税理士さんから教わった、副業者が知っておくべき10のこと。経費って? 会社バレの防ぎ方は?

税理士さんから教わった、副業者が知っておくべき10のこと。経費って? 会社バレの防ぎ方は?
副業をしている人、これから始める人が知っておきたい「税理士さんが語る副業10の秘密」。税金のことや会社にバレない方法など、今すぐ使えるティップスをご紹介いただきました。副業について考えるイベント『【#アタラシイ時間】ドーナツを食べながら「副業」について考える!?~輪になって対話しよう!~』の様子をお届けします。
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税理士が教える10の副業の秘密

7月3日に開催された副業について考えるイベント『【#アタラシイ時間】ドーナツを食べながら「副業」について考える!?~輪になって対話しよう!~』から、基調講演『税理士が教える10の副業の秘密』の内容をお届けします。

お話くださったのは、高橋創税理士事務所 所長の高橋 創 氏。THE LANCERでは以前にも、高橋先生にお話を伺っています。私たちが税理士さんに抱く「なんか固そう」の印象をひっくり返すほど、フランクで話し上手な高橋先生。本イベントでは、副業とお金と税についての秘密を教えてくださいました。

副業を実践している人、これから副業に挑戦したい人は抑えておきたい、10の秘密についての講演内容をご覧ください。

副業ってなんですか?

こんにちは。税理士の高橋と申します。滅茶苦茶緊張しているので、温かい目で見ていただければと思います。お話を始める前に、まず、一つだけお願いがあります。こういうところに税理士が来て話すということって、あんまりないんです。

でも、こうやって呼んでいただけるのは、すごくうれしいので、また呼ばれたい。温かい目で、「そうだよね」みたいなリアクションとかを、関係各位に見えるようにやっていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

「税理士が教える10の副業の秘密」というタイトルでお話しさせていただきます。秘密というほどの秘密ではないかもしれませんが、副業をするにあたって知っておいたほうがいいことを紹介できればと思っています。

とりあえず、最初に自己紹介をします。私、高橋と申しまして、東京都杉並区生まれ、八王子育ちの44歳で、今、浅草に住んでいると。仕事自体は、新宿の2丁目のほうで、オネエたちに紛れて税理士事務所をやっています。開業して11年目ぐらいです。

副業というテーマに合わせたわけではありませんが、私も税理士というメインの仕事がありながら、新宿のゴールデン街で、無銘喫茶というバーをやっています。ある意味、副業みたいなものです。まったく儲からないですけど。あと今年から、うっかりYouTubeとネットショップを始めてしまいました。

もろもろやっていますので、副業をやっていらっしゃる方にとっては、お仲間みたいなものです。これからやろうと思っている方は、私も全然、儲かっているわけではありませんので、同じような立ち位置にいる人間だと思って聞いてください。

副業、副業って言いますが、最初に『副業とはなにか』をちゃんと知っておいたほうがいいだろうなと思って、Wikipediaで調べてみました。そうしたら、「副業(ふくぎょう)は収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。兼業、サイドビジネスともよばれる。」というふうに書いてあったんですが、前々からずっと疑問があって。

副業禁止の会社ってあるじゃないですか。そういう会社でも、株式投資や不動産投資をやっている先輩や上司がいたはずなんです。それって副業じゃないのかなって、ずっと思っていたんですけども。

改めて調べてみたら、貯蓄や資産運用に属するものというのは副業じゃないよと。それから、一定規模以下の不動産賃貸業、不動産投資に関しては、「副業じゃありませんよ」ということになっていたみたいです。なので今日お話しをする副業というのは、投資以外の話だと思ってください。

昨今の副業は、第二次副業ブーム

今回の副業、結構ブームだなと思いますが、(副業がブームになるのは)私が税理士になってからは2回目なんです。1回目とカウントできるのは、5年前ぐらいにブームがありました。どういうブームかというと、「税金業界的な第1次副業ブーム」って書きました。

お勤めになっていらっしゃる方が、給料に対してかかる税金を減らすための副業です。例えばデザインの副業をやっていることにして、飲み食いした経費とかをいっぱい積んで、赤字を作ろうと。副業の赤字を作って、本業の給料とぶつければ、その分、税金が返ってくるよねというスキームが流行ったんです。

最終的に、それを指南していたコンサルタントの社長が逮捕されました。やっちゃいけないことをやっていたので、それがだめだよということになって沈静化しました。

しばらく、副業、副業って言われなくなったと思ったら、今度は働き方改革とかで出てきたなと。私の中では、第1次ブームのときの副業というのは、あくまでも税金を戻してもらう行為。

要するに、赤字を作るというネガティブな副業が多かった印象ですが、今、皆さんがやられていたりとか、考えているものは、恐らく、利益を生む、もっとお金を稼ぐためのものだと思うので、すごくポジティブなのかなと思っています。

ということを踏まえたうえで、副業の10の秘密、10のポイントみたいなのをご紹介していきます。

(1)副業の始まりはいつ?

副業を始めようと思ったときに、自分はいつ開業したことになるんだろうというので悩む方いらっしゃいます。極論ですが、副業に関していつ始まったかを正確に把握する必要はありません。

ただ、税務署に提出する書類がありますので、そこには何か書かなきゃだめ。準備を始めた日でもいいし、仕事を始めた日でもいいし、入金があった日でもいいし、好きにしてください。何となく日を決めて、「ここでスタートしましたよ」ってことにすれば大丈夫です。

法人と違って登記が必要なものではないので、そこまで厳密なことはしません。「開業届を出さなきゃいけないんですか」って質問を頻繁にいただきますが、別に開業届を出さなくても罰則はないんです。

開業届を出していないから税金を払わなくていいというほど、税務署は優しくないので、開業届を出そうが出すまいが、稼いでいれば申告しなきゃいけないんです。ただ青色申告をやろうと思っている方は、期限だけ気をつけてください。

(2)副業用の口座は必要?

副業を始めるときに、支払いや入金があるので、「副業用の銀行の口座を作る必要があるか」という質問が多いです。これはもう、作ってください。

副業を始めたのはいいけれども、「確定申告するの面倒くさいから、税理士にぶん投げますよ」とか、今だったら、マネーフォワードさんとかfreeeさんとかのソフトを使うときに、私生活のものと、商売のものが混じっていると面倒くさいんです。

税理士の視点で申し訳ないんですけど、商売のことだけ抽出できるほうが楽なので、ぜひ、副業のものについては、口座を作っていただければ。そのほうが、単純に損益もわかりますしね。儲かっているんだっけということが。

(3)副業で借り入れってできる?

副業はしたいけどお金がないという方、いらっしゃると思います。そういう方は、銀行からの借り入れというのを考えるかもしれないですけども、借入自体は可能です。実際に、私も手続きを取ったことがあるので間違いないです。

相談に行ったときに、質問されたことがいくつかあります。まずひとつ目が、「お勤めの会社は副業OKなんですか」って話。それが一番大きいですね。次に、用途がはっきりしているか。「何となく運転資金に必要だから」では、なかなか貸してくれません。設備投資をしたいとか仕入れをしたいというのは、明確にしておきましょう。

肝心なのが、返済できる見込みがあるかなんです。これは副業の人のほうが、返済見込みがあると見てもらえます。何の収入もないのに商売を始めますよりも、「良い会社に勤めています。でも副業やります」のほうが、何かあったときにお金を払えるわけですから。

「むしろアドバンテージですよ」と国民生活金融公庫の方が言ってましたので、間違いではないとは思います。お金がなかったとしても、副業を始められないことはありません。

(4)確定申告はしなきゃダメ?

ちょっと税理士っぽい話、って(税理士の私が)言うと変ですけど、確定申告という局面の話をします。いつ、どうなったら確定申告が必要なのかを質問されることが多いです。

儲かったらしてください、というのが結論ですね。(スライドの)下のほうに、こういう場合には確定申告をしなくていいですよ、というのがあります。年間20万円以上の利益が上がるのであれば、確定申告をしなければいけないと思ってください。

逆に、1年やって20万円以上にならなかったら、その職業を考え直したほうがいいかもしれないです。なので、副業が順調なら確定申告をしなくてはいけない、というのを覚えておいてください。

(5)副業でも経費が認められる?

確定申告で皆さんがやらなければいけないのは、入ってきた金額から経費を引いて利益がいくらかを示すという、家計簿つけみたいな話です。収入というのは、入ってきた金額だからすぐわかるんですよ。逆に、なかなかわからない、税理士がすごく質問されるのが、経費ってどこまでが入りますかという話。

経費って何ですか。経費については、ケース・バイ・ケースなので、一概には言えないですが、基本的な考え方は、こんな感じです。

原則としては、商売をするためにかかったものは、全部、必要経費にできます。「売上の何割ぐらいだったらいけますか?」とか、「トータルの金額でいくらぐらいだったら、経費OKですか?」という質問をされるんですけれども。金額とか割合の縛りなんて、ゼロだと思ってください。必要なものであれば全部を経費にできる、という話です。

悩ましいのが、個人で払った支出の場合。これは税法の考え方だと三つにわけます。ひとつ目が、明らかに経費というもの。例えば、物を売る商売をやっている人が、仕入れをしましたというのは、もう明らかな経費です。

それから、明らかな生活費。旅行に行きましたとか、ご飯を食べましたとか。これはもう絶対に経費にはなりません。

問題になるのは、経費なのか生活費なのかがわからないやつ。例えば、自宅で仕事をしている人の家賃、光熱費。あとは、コワーキングスペースや喫茶店なんかで仕事をしている人とかもね。もうどっちだかわからないやつ、というのがあります。

ここについて、「もうとりあえず入れちゃおうぜ」みたいな文化がありますが、所得税法の中で、1個ルールが決まっていて。平たくいうと、このあいまいなものに関しては、原則論としては必要経費にできません。「どっちかわからないから、とりあえず入れちゃえ」は絶対にだめです。それが原則。

ただ特例として、「これ、何で入れてるんですか」と聞かれたときに、「こういう理由で、この割合をいれていますよ」とか、「こういう理由で、この金額を入れていますよ」と言えるものは大丈夫です。

生活費なのか経費なのかわからないものが出てきたときには、自分が税務署に聞かれたときに説明できるんだったら入れましょう。説明できないのだったらやめましょう。

そこを証明する義務は、税務署ではなくこちら側にあります。なので経費にしたいときには、とにかく一生懸命、言い訳を考える。それはとても大事なことになりますので、想像力を豊かに頑張っていただきたいなと思っています。

(6)経費で落ちるって?

経費に関して、本当にもう、皆さんがわれわれのところに相談に来たときに、一番困るやつが「これ、経費になりますよね」と言われて、「いや、ならないですよ」と言うと、「大丈夫って先輩が言っていた」とか。

誰だよ、先輩って。都市伝説なんですよ、何か知らないけど経費で落ちるというのは。

経費で落ちるということの意味合いなんですけど、まず、確定申告書を作りますよね。作ったときに、皆さんがそれを経費にするか、しないかということを考えます。その確定申告書を税務署に持っていきます。

税務署に行ったら、受け取ってくれたので、自分の判断を認めてもらえたと思う方がいらっしゃるんですけど。あの人たちは、ただの受付の人です。中身なんか見ていない。判子をポンとおして、「はい」返してくれるだけ。

なので、この段階は機械的に処理するだけです。次に、本当に大丈夫かをチェックするのが税務調査です。個人の税務調査は、大体、1日で終わります。だから、全項目をチェックすることはない。気になったところだけ確認されるということは、気になっていないところは、怪しかろうが何だろうがスルーされているわけです。

ただ、僕が目の敵にしている、皆さんの架空の先輩みたいな人は、1回、税務調査があったから、もう大丈夫だろうと思っているんだと推測します。

でも、税務調査が「大丈夫」と言ったわけではない。見ていなかっただけ。自分のところにチェックに来たときは、ダメとなる可能性があります。OKと決まったわけでなく、見過ごされているだけなので、次からも大丈夫の保証はありません。

そういう「先輩が大丈夫と言ったんで」ではなく、ちゃんと説明がつくかというのを基準に考えていただければと思います。

(7)副業に税務調査はくる?

税務調査のお話をしたんですけれども、副業をやっている人に税務調査が来るかどうか、ということです。

税務調査28年度の実地調査の件数が6万です。個人事業主が約200万人いるので、大体、3%ぐらいの人のところに入っていますが、この3%というのは、本業として個人事業をやっている人も含んでいます。副業の人で考えると、3%よりもっと少ない数字です。実質、来ないと思っていいでしょう。

今までの、うちの事務所で受けた話だと、副業の人に関しては、大体、電話で終わります。「このところが不審なんですけど、資料、送ってくんない?」とか。税務署から電話がかかってきて、送って終わるとか。

ですから、税務署の人が自宅に来ることを恐れているならば、まずは、相応に稼いでから考えましょう。あまり心配する必要はないので、気楽に思っていただいて結構です。

(8)副業は会社にバレる?

会社に副業がバレるというのを心配な方がいらっしゃいますよね。会社にバレる原因というのは、おおむねふたつです。

ひとつ目が、皆さんの確定申告の形跡というものが、一応、会社に送られてしまいます。確定申告書の普通徴収、「個人払いしますよ」という欄にチェックをしても、その数字自体が会社に行っちゃいます。なので丹念に見られたら、住民税の通知書からバレます。

それから、儲かってくると羽振りのいいことを喋りたくなるので、自分でぺらぺらと話してしまってバレる人もいらっしゃいます。
これを防ぐためには、対策としては、普通徴収でするという話を書いておきましたけれども、これは丹念に見たらバレるやつです。

その下にある、雑所得にする。一番オススメなのはこれです。開業届など出さずに、確定申告のときには、雑所得として申告をする。何百万と利益が出ていたら話が別ですが、そうでもなければ、もう雑所得でいいと思います。

会社の人に「何か雑所得がいっぱいあるけど、どうしたの?」と言われたら、「いや、ちょっと仮想通貨で儲かっちゃって」と言っておけば大丈夫です。仮想通貨は雑所得なので。

要するに仮想通貨であれ、民泊であれ、何となく許されている副業というのは、全部、雑所得に突っ込まれるので、紛れ込ませておけばいいわけですね。

さらに、ここに書きませんでしたが、絶対にバレない確実な方法、どれだけ儲けても大丈夫な方法というのは会社を作ることです。副業先からの収入を全部、作った会社の売上にしてしまう。でも、個人としての売上は発生しないでしょう?

その会社から、個人として給料を取りさえしなければ、会社に利益は残るけど個人の収入はないわけです。なので、会社にお金を突っ込んで、経費をいっぱい使って利益を減らして、法人税を極力減らして、個人の利益をゼロにすると、会社にバレることは一切ございません。

実際にうちのお客さんでも、何件も使っていますが、今のところ全く問題ありません。ひとつの知識として知っておいてください。

(9)副業に税理士は必要?

副業に税理士が必要かと問われると、僕が言うのも何ですけど、必要ないと思います。経理作業が面倒くさくて絶対にやりたくない、という人が頼んでいただければ。お金をかけてまでやる必要はない。さきほど「雑所得にしたほうがいいよ」とお伝えしましたけど、雑所得は計算も雑でいいので何となくできるのかなと思います。

中には、経理作業とか書類を作るのに、まったく向いていない人がいるので、そういう方は税理士を使うといいかなというとこです。

(10)マイナンバーで副業がバレる?

副業はバレるって言われるときに、マイナンバーが原因だと盛り上がった記憶があります。マイナンバーは、銀行口座とか、証券口座とか、確定申告書とか、源泉徴収票に書かれるので、こういった物が絡んでくる場合には、バレちゃう可能性はあります。

ただマイナンバーって、私たち個人と国の間の関係の話なので、そこを通じて、勤務先に伝わることって絶対ないはずなんです。脱税がバレることはあっても、副業がバレることはないはず。そういう意味では、怖がらなくていいのかなと思っています。

税理士さんが指南するオススメの申告方法

「副業をするのなら申告をしてね」って話なんですけれども、ざっとポイントだけお話ししておきます。

経費なんかは、もう生命線です。経費がある分、最終的に税金が安くなるということは、キャッシュバックと一緒なので、領収書は全部とっておいてください。

それから、副業についての住民税は、一応、普通徴収を選択したほうがいいですよということです。青色申告にするタイミングについても頻繁に質問されますが、青色申告って、お得な面があるけど義務もあるので良し悪しです。個人的には、無理に勧めていません。青にしなくていいんじゃないかなと思っています。

それから、規模が小さいうちは、雑所得で申告が一番いいと思います。勤務先にバレづらいし、計算が楽だし、税務調査来ることもほぼないです。規模が大きくなったら法人化して、会社にお金をためて、個人に来ないようにしたらいいんじゃないかなとい思ってます。

最後になりますが、副業にチャンレジするか悩んでいるという質問が多いんですけども。やろうかな、やんないかなって考えている方って結構多いんです。

われわれ税理士はそういう相談をされるべき立場なんですけども、敷居が高くて相談できないとか、そういう話がとても多いですが、税理士を見かけたら遠慮なく相談してください。

こういう副業をしようかというアイデアを持っている人とか、そういう人が実現していく様とかを見るのがとても楽しいので。迷惑かなと思わずに、気軽に相談していただければと思います。

という意味を込めて、去年から、LINE@を始めました。どのタイミングでも、気になったことがあったら、ぼんぼん質問していただけると嬉しいです。

こっちから営業をかけたりとかすることは一切ないので、使えれば使ってください。以上です。ご静聴ありがとうございました。

無料相談できるLINE@

高橋 創:1974年東京生まれ 東京都立大学(現首都大学東京)経済学部卒業。専門学校講師、会計事務所勤務を経て2007年に高橋創税理士事務所を開設。著書に「税務ビギナーのための税法・判例リサーチナビ(中央経済社)」、「図解 いちばん親切な税金の本17-18年版(ナツメ社)」「誰かに話したくなる税金喫茶(会計人コース)」がある。

 

(おわり)

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