所得税以外もある!フリーランスと税金

所得税以外もある!フリーランスと税金
給料をもらっていた時は、天引きされるだけで、あまり意識しなかった税金。完全にフリーランスで生計を立てていくとなれば、これらもすべて、自分で処理していかなくてはなりません。ここでは、そんな「フリーランスが払う税金」について、まとめていきます。
LANCER SCORE
55

所得税とその他の税の関係

フリーランスになると、関わってくる税金は、副業であるか、本業であるか(つまり、他に収入源がないか? また、年収総額がいくらになっているか?)で、払わなくてはならない税金の種類や、金額が変わってきます。

フリーランスになって、まず気にかけてほしいのは「所得税とその他の税との関係」です。一定以上の売り上げが上がるようになると、確定申告の義務が生じてきます。

ここで、あなたの所得が確定すると、そのデータはお住まいの市町村へと送られて、所得金額に応じて住民税や、健康保険税が加算されるようになります。

つまり、「所得税がかかっている(高い)」ということは、「住民税や、健康保険税も高くなる」ということになります。

所得が一定以上の金額であれば、所得税が課税されます。会社員時代は、給料から天引きされていて、あまり気にかからなかった所得税が、フリーランスの場合は、後払いに近い形となるわけです。

ですから、売上を受け取ったから、といって、それが全部「使ってよいお金」というわけにはいきません。なぜなら、売上の中には、これまで払った経費と一緒に、これから払う税金が含まれている可能性があるからです。

課税された金額を見て、「こんなに高いの!」と驚かれる方も少なくないのです。また、所得税が高いからと言って、必ずしも所得が上がっているとは限りません。

経費漏れによって、相当な金額を誤って所得にしてしまっているかもしれませんし、確定申告をしないために、源泉徴収税の還付を受けていないせいで、所得税が高いという場合もあります。

フリーランスになって納付しなくてはならない税金のうち、所得税・住民税は、経費の対象外です。健康保険税・国民年金は、経費ではありませんが、社会保険控除として差し引くことができます。

個人事業税は経費として計上できる、という決まりになっています。固定資産があり、その一部または全部を事業に使用している場合は、その分の固定資産税も経費にできます。

1.「所得税、住民税」

所得に応じて国に納税するのが、「所得税」です。売上が上がり始めると、真っ先に関わってくると思われるのが「源泉所得税」という。これも、所得税の仲間です。

本来、フリーランスの所得税は後払いが多いものです。しかし、フリーランスでも、定期的に繰り返し取引を行う場合や、一定金額以上の取引をした場合は、依頼主側にも源泉徴収が課せられる場合があります。

このときは、売上から源泉徴収がされていて、会社員同様に所得税として先払い納税がされています。こうした場合、支払元に「報酬、料金、契約金、および賞金の支払調書」を作成してもらって、確定申告ができます。

多くの場合、天引きの税率は10%になっています。所得税の最低税率は「所得が195万円まで5%」となっているので、納めすぎになっていることが多く、確定申告を行えば、その分の還付ができます。

所得税は、「所得が多いほどたくさん払う」という仕組み(累進課税)となっています。所得195万以下は税率5%ですが、195万以上330万までは10%,330万を超えると20%と次第に上昇します。

所得が大きいほど税金も上がるため、経費漏れを防ぎ、青色申告特別控除が利用できることが大きな節税ポイントになります。

住民税は、所得税の確定申告を提出する際に、申告書の「住民税・事業税に関する事項」で報告されることになります。所得税は年収が38万円を超えると確定申告をしなくてはなりません。

しかし、住民税は、収入が33万円以上から「住民税の確定申告」が必要になってきます。所得税よりも住民税のほうが、5万円、基準額が少ないので、注意が必要です。

■ 源泉所得税がなくても、収入が33万円~38万未満、経費を引いたら赤字になる

■ 源泉徴収票や支払調書を出してもらえなかったが、給料明細や通帳で、収入の証明ができる

上記に該当する方は、所得税の確定申告はしなくても、住民税の確定申告だけでもしておけば、納めるべき住民税が減る、健康保険税が少なくて済むという場合があります。

後述する健康保険料の減免制度なども、所得が少ないと適用される場合もありますから、申告しておいた方がお得といえます。

住民税は、「所得割+均等割」という仕組みになっていて、所得割は一律10%、均等割は1世帯4000円程度(平成24年度)となっています。

確定申告を行った時点で、おおよその住民税の金額は算出することができますから、その時点で納税のためのお金を分けておくと安心です。

所得が一定の金額を下回る場合は、所得割のみ、あるいは住民税そのものが非課税になります。基準となる所得金額は自治体で異なりますから、市役所の税務課などに尋ねてみるとよいでしょう。

2.「国民健康保険税、国民年金税」

会社員の時は、源泉とともに給料天引きだった社会保険料も、フリーランス1本となると自分で納めることになります。日本は健康保険については「国民皆加入制」をとっているため、加入手続きを怠ると大変です。

後日、延滞金を含めた保険料の請求が自宅に郵送されてきます。フリーランスは身体が資本、万が一けがや病気をしないとも限りません。会社を退職したら、速やかに加入手続きを取っておきましょう。

国民健康保険の保険料または保険税は、各市町村によって金額が違います。基本的には、世帯割などといわれる、1世帯いくら、の金額に、扶養家族の人数分の金額や、収入状況、資産状況に応じた上乗せがされて、最終的な金額になります。

全体として、住民税と比べかなりの高額を納めることになるのが通常です。原則として、扶養家族が多いほど、所得が多いほど、資産があるほど(固定資産を保有しているほど)納税額は増えます。

また40歳以上になると、介護保険料も上乗せされるため、更に高額の保険税を納めることになります。ただし、世帯の人数の割に年収が少ないと判断されたときは、減免措置が適用されて、少ない保険料で済む場合もあります。

申請が必要な場合と、自動的に判断される場合とがあり、自治体によって事情が異なります。納付の方法は、金額が大きいため、年間をいくつかの期に分けて納付する方法、毎月割りで納付する方法など、自治体によって、異なります。

年払いで一括前納すると「納税奨励金」といって、多少の割引をしてくれる自治体もあるようです。所得税の還付金が高額な方は、還付金を国保税に充てる方法をとっておられるようです。

また、保険料が高額で納めるのが難しい場合は、「分納」という手続きで、少額ずつに分けて納付することができる手続きもあります。

未納分には延滞金が加算されてしまうため、最終的に納める額は増えてしまいますが、どうしても無理な場合では、利用を検討しても良いかもしれません。

老後の生活の支えになるのが国民年金です。配偶者のおられない方は、比較的影響が少ないですが、奥様のいらっしゃるご主人は影響大なのが、「第3号被保険者」から外れることになり、夫婦二人分の年金保険料の納付が必要となってきます。

老後の生活の支えとして、非常に気になるところですが、「生活するのにやっとで、とても払えない。」という状況であるなら、減免の申請を行っておくことをお勧めします。

手続きを行なわないまま滞納をすると、年金受給年齢になっても、受給資格がないために受け取れない、という状況になってしまうからです。

減免の手続きをしておけば、後になってから、追納といって、不足する年金保険料を支払うこともできます。追納をすれば、老後に受け取ることのできる年金額も増やせます。

これら、国民健康保険税と国民年金は、社会保険料控除として、所得税の確定申告の際に収入から差し引くことができます。

3.「個人事業税、消費税」

会社員にはない税金が、個人事業税と消費税です。どちらも、一定の所得以上になったときに納税義務が生じるもので、該当者になることは多くはありません。

しかし、「絶対ない」とは言い切れないのがフリーランスですから、念のため見ておきましょう。法律で定められた70種類の業種について、所得が290万円を超えたときに課税されるのが個人事業税です。

前年の所得から290万円を差し引いた残りに3~5%の税率で課税されます。(3~4%の税率の業種はわずかで、大部分が5%です)

個人事業税は、公共事業や公共サービスの財源となる税収で、事業所のある都道府県に納めます。確定申告を行っていれば、住民税と同様に自動的に対象者には納付書が送られているようになっています。

前の年の所得に対して、翌年課税される仕組みで、後払いの納税となります。納付は、一括払いのほか、年に2回の納付の2通りの方法が選べます。

この70種類の業種については、業種によって税率が違います。ソフトウェア開発は、「製造業」として、5%の税率か課されます。デザイン業も5%です。

ところが、文筆業(ライター)は、70業種に入っていないので、課税対象にはなりません。消費税は、国税の一つです。日常的に払っているので「えっ!?納めるってなんで?」と思われるのではないでしょうか?

ご安心ください、消費税は、売上が1,000万円を超える場合に、納税義務が発生するもので、それ以下の売上であれば非課税となります。フリーランスで最初から課税業者になることは、考えにくいと思われます。

また、そこまで売上げが増加しているのであれば、当然、帳簿は複式、申告は青色で、専任の経理担当や、税理士も顧問としてついている状態になっていると考えます。

消費税は国税の中でも特殊なものになるので、売上が1000万円を超える見込みが立つようであれば、早い時期に税理士に相談するとよいでしょう。

※主要参考元:国税庁ホームページ記載情報および各種提供資料

【その他の副業記事はこちらからご覧ください】

正社員の副業、48.1%の企業が容認!? 【働き方新時代の実態調査】

サラリーマンの副業。注意すべき点とは?

副業者の人口・職種・年収・労働時間が丸裸|フリーランス実態調査2017

在宅ワークメインのデータ入力業務でどれだけ収入が得られるのかやってみた

RECOMMEND
関連記事