フリーの翻訳家が語る!お隣の国・韓国で体感した仕事文化の違い

フリーの翻訳家が語る!お隣の国・韓国で体感した仕事文化の違い
韓国に渡り、フリーの翻訳家へ……。山川 千恵さんは子育中の時間を有効に使うため、クラウドソーシングでフリーランスデビューをしました。日本の文化と違う、韓国のクライアントは驚くことがいっぱい。そんな韓国で体験した、記憶に残る翻訳業務をご紹介します!【フリーランスが語る、思い出の仕事シリーズ】
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韓国在住8年でフリーランスの翻訳家に

「結婚して子供を産んでからも仕事を続ける」というのが基本的なパターンだと思いますが、私の場合には居住地が韓国だったので就職は簡単ではないと思っていました。そんな中、近所の日本人のお姉さんが在宅で翻訳をしているのを見て、私もこれならできるのではないかと感じたのです。

2番目の子供が1歳半を過ぎてからインターネットであれこれ見れる時間が増えたので、翻訳会社を探してはメールで履歴書を送り始めました。

翻訳は一般的に自分の母国語に翻訳する方が文章が自然です。私が住んでいるのは韓国なので、日本語を韓国語に翻訳する人が多く、単価も安く、逆に日本語に翻訳する方が翻訳料が高いので、日本人の私にとっては有利だと思いました。

20通ほどメールで履歴書を送りましたが、連絡があったのは1社だけでした。その会社からはじめて依頼されたのは簡単なアンケート用紙の翻訳。緊張して何度も見直してから送付したことを覚えています。

その後、その翻訳会社からの依頼は少しずつ増えてきました。さらにそこから独立して翻訳会社を設立したり、他の会社に紹介をされて、登録会社が増えていきました。現在、登録している会社は4社です。

様々な分野の翻訳を経験してスキルアップ

ノートにメモする女性

その後、観光サイト、美容関連などのホームページ、製品の取扱説明書、プレゼンテーションのPPT、契約書などの翻訳を行なって経験を積み重ねることにより、より自然で読みやすい文章が書けるように訓練されたと感じています。

翻訳では、その国の文化的背景を理解していなければ、意味が通じないケースがあります。韓国の文化も組み込みながら、日本人がすぐに理解できる文章作成を心掛けてきました。

ある時、韓国の関税庁からの依頼があり翻訳・納品しましたが、数日後に関税庁の方から直接会いたいと連絡を受けて、関税庁に直接足を運びました。

何か大きなミスがあったのかと緊張して関税庁に行くと、日本に6ヶ月ほど在住されたという韓国人の方が温かく迎えてくださいました。

その方の話によると、自分が知っている単語とは違う言葉で翻訳されていたので、意味の違いを確認したいということでした。質問にひとつずつお答えしながら、表現方法の多さや意味の違いを納得して頂くことができました。

韓国のクライアントの特徴は、すぐ納品を求められるということです。夕方に連絡があって、明日の朝の会議の資料として必要だから朝9時までに納品して欲しい、という具合です。

急いだがために、内容にミスがあっては意味がありませんので、可能な限りで対応しています。日本の会社は何より品質と信頼を重要視しているので納期も十分で対応も丁寧。世界で認められる日本人の礼儀を感じさせられます。

クラウドソーシングで幅広いクライアントに出会う

日本との取引は難しいかなと思っていたのですが、クラウドソーシングのお陰で日本のクライアントとも簡単に出会うことができるようになりました。韓国での仕事ということで翻訳しか考えていませんでしたが、最近ではライティング業務のニーズが多いことを知り、新しい分野に挑戦するきっかけになったようです。

初期に中古品買取関連のライティングを行なったことが契機となり、その後も続けて2年以上依頼を頂いています。ライティングも会社によって求められる表現方法や言葉づかいが異なりますが、それらにできる限り対応していくことで、社員ではないフリーランスでも信頼関係を維持し続けることができるのだと感じます。

若い社長さんと電話でお話したこともありませんが、今の時代だからこそ韓国に住む私がこのような関係を持続することができるのでしょう。

その他にも美容や健康、金融関連のライティングなどにチャレンジして来ましたが、業務が終わってからも続けて依頼を頂くなど、フリーランスとしていくらでも実力が認められて良い関係を持続することができると実感しています。その結果、今では毎月ある程度の業務が定期的に入ってくるようになりました。

フリーランスだからこそ可能なライフスタイル

韓国の屋台

認定ランサーになってからは、あちこちから仕事に招待されるようになりました。新規の業務はスケジュールや内容を確認してから、可能なら提案するようにしています。

子供達は手が離れて仕事に集中できるようになりましたが、毎日仕事だけするわけにも行かないので、あまり無理はしないようにしています。このように自分で自由にスケジュールを調整しながら仕事ができる点が、フリーランスとして働く大きなメリットだと考えています。

韓国人は本当に働き者で女性達も朝から晩まで働いている人がたくさんいます。そのように毎朝早く出勤しながらも、育児や家事もこなしているを見ると本当に頭が下がります。韓国の女性は本当に体力があり、体のつくりが根本的に違うと私は真剣に考えています。

そんなまわりの韓国人女性達に「あなたは外国で自分の技術を生かして仕事ができて能力者だ!」と言われる理由は、このフリーランスにあります。他の人のように家事もしながら毎朝出勤する仕事だったら、体力上、1週間も続かなかったと思っています。

時々どこかに出掛けたり日本に帰る時にも自分でスケジュール調整さえすれば良いので、何の気兼ねもなく行って来れるので助かります。私なりの自由な韓国ライフ、結構気に入っています。

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