個人事業主が払う税金と節税のための基礎知識

個人事業主が払う税金と節税のための基礎知識
会社員時代はご縁がなかった税金の各種手続き、個人事業主であるフリーランスでは原則、すべてを自分で行なわなければなりません。ここでは個人事業主が納めることになる税金各種についておさらいしてみましょう。
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個人事業主に必須のスキルは「税金」の知識

個人事業主になり、ある程度の金額が得られるようになると、必ず、「納税の義務」が重くのしかかってきます。年間の収入がアルバイト程度のままでよければ心配ありませんが、「フリーランス1本で食べていきたい」と思うのであれば税務処理は避けては通れない部門といえます。

日本は累進課税制度を採用しているため、収入が増えればそれに応じて納税額も上がります。つまり「稼げば稼いだだけ税金も増える」ということ。

適切な会計処理ができないまま、収入の全てを所得として計上していたら、納税額も”うなぎ上り”に増えてしまいます。サラリーマン時代には会社任せで良かった税務も、個人事業主になれば、必須スキルになります。

不必要に高すぎる税金を負担するのはもったいないことです。一方で、「納税を恐れていたら、売り上げは上げられない」ことも事実。

個人事業主になったら適切な会計処理を知り、上手な節税をして売り上げを確保することが大切です。まずは、どのような税金がかかるのかを学んでいきましょう。

収入に応じて課税される「所得税」と「住民税」

個人事業主がまず意識すべき税務は確定申告で、算出される税金が「所得税」と「住民税」です。所得税は国税、住民税は地方税で税金の納付先が違います。

どちらも収入額に応じて課税される税金であり、個人事業主の場合、毎年2月15日~3月15日の間に提出する確定申告で税額が決まります。サラリーマンの副業であっても年間20万円以上の収入があれば個人事業主として確定申告を行なう義務があります。

所得税も住民税もそれぞれ収入から一定条件に当てはまる金額を差し引く「控除」があります。利用できる控除の内容はケースバイケースで、国税庁のホームページなどでも詳しい情報を知ることができます。

控除が多いと税額は下がります。住民税は確定申告後自動計算されて翌年6月に納付書が送られてきます。気を付けたいのは個人事業の所得が低い場合、住民税の確定申告だけを行なっておくことで節税できるケースがあることです。

・源泉所得がなくても収入が33~38万未満で、経費を差し引くと赤字
・給料明細、通帳などで収入の証明ができる(源泉徴収票や支払調書がなくてもOK)

上記に当てはまる場合は、市町村の税務課等に相談してみましょう。

年間所得290万を超えるとかかる税金「個人事業税」

所得税、住民税の次に、個人事業主が負担すべき税金が「個人事業税」です。これは地方税の一種で市町村に納入される税金であり、名前の通り「個人事業」にかかる税金です。

確定申告を行なうと、個人事業税の金額も自動的に算出され納付書が送付されます。納付先は各都道府県の担当部署です(名称は県によって違います)。個人事業税は、

・個人事業所得が290万円を超えていると課税される税金
・業種区分によって税率が異なる(3~5%)、対象外として課税されない業種もある

という特徴があります。つまり、確定申告で計上された事業所得が290万円以下であれば課税されることはありません。

個人事業税の対象となる業種は70種類が挙げられていて、ここに含まれていないものは対象外です。フリーランスに多い業種で事例をあげると、

・ソフトウェア開発 → 「製造業」(第一種)として5%の課税
・デザイン・イラスト → デザイン業(第3種)5%
・文筆業(ライター・小説家) → 個々の実態により無税~5%

となっています。また個人事業税は経費の「租税公課」として、納めた税金額はそのまま翌年の経費に計上することができます。

売上に必ずかかる税金「消費税」

個人事業主が払うべき税金に「消費税」というと「いっぱい払っているよ!」と怒られそうですね。この場合の消費税は「売上に対して上乗せして預かる税金」の方です。

普段、買い物の度に払う消費税は「税金を払っている」というより「税金分を店舗に預けている」という方が正確で、実際の納税は店舗が年1回まとめて払います。

個人事業主も同じで、売上に対し所定の税率の消費税を受け取り、1年分を取りまとめて国に納めなければなりません。「消費税なんて、貰ってない!」と慌てなくても大丈夫です。

消費税の納付義務があるのは売上高1000万円以上の場合で、これを下回る場合は税金の納付義務が免除される決まりになっています。免除対象だと、逆に「納めなくていいのに、受け取るのは構わないのか?」という疑問があるかもしれません。

これは「受け取っても構わない」が正解です。「年の途中で年末に売上高がいくらになるのか?」は分からなくて当然。

また、「払うときには消費税をのせて、貰うときはなし」では個人事業主が不公平であるという判断から、消費税分を計上して受け取っても構いません。

一本立ち個人事業主の節税に有効な保障制度

個人事業主の収入1本で生計を立てるなら、必要以上に税金を払わないように「節税」の意識を持つことはとても重要です。とりわけ、所得税は「節税」に大きな影響を与えます。

なぜなら、所得税の確定申告により算出される「所得」が国民健康保険や保育料などの支払い金額にも関わってくるためです。正しい経理処理を怠ると、経費漏れから所得金額が大きくなり、高額となった国民健康保険や保育料に泣かされることになるので注意が必要です。

退職金制度がないフリーランスは、老後の備えなどの社会保障もすべて自分で行なわなければなりません。そのため、税制上でフリーランスを優遇するための措置があります。

代表的な措置でいうと、「小規模企業共催制度の全額控除」などです。健康保険に関しても「「文芸美術国民健康保険」などのハードルは高いものの、条件の良い健康保険もあります。

アンテナを高くして情報収集に努めることで、フリーランス生活に必要な保障を確保しながら、節税を行なうとよいでしょう。

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