、クライアント様に悪影響を与える可能性がなきにしもあらずなんですね。

なので、あらかじめ今どういった分野の依頼が多いか調べるようにしています。「これから人工知能や仮想通貨がトレンドになりそう」みたいな。先回りして勉強していたんですね。統計学を勉強してみたりとか、海外の契約書を翻訳する際に、日本の契約書と解釈が違ったので、海外の法文化を本を読んで勉強してみたり。

経験した苦労ってそのあたりなんですけども、全部先に繋がっているので。その瞬間瞬間は辛いんですけど、後々に生きてきますし、目に見えて単価も上がるので。「専門性のある記事を翻訳できます」と言えますしね。

すごい戦略的でロジカルですね。技術的に仮想通貨や人工知能がくるとか、どういうところで知識を得たり、「あっ、これくるな!」って感じたりするんですか?

TwitterやFacebookでどういうプロモーションが流れてくるかだとか、他にもGoogleでニュースを検索した時にどういったものが流れてくるかとか。また、いろんな企業の人をフォローしていくと「最近こういった分野のつぶやきが多いな」と見えてくるときがあるんです。

どういった仕事が増えそうかあらかじめ予想し、それに応じてバックボーンを蓄えておくことが、特にライターや翻訳家には必要なんじゃないかなと思っています。

ありがとうございます。ライターの方も多いと思いますが、苦手な分野や専門分野も少しずつ強みにしていくといったことを、ぜひ参考にしていただければと嬉しいです。

初期は修正対応に大苦戦。クライアントとのコミュニケーションに課題があった

Oka who speaks with a microphone

堂本さん、三浦さんと比べて、岡さんは本業と並行して活動されてるわけですけども、つらいなーっていう壁はどう乗り越えてきましたか?

始めたばかりの頃、コンペの選定が終了した後に「修正対応をしてくれませんか?」とクライアントさんから連絡が来たことがありまして。何もわからず「いいですよ」と返事をしたら、そこからほんとーに修正が終わらなくて……。

「別のデザインパターンも見てみたい」とか「ちょっと違う色も見てみたい」とか。もう、このクライアントさんに希望のデザインなんてないんじゃないかなってくらい(笑)。結局、3ヶ月くらいかかって。

3ヶ月も!

当時は終わらせ方がわかんなくて、200回くらい作り直したのですが、報酬はコンペの当選金額のみで。最初に痛い目にあったので、そこから契約まわりはきっちり握らなくてはダメだと思い「修正は3回まで」と事前にお伝えするようにしています。

それ以上は相談して、追加料金か、できる範囲で対応しますといった感じ。クライアントさんとのコミュニケーションを大事にするようにしています。

最初のコミュニケーションというのは、クライアントさんから直接依頼の相談が来てから?

そうです。「サイトのデザインをしてくれませんか?」って話が来たら、見積もりとともにスケジュールもあわせて出して、最初に3パターンくらいのデザインを提案するんです。それから、1個選んでいただき方向性を決めたあと、完了まで進めて、微修正が発生した場合は3回まで対応します、といった感じです。

受賞後、一番の変化は周囲の反応。家族・仕事仲間から認められるように

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では、3つ目のテーマに入ります。来場者の皆さん、気になっているのではないかと思いますが、続いては「Lancer of the Year 受賞後の変化」についてお伺いします。では、まず堂本さんからお願いします。

一言でいうと「すごい人」っていうステータスがついたことです。2015年に賞をいただいた時に、僕は北海道のコワーキングスペースで仲間と一緒に仕事していました。プロジェクトが一部一緒の仲間や、ただ仕事空間が同じだったりという関係です。

そこに僕の棚があったので、受賞時にいただいた盾を飾ってあったんですね。そしたらみんなが「これ何?」って聞いてくれて。「実はLancer of the Year ってので賞をいただいて」と。

その頃には、ランサーズがクラウドソーシングの会社として認知が高まっているところだったので、「あのランサーズの表彰なの!」となったんですね。

おかげで、コワーキングスペースの中で「翻訳は堂本にお願いしようか」みたいな感じで、一気に引き受けることができて、仲間うちからの評価もあがりました。

ぜひ、もっと発信していただけますと(笑)。三浦さんはいかがですか?

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私も賞をいただいてからFacebookに受賞時の記事をシェアしたら、それを見た企業様からお声がけをいただいたりとか、新しい縁が広がっていったというのがあります。あと、まわりのママ友の反応も。

どうしても子育てで外に出れず、でも仕事したいなーって漠然と考えている友達から「どうやって稼いでいるん? 教えてよー」「お得なものを自分1人で秘密にしてないでシェアしてよー」みたいな感じで。

それで「クラウドソーシングとはこういうものだよ」という話をネタにして、お茶会をしたりして。結構盛り上がりましたね(笑)。友達の1人は、今では「パートよりランサーズのほうが稼げる」と言ってたり。

それまでの私は、自分で「フリーライター」と言っているだけだったので、こうして賞をいただけたおかげでまわりにも認めてもらえるんだと実感しています。

ありがとうございます。我々からの取材にも多く応じていただいている岡さんは、その点いかがですか?

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まさに受賞後に政府の「働き方改革」の波があって、そこに乗っかった形なんですけども、ランサーズさん経由で取材が本当に多くなって。AERAさんだったり、日経新聞さんだったり。

日経新聞なんて、親族がザワつきました(笑)。「なぜ、君が出ているんだ」と。まあ、親族だけじゃなく、記事を見た知人の知人だったりから依頼が舞い込むようになって、受賞前はランサーズさん経由の受注が100%だったんですけども、受賞後は記事経由での依頼が70%ほどになりました。

そのような傾向があるんですね。堂本さんは継続の案件と新規の案件の比率って、受賞前後で変わられましたか?

依頼の内容というか継続性が変わってきましたね。賞をいただいた後は、クライアント様からのメッセージもコピペではないというか……僕宛てに作られた文章だと読めば感じるんです。

「です・ます調」ではないというか、ちょっとフレンドリーに感じる。僕の名前が文章中に何度も出てくるなと。「堂本秋次様、この度は〜堂本様のプロフィールを拝見いたしまして〜堂本様は●●をしていらっしゃると伺っておりますので〜堂本様〜堂本様……」。

(会場 笑)

それもLancer of the Year のおかげなのかなと。その瞬間に賞の価値というか箔(はく)を感じましたね。

   <パネルディスカッションは後編に続く ※後編は来週4月5日(木)に掲載予定です>
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