夢は生涯現役フリーライター! 低時給の田舎町で専業主婦が出会った”稼げる在宅ワーク”とは?

専業主婦、パート、時短勤務で会社員……それだけじゃないママたちの選択肢
日本では各都道府県に最低賃金が定められています。なかでも最低賃金が一番高いのは、首都・東京。平成27年10月には、最低時給が907円に引き上げられたことが発表されました。(東京労働局より)
その一方、都市部を中心に賃金が引き上げられているのに対し、地方では依然として低賃金の状態が続いています。記事でご紹介する専業主婦フリーランス・かのぽむさんは長崎県在住。地方ならではの薄給でのパート勤務に、悩んだ過去を持つ女性の一人です。
たとえ働きたくても、社会との繋がりを得たくても、子どもの面倒を見ながら仕事を続けるのは難しい。そして、時短勤務で働いたとしても、給料は少ない。汗水垂らし働いた時間は、子どもの養育費に消えていく。
ママとして当然のことと知りながら、やりきれない虚しさを感じていた時、かのぽむさんはクラウドソーシングの存在を知りました。『選択肢を狭め、苦しい思いをしないで欲しい』働き方に変化が起きつつある今、新しいワークスタイルを手にしたかのぽむさんの言葉です。
「我が子の成長を母として見守る」「一人の女性として社会で活躍する」は両立出来ないのか?
かのぽむ:20代後半まで、地元・長崎のタウン情報誌の編集者として働いていた私は、結婚を機に会社を退職。子どもが生まれてからは毎日家事と育児に追われ、忙しい専業主婦生活を過ごしていました。
2人目の子どもが生まれ、上の子が幼稚園に通うようになると、毎月3万円以上かかる幼稚園の費用が家計を直撃。どんどん家計に余裕が無くなっていきました。この頃の私は心にも余裕が持てず、いつもイライラして怒ってばかり……。
ちょうどそんな折、同じ悩みを共感し合っていたママ友たちが、次々とパートで働きに出るようになりました。自分だけ取り残されることに焦った私は、何とか働き口を見つけようと懸命に仕事を探しましたが、”小さな子どもが2人いる”と言うだけで渋い顔をされ、不採用。なかなか仕事は見つかりませんでした。
「子どものために土日は休みたい」と希望しただけで求人はゼロに。就職に役立つような資格も持っていない子持ちの専業主婦に対する風当たりは、想像していた以上に厳しいものでした。
パートの2倍稼ぐのも夢じゃない! 無限に広がっていたフリーライターの可能性
かのぽむ:私が住んでいる長崎県の最低賃金は694円(平成27年度)。全国的に見ても低い水準で、都市部と比べて長時間働かなければ生活は成り立ちません。もし子ども2人を保育園に預け働いたとしても、収入のほとんどが保育園の費用に消えてしまいます。
「やっぱり、子どもとの時間を大切にしたい!」そう思った私は、インターネットを使って在宅でできる仕事を必死に探しました。そして、偶然に見つけたのが「クラウドソーシング」という働き方。人生が一歩前進した瞬間でした。
クラウドソーシングはインターネット環境さえあれば、世界中どこにいても仕事をすることができます。田舎に住んでいる私のような主婦でも、子育ての合間をぬって働くことができるのです。家を空け、大好きな子どもを保育園に預け、職場へ向かう必要もないのです。初心者にも取り組める案件は多く、パートより多く稼ぐことも夢ではありません。
幸い、私は子どもの頃から文章を書くのが得意。前職でタウン情報誌の編集者として働いていた経験も活かせると思いました。何より、自分でやりたい仕事を選ぶことができ、働く時間も自由であるクラウドソーシングでの働き方に魅了されました。
初めは月収数百円!? 厳しい現実を打破するために、勇気を出してプロジェクト案件へ挑戦
かのぽむ:理想の働き方に出会えたとはいえ、そう簡単に理想が現実になったわけではありません。初めは過酷な現実が待っていました。初報酬は1件10円前後。今振り返れば簡単な作業でしたが、慣れていないせいか時間がかかり、思うように件数をこなせない。執筆時間も家事・育児の関係で家族が寝静まった深夜に1時間ほどしか取ることができず、数カ月間は月収数百円の状態が続きました。
「なんとかこの状況を変えたい」と思った私は、勇気を出してプロジェクト案件に応募することを決意。しかし、最終的に受注に至るのは、多くの応募者からたったの数名だけ。資格や専門分野への強みを持っていなかった私は、誠実にありのままに子育て中の主婦である自分を伝え、案件に対する熱意を込めて応募しました。
想いが届いたのか、数件の案件で見事合格! 親切なクライアント様に恵まれ、適時指導をしていただきながら、無事納品を済ませ、数千円の報酬を得ることができたのです。あの時のクライアント様からの感謝の言葉、「支払い確定」の文字、そして通帳に記入された金額を見たときの感動は今も忘れることができません。
“自信がないから”とプロジェクト案件に提案しないのは間違い! クライアントが求めているのは、スキルより人間性
かのぽむ:確かにプロジェクト案件はタスク案件と比べ、難易度は高めです。クライアント様との密なコミュニケーションも必要となるでしょう。でも、かといってプロジェクト案件への提案を躊躇するのは、もったいない! そう断言できます。
まず、前提としてプロジェクト案件へ提案すること自体は”タダ”です。もちろんお金もかかりませんし、評価が下がることはありません。専業主婦でも平等にチャンスが与えられ、リスクも存在しないのです。
そして、何よりもクライアント様が求めているのは、スキルではなく”人間性”。「○○の資格保有」「○○の経験あり」といった経歴も大事ではありますが、それよりも丁寧な受け答え、社会人として当たり前の言葉遣い、早めの返信、そして仕事への誠実な想い……を持っているかを重要視していると感じます。
また子育てに関する案件などは、専業主婦であることが不利になるどころか、子どもを持つママだからこそ必要とされることもありますよ。
プロジェクトは一度受注すれば、タスク案件より高い報酬を得ることができ、フリーライター・社会人として成長できることは間違いありません。フリーランスとして成長を望むなら、勇気を出してプロジェクト案件に挑戦するべきだと思います。
『自由=自己責任』のシビアな世界。でも、一生続けたいと思える最高の天職
かのぽむ:在宅で働けるフリーライターという仕事は、子ども達と過ごす時間を大切にしたいと思う私にとって、まさに天職と言える仕事です。幼稚園の行事に合わせ、スケジュールを調整することもできますし、長期間の休みも取ることができる。何よりも子ども達の大事な時間に、ママとして傍にいられる幸せ……。
クラウドソーシングとの出会いから2年弱。収入も順調に増え、継続依頼をいただけるクライアント様とも出会うことができました。今ではパートで働くよりも高い収入を得ることができ、個人事業主として開業するまでに成長。かつてむしゃくしゃしていた私の心も、家計にゆとりができたことで余裕が生まれました。家族とのお出かけも増え、子ども達の笑顔も増えた気がします。
ただし、フリーランスは『自由=自己責任』。休めば休むだけ収入は減りますし、ある日、突然仕事が無くなる可能性もゼロではありません。納品物のクオリティーがその後の契約を左右する、シビアな状況が常に続きます。それでも、無事に校了した時の達成感とやりがいは、フリーランスだからこそ味わえる特権です。
今後、子どもが大きくなったらさらに仕事を増やしていき、難易度の高い案件にも挑戦していきたいと思っています。夢はいつまでも現役のフリーライター。おばあちゃんになっても、記事を執筆できていたら最高ですね!