フリーランスが陥りがちなトラブル、その回避策をフリーランス協会代表に訊く

フリーランスが陥りがちなトラブル、その回避策をフリーランス協会代表に訊く
ここ数年、日本でフリーランス人口が急速に伸びています。時間や場所を拘束されない新しい働き方として、注目を集めるフリーランスですが、その一方で、多くのトラブルに巻き込まれやすいリスクも抱えています。フリーランスの陥りがちなトラブルとその回避方法を、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会(以下、フリーランス協会)代表理事の平田麻莉さんに伺いました。
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「フリーランス=不安定」を覆せるか?

広報に携わっていた会社員時代を経て、今年でフリーランス歴7年目となる協会代表理事の平田さん。現在は複数の会社で広報を担う以外にも、エグゼクティブ人材教育のための教材作りや翻訳なども手掛けています。会社勤務、フリーランス両方の経験を持つ平田さんは、フリーランスの働き方を大いに気に入っている一方で、フリーランスが背負ってしまう多くの不便さを身近に感じてきました。

仕事の確保や収入面などで不安定なイメージがつきまとううえに、予期せぬトラブルには自分一人の力で対応していくしかないフリーランス。「一人ひとりが安心して、自分らしい働き方を選択できる社会を作りたい」。そう考えた平田さんは、フリーランス協会を立ち上げ、国内初のフリーランス専用の保険を提供開始しました。今回は、フリーランスが実際に体験しがちなトラブルと、その回避方法について、平田さんにお聞きしました。

――2017年、フリーランス協会を設立されました。きっかけは何でしょう?

去年、経済産業省主導で「雇用によらない働き方研究会」というプロジェクトが立ち上がりました。そのニュースを見て、私たちの時代が来た! とさっそくFacebookでシェアしたんです。そうしたら、周りのフリーランス仲間からのコメントがものすごくたくさん付いてびっくりしました。

その研究会に呼ばれていたのは、ランサーズを始めとしたプラットフォーマーが中心でした。

私自身を含め、どこの組織やプラットフォームにも所属していない「ピン芸人」のフリーランスも多いわけですけれど、世の中に私たちの声も届けていきたいよねと勝手な使命感というか勢いで、株式会社Warisの田中美和さんに相談に乗ってもらいました。そうしたら、一緒に声を上げていこうと言ってくださって、その後、意気投合できる良いメンバーたちとも出会って協会を立ち上げることになりました。

フリーランスみんなの声を一つにする場があったらいいのにというのは、ずっと漠然と思っていたので、それを形に出来てよかったです。

――具体的には、どのように形にしていったのですか?

最初に始めたのは、Warisやランサーズを始めとした賛助企業を集めたことです。一軒一軒回って、協会の趣旨を説明して。共感が共感を呼び、ご紹介いただいた企業も含めて、結局、賛助企業は23社集まりました。有り難いことです。

なぜ法人会員を先に集めたかというと、それはアテンションを取るためです。個人がいきなり叫んでも、誰も耳を貸してくれませんが、企業が23社も集まってくれたおかげでメディアの注目も浴びやすくなりました。そうすると、「フリーランスのみなさ~ん」と呼びかける分かりやすい旗を立てられますよね。

私たちフリーランスは基本的に、あえて組織に属さずに働いているわけなので、協会を設立することで組織化しようとか、そういう風に考えているわけではありません。しかし、声を集めて、共助を行なう場はあっても良いんじゃないかと思っています。協会がスケールして、多様な声が集まれば集まるほど、耳を傾けてくれる人が増えます。

「ワーカー主体のオープンで緩やかなつながりを持ったプラットフォーム」になりたいと設立当初から言っているのですが、必要な人が、必要な時に、声を届けてくれたり、私たちの提供するサービスやイベントに参加したり、課題意識を持って自らプロジェクトを立ち上げて活動したり、という場になれたらいいなと思っています。

フリーランス協会とは

――現在、フリーランス協会では、どのような活動をされていますか?

第一に、フリーランス同士のコミュニティ作りがあります。フリーランスには、病気の時のヘルプや、スキルアップ、切磋琢磨する仲間作りが必要だと思います。異業種同士チームを組んで、大きな仕事を取りに行く、そんなニーズもあります。なので、気の合う仲間を見つけられる勉強会やイベント・セミナーなどを企画しています。

また、この秋に、フリーランスのための「ベネフィットプラン」をリリースしました。年会費1万円で、何かトラブルがあった時の賠償責任を代わりに補償してくれる「個人賠償責任保険」と「WELBOX」が利用できます。WELBOXは、大企業などでも使われている福利厚生サービスで、健康診断や人間ドックの助成などがあります。その他にも、病気や怪我で働けない期間、報酬を補償してくれる「所得保障制度」に、通常の半額程度で加入できたり、コワーキングスペースやクラウド会計サービスなど、フリーランスがよく使う事業支援サービスが優待利用できるなどの特典があります。例えば、今ChatWorkの有料プランを使われている方も、協会に入会した翌月から無料になる特典があるんですよ。

時には「命取り」にもなる、フリーランスのトラブル

――なるほど。そうはいっても、仕事をするのに保険まで入るのはなんだか大げさな気がしますね。実際、これまでフリーランスのトラブルにはどんなものがありましたか?

よく皆さん心配されるのが、著作権侵害で訴えられるケースですね。納品した成果物が、他社のコンテンツや作品に酷似しているがゆえに訴えられてしまうリスクです。

どんな小さな画像、テキスト、写真でも、すべてのものには、著作権・肖像権があると始めから認識しておくことが大前提です。出展元を記載して引用すれば大丈夫だという誤認識もあるようですが、実は引用には細かいルールがあって、場合によっては無断転載と捉えられかねません。判断に迷う場合は勝手に判断せず、予め所有者を探し、許可を得ておくと安心です。

――他にはどんなトラブルがありますか?

フリーランスの方の事故や病気が原因で、納期を遅延してしまい、システムのリリースが遅れたというケースです。こういった事態を避けるためには、自分が働けなくなった時に、代わりに業務を進めてくれるフリーランス仲間を作っておくことが重要です。また、取引先と揉めないように、予めそうした不測の事態の際にどう対応するかを契約書やメールベースで握っておくのもおすすめです。

いずれにしても、事故・病気が発生してしまったら、自己判断で対策を講じようとする前に、いち早く発注主に連絡を取り、状況を説明した方が良いと思います。私も一度、苦い経験がありましたが、時間をおけばおくほど、事態は深刻になります。できるだけ早い段階で、報告できるように準備しておきたいものです。

――確かに、いざというときは上司や部下が仕事をフォローしてくれるような、会社の環境とは違いますよね。1人で仕事を請け負うことの大変さがよくわかります。

また、パソコンの置き忘れや盗難に遭ってしまい、「情報漏えい」で訴えられるリスクもあります。情報漏洩対策として、パソコンを起動する際のパスワード、仕事関連のドキュメントやクラウドサービスにアクセスする際のパスワードなど、多少面倒でも何重にもパスワードをかけておきたいものです。ワードやエクセルなどのファイルでも、なるべくローカルに保存せず、GoogleDriveやOneDriveなどクラウド上で保存、同期しておくと、誰かにアクセスされた時に履歴で分かるというメリットがあります。そもそもパソコンの置き忘れ、盗難が発生しないようセキュリティワイヤーロックをつけるなり、パソコンを外すと音の鳴るセキュリティアラームをつけておくような対策もありますね。

今は特に、クラウドで作業するフリーランスの方も多いと思います。ここでは、こまめにパスワードを変えるようにし、くれぐれも情報が漏れないように細心の注意を払ってくださいね。

――ここまで聞くと、いつどこでトラブルに遭うのか怖くなってきますね。

フリーランスは、色々なリスクを全部一人で抱えています。会社に属していれば、トラブルの対応コストは会社が負担してくれるんですが、フリーランスの場合はそのような後ろ盾もありませんから。

いくら気を付けていても、予期せぬところで起こってしまうのがトラブルなんです。特に、フリーランスのように個人で請け負う仕事でのトラブルは、発注主との信頼関係にも大いに影響しますよね。まさに「命取り」になりかねません。

安心してフリーランスでいるために考えたいこと

――現在フリーランスの方はもちろん、今後フリーランスになりたいと思っている方もたくさんいると思います。安心して働くためには、どうすればいいでしょうか?

今回、こちらでご紹介したトラブル事例と回避方法は、今日からでもできることばかりですので、参考になったら嬉しいです。それだけでは心細い方は、フリーランス協会の賠償責任保険をご検討いただいてもいいかもしれませんね。

フリーランスは、取ってきた仕事を最初から最後まで1人でしなければいけません。備えすぎて困ることは、一切ないと思います。あらゆる職種のフリーランスの方に安心してキャリアを積んでいただくために、私たちも様々なリスクヘッジの方法を発信していきたいと思います。

(おわり)

撮影協力:SPACES大手町

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