Webライターの未来を語らう、ランサー座談会 in 京都

Webライターの未来を語らう、ランサー座談会 in 京都
京都で開催したランサー座談会をレポート。ランサーズで活躍する4名に「Webライターの未来、ランサーの未来」について語っていただきました。ぶっちゃけ月給は? 5年後も仕事はある? など3時間にわたる座談会から、オイシイところだけお届けします。
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ランサーの未来、5年後に活躍するライター像について話そう

2016年9月、ランサーズを通じてWebライターとなった4名にお集まりいただき、座談会を開催しました。ランサーになったきっかけや時期はさまざまですが、現在は本業のライターとして活躍している皆さんです。

ヘビーユーザーである4人に意見をいただくことで、ランサーズをより良いサービスにすることが目的。手数料のこと、システムのこと、案件単価のこと、運営側の対応のこと……。耳の痛い指摘を含めて、たくさんの貴重な意見をいただきました。

それぞれはサービスの改善につなげるとして、本稿ではもっと未来の話にフォーカス。ライティング分野を主戦場とするランサーさんに集まっていただき、ライターの未来をテーマに語っていただいた内容をお届けします。

【座談会参加ランサー プロフィール】

吉見夏実吉見 夏実さん/2012年からランサーズを利用。現在はライティングだけでなく、講師業も営む。月収50万円を稼ぐ主婦として、多数のメディア掲載・テレビ出演実績あり。ブログ

川崎 雄斗川崎 雄斗さん/2014年からランサーズを利用。2016年よりフリーランスとして本格的な活動を開始。以前はインドで会社員、帰国後に大阪でも会社員として勤めていた。ブログ

とっとこランサーとっとこランサーさん/2015年からランサーズを利用。兼業ライターとしてスタートするも、10ヶ月後に会社員時代の月給を超え独立。月収100万円超えの目標を宣言。ブログ

赤枝 加菜子赤枝 加菜子さん/2016年からランサーズを利用。結婚を機に仕事を辞め、滋賀県彦根市へ。求職中にランサーズを知り、小遣い稼ぎ目的でライターを始めるも、今では本業に。

※以下本文は関西弁のイントネーションに脳内変換すると臨場感が出るかもしれません

ランサーズのライターは、いくら稼いでいるのか

京都座談会

――皆さんに語っていただきたいのは、ライターの未来について。5年後も変わらずに稼げていますか? という大きなテーマなんです。その前に、現時点でどのくらい稼いでいるのかという下衆い質問を……みんな興味あると思うんですよ。

吉見:いまマネフォで確認してみました(笑)。今月はライター業だけで35万円。そこに講師としていただいてる分が乗っかってきますね。

以前はライティングだけでいくらまでいけるのか、自分のなかでチャレンジしたこともあったんです。でも飽きっぽいところがありまして(笑)。ほんまのこと言うと、ライティング以外の道を模索し始めたところで、書く仕事を減らしています。

いま受けている仕事は、ランサーズストアと付き合いのあるお客さんからだけですね。使ってる時間はどのくらいかな。わたし、書くのはめっちゃ速いんです。最近はスマホでどこまでやれるか挑戦してる。見出しとか構成をバスのなかで書いて、家に帰ったら本文をがーっと書く。

田舎の方に住んでるんでバス移動なんですけど、旅をしながら働くって憧れますよね。子供と旦那がおらんかったらやってます(笑)。

とっとこランサー(以降、とっとこ):ランサーズ単体だと、ざっくり60万円くらい。次はいくらで組もうかなと。200万円くらいある山のなかから、どのジェンガを取ろうかなという感じです。

ただ、やり過ぎるとフリーになった意味がない。逆に、会社員にはない可能性があるじゃないですか。すごい広いマーケットのなかで、自分の力で取り引きできる。仕事量によって、収入をカスタマイズできるわけです。会社員だと8時間働くのが決まっていて、収入も固定のまま。でもフリーだと、ひとつの仕事を3時間で終えても5時間かけても同じ収入になるのはメリットですよね。

とはいえ、いまの60万円くらいは高くないと思ったりします。twitterとかをみると、200万円の人もいるじゃないですか。本当の1位、トップの人はどんな働き方でいくら稼いでるのか気になります。目下の目標である100万円超えるのは、ひとつの壁になるんだろうなと。

川﨑:ランサーズのライティングでもらっているのは、月収で15万円くらい。ほかに自分のメディアを立ち上げたり、情報商材を売るブログをやっています。なのでランサーズに使う時間は、1日で3時間程度。

僕、ライティングの師匠がいるんですよ、SEOのこととかメディアのことについて教えてくれる。出会ったのはランサーズで、お客さんでした。正直なところ、単価はめちゃくちゃ安かったんですけど……。

経験になるからって仕事をしてみたら、たしかに力が付きました。それからは仕事以外でも、「こんなメディアをやろうと思うんですけど」って質問すれば、「こういう理由でそれはやめたほうがいい」とか、アドバイスやノウハウを伝授してくれて。

運が良かっただけかもしれませんが、勉強させてくれるお客さんと接点を持てるのは嬉しい誤算でしたね。そこで得た知識を使って、自分のメデイアや情報商材を始めることができました。いずれはランサーズを使って、発注する側になりたいと思ってます。

赤枝:わたしの場合は、ランサーズ以外も合わせて30万円くらいです。ぜんぶライティングの仕事。もともとはお小遣い程度、就職先が決まるまでのつなぎになればと始めたんですが、いまは仕事を探す必要のない程度には稼げるようになりました。

特に受けているのは、取材が発生する案件ですね。大阪での取材が多くて交通費がもったいないので、まとめて何件か入れるようにして、楽しく働けてます。

以前から女性の働き方に興味というか、疑問があって。これまでは正社員として勤めていましたが、残業して終電で帰宅という日も多く、結婚して出産したら戻れないだろうなと思っていました。

それが在宅で働けるのは助かりますし、面識のないお客さんや信頼関係の築けていない相手の場合は、ランサーズを介して取り引きという安心感がありますよね。ですので収入をもっと増やすというよりも、やりたい仕事を選びながら、必要な分だけ稼げている感じです。

とっとこ:やっぱりクラウドソーシングって、ノーリスクで始められるのは大きいですよね。フリーランスになると、普通は自分でリスクを負わないといけない。

受注だったり回収だったり、ランサーズやエスクローというシステムがあることで、リスクが減ってますよね。自営業は回収が大変なので。

フリーランスが感じた苦労と乗り越え方

京都座談会の川﨑さん

――働き方や必要な収入は違うものの、現時点で必要と感じている分は稼げているということですね。では、そこに至るまでに苦労したことは? いきなり60万円も稼げたわけじゃないですよね。

吉見:苦労……したことは……。

――吉見さんって、苦労を「苦労」と感じないんですよね。

吉見:レベル上げることが楽しいタイプなので。それがあったからできたのかも。高単価のものを狙わないで、安いものをやってレベルをあげること。その分、仕事量は多かったですよ。

あ。それで言うと、当時はすごい首が凝った。最初に30万円達成したとき、60万文字くらい書いてたんですよ。もう、首のココから上が……。お金にゆとりないから整体なんていけず、ずっと首を振りながら書いてましたね。

――あれはどうですか? 爪の話。タイピングし過ぎて、爪が剥がれたやつは。

吉見:剥がれてはいないですけどね。

仕事ばっかりしてたから、子供の面倒を最低限も見れてない時期があって。「親が面倒を見てない子供は爪が伸びてる」と聞いて我が子を見ると、めっちゃ伸びてて(笑)。これはあかんなって、家族を大切にしようと反省しました。

そこからは単価の交渉をするようになって。最初の頃は文字単価0.6円が最高という、本当に安い仕事しか受けていなかったんです。でも交渉して安い仕事は断るようになって、気がつけば過去の最高単価が最低単価になって、さらに上がっていったという。

川﨑:僕は最初、タスクの存在を知らなかったので、プロジェクトだけ挑戦してたんですね。そうすると、初仕事をもらうまでが大変で。

やっと通った提案も、時給にすると60円くらい(笑)。ぜんぜん感覚がわからなくて、1記事800円を120本受けて、ひーひー言いながらなんとか納品しました。それが苦労ですかね。

ちょうどいま、値上げ交渉をしたいと思っているんですが、やりかたがわからなくて。コツがあれば知りたいです。

吉見:noteで書いてるんで買ってください。まぁ言いますけど(笑)。でもこういうふうに、冗談としていえるとかあるのかも。「ほんま生活が苦しいんでー」って冗談っぽく、でも実は本気で。

とっとこ:価格交渉するコツは、クライアントのニーズをリサーチすることかなと思います。クライアントにはそれぞれ、本当だったらやってほしいことってあるんじゃないのかな。たとえばWordPressで更新してるなら、それに合う形で納品するから1円上げてとか。

あとは泣き落としというか。忙しくなって安い仕事は断るしかない、けど良いお客さんだからつづけたいんです! 本当はつづけさせてもらいたいんで、1円上げてください!みたいに。

反面、下手に出すぎるのは良くないと思います。価格交渉で悩んでいる人って、素直に言えない場合が多いですよね。遠回しに言い過ぎるとへんな空気になるんで、上げてほしいという意思表示をストレートにすることじゃないですかね。

京都座談会の赤枝さん

川﨑:赤枝:なるほどー。

――みなさん、ほかに工夫していることってありますか?

川﨑:もともとブログを書いてたので、提案のメッセージでURL送るとか。あとは、安いテストライティングのときに、1,000文字というところを2,000文字にしたり、倍以上の労力と文字数で出したら通るようになりましたね。

吉見:わたしは運営者としてのランサーズを活用してました。仮入金をしてくれないクライアントとか、困った依頼をされたときに、「よくわからないんで運営に聞いてみますね」とか、「ランサーズに相談したら、こう言われたんで」とか。直接は言いづらいことや角が立つことも、運営側に言われたことにするという(笑)。

――(笑)。どんどん使ってください。

とっとこ:僕は時間の組み方を工夫しましたね。兼業でやってたんですけど、時間がないことを言い訳にしたくなかった。じゃあどうやって専業の人に勝つか、という工夫ですね。

具体的には、ニーズがどこにあるのかを徹底的に調べ上げる。当時はライターが16,000人くらいいたんですが、プロフィールを全部めくって。どこのジャンルが弱いのかとか、高単価の依頼があるジャンルはほかのライターが弱いところの可能性が高いですよね。

そうやって通りやすいところや単価を上げられる素地をつくりました。兼業で時間がない分、工夫するのは文字単価しかないじゃないですか。

――16,000人分は驚きですね。 赤枝さんは工夫したことや困ったこと、ありましたか?

赤枝:ある仕事を固定でいただけるようになったんですが、仕事量が多かったので、わたし以外の大勢のランサーさんにも依頼なさっていたんですね。で、ほかのランサーさんが取材のアポイントをドタキャンするというトラブルが発生して、全案件がストップということになって。

ほかの仕事は受注せず、予定を全部あけていたものですから大慌て。初歩的なことですけど、リスク分散をしておかないといけないと思い知らされました。

――なるほど……。ある意味、ほかのランサーさんとも運命共同体ですからね。そういうことされると、困っちゃうし、思うところがありますよね。

吉見:バルス!

(一同笑い)

ライターの仕事は増える? 減る? どうする?

京都座談会のとっとこランサーさん

――では本日のメインテーマ、ライターの未来はどうなる? について伺います。たとえば5年後、いまと同じように仕事があると思っていますか?

川﨑:楽観的に言うと、5年は大丈夫かなと思ってます。とはいえ検索で上位表示されるページは、大企業のメディアにぜんぶ取られるんじゃないか。そのあとは個人のブログが上に行く時代になるのかなとか、そんなことを考えてます。

とっとこ:ライティングの仕事自体が増えるとか減るではなく、ライターの数が変わるんじゃないですかね。誰でも書ける体験談のような仕事はなくなる。googleのアルゴリズムは変わるでしょうから、現在もてはやされている長文の記事もなくなるかな。

キュレーションもなくなっていくでしょうね。そうなると、この人にしか書けないという記事の需要だけ残って、誰でも書ける記事を担当していたライターの仕事は減るだろうと。5年どころか1年後にそうなるかもしれないと思ってます。

赤枝:質の悪い、ネットで集めた情報で書く仕事は減る。でも記事の数自体は変わらないで、質の良い記事だけが求められることになるんじゃないかと思ってます。最近でもありますが、医師が監修している記事とか、オーサリティのあるものが増えていくイメージです。

吉見:わたしは二つの可能性があるかなと思ってます。一方が、名前で依頼される人に集中すること。逆にその他大勢の人が書くような、体験談はなくならないんじゃないかって。

いつまでgoogleで検索する行為が残るかわからないですが、人間にしかできないリアルな体験を共有する記事は増えてもおかしくないと思ってます。

――共通して一次情報にしか価値がなくなると思っているようですね。では、それに備えて何か行動をしていますか?

川﨑:自分のメディアや情報商材をつくってるのは、そのひとつですね。ほかには、翻訳も得意なので、ライティングなら海外に出ていきたい。まだまだブルーオーシャン。海外向けのキーワードを選定してSEO記事を書くとかですね。

情報商材で訓練しているセールスライティングのスキルが使えるので、物販に挑戦しようとかも検討してます。

――なるほど。ライティングというひとつの力だけじゃなく、スキルの掛け合わせで市場価値を高めるという方法ですね。

赤枝:わたしはまだまだライターとしても駆け出しなので、文章の中身を高めることに注力してます。お客さんが喜ぶ文章を書くということは、その先の読者に喜ばれる、必要と感じてもらえる文章ですよね。

どちらの視点も大事にするためには、やっぱり情報が大切。医療関係の記事を書くのなら、看護師さん向けの本を読んだり、専門誌から知識を得るようにしています。

取材に行っても知識があれば、より深い話を聞き出せるじゃないですか。「そこまでの素地があるなら、もっと話ができるね」と言われて取材が盛り上がることもありますし。

同時に資格も考えてます。いまだとバストアップ関連の記事を受けているので、バストアップの民間資格。ライティングだけじゃなくて、サロンを開くこともできるんです。

資格がなくても記事やサロンはできますが、やっぱり安心感が違うだろうと。専門家、オーサリティを持つことで仕事を得ていければとの考えです。

京都座談会の吉見さん

吉見:わたしは……注意力散漫で集中力がないので、一個のことをつづけられない。性格が雑というのもあるんですけど。だからこそ、できることを増やす方向ですね。ワードプレスをちゃんとやるとか。……ちゃんとやるって言い方が雑やな(笑)。

ライティング以外の分野に手をだすってことですね。講師をはじめて教える方に行ったり。ランサーズの取り組みでも講師をやらせてもらったりしてますし、セミナー講師としてのノウハウを貯めている最中です。

ノウハウがあればライター以外にも使えるわけで。わたし、おっきなテーマとして世界平和があるんです。

――世界征服?

吉見:征服じゃなくて平和なんですけど、世界平和に貢献できることって何だろうというのをずっと考えてて。いまはお金をもらいながらですけど、ゆくゆくは貧困層とかに無償で講座を開いたり。ランサーズの使い方を教えることで、昔のわたしがそうだったんですけど、なんらかの理由で働けない人が仕事をできるような支援です。

スキルの掛け合わせという意味では、前々職が保険の営業やったんでFPの資格持ってるからマネー系のライターとか、前職がリラクゼーションサロンでマッサージしてたんで、そういう道もあるかもしれない。

――マッサージしながら資産運用のアドバイスとかですね。とっとこさんは?

とっとこ:考えているのは、お客さんのマーケティング課題を共有できるライターですかね。たとえばASPサービスを使ってる相手であれば、そもそもASPサービスのことを勉強して、どういう仕組と目的でライターに仕事が行くのかを理解する。少なくとも対等に話せるようになって、できれば助言や提案ができれば重宝してもらえるじゃないですか。

スキル面では、発注側のスキルを身につけることをやってます。アクセス解析ソフトを使えなければ、お客さんがどんなワードで集めたいとかわからないですし。提供するためのスキルとしては、一次情報を得るための努力ですね。

以前、書評を依頼されて、でも本は読まないで良いと。他のサイトにある情報を拾って書いてくれたら良いと言われたんですが、自分で買いました。お客さんには言わないで、書籍代で差し引き1,000円くらいの利益にしかならなかったけど、喜ばれるなら良いかなって。

一見すると生産性がめちゃめちゃ低いですが、結局はリピートに繋がって単価も上がるんです。普通のライターがやらないことをやるから、単価が高くなる。他の人がやらないことを好んでやっていくことが、本当の意味で努力だと思うんですよ。

――皆さんそれぞれ、未来に対する危機感というか、現状で安泰とは思っていないんですね。だからこそ、未来に向けた取り組みをなさっているということがわかりました。まだまだ話し足りないことがあると思いますが、座談会はこれにて終了とさせてください。貴重なお時間をありがとうございました。

座談会まとめ

京都座談会の集合写真

座談会の当日は、それぞれがフリーランスになった理由や活動内容、お金のことや未来の話、会社員と比べた働き方の変化、クラウドソーシングの利点と課題などについてさまざまな意見をいただきました。

特に印象的だったのは、それぞれが過去の経験・培ったスキルを活かしたり、現時点で新しい強みづくりに勤しんでいること。ある人は語学力であり、ある人はスピードであり、ある人はコミュニケーション力であり。

また顧客の潜在的なニーズをあぶり出し、記事作成だけではない付加価値づくりに取り組んでいることも注目に値します。自分自身を商品として、高く買ってもらうためのマーケティングを実践しているのでした。

もうひとつ。ランサーズで活躍するライターとして、現状にあぐらをかいていない姿勢も共通点。未来を見据え、勝ちつづけるためには、生き残るためにはなにをすべきかを模索しているのです。

いまの立ち位置と未来をひとつの線で結ぶ。その線は決して真っ直ぐなものではなく、ときには寄り道と思えるポイントを通過しながらも、ひとつなぎになる。この意識があれば、そう遠くない未来も活躍をつづけられるのでしょう。

座談会終了後は2次会(というかただの飲み会)を開催し、よりざっくばらんな意見も飛び出し……。ランサーさんと運営側の親睦を深めながら、京の夜は更けていったのでした。

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