その業務委託契約書、印紙は貼ってありますか?

まずは業務委託契約書のイロハを知ろう
では最初に、「業務委託契約」とは何でしょうか? 一般的に、業務委託契約は企業同士で結ばれることが多い契約です。「◯◯についての特定の業務は◯◯社に委託する」という契約ですね。
それでは、なぜ企業が個人と業務委託契約を結ぶことがあるのかという理由は、専門性の高い人材を、契約することによって優先的に確保できるからです。
企業にとってのウィークポイントがあるときに、そこをカバーしてくれる人がいてくれたら、継続的に連携して業務に当たりたいと考えるのはごく自然なことですよね。それに加えて、企業側からすれば、その人を雇うよりも人件費を節約できるというメリットがあります。
従業員を雇うとなると社会保険や雇用保険などを企業が負担しなければなりませんが、業務委託契約であれば該当しないため、見方によっては企業側に有利といえるかもしれません。業務委託契約を結ぶことになったときは、内容についてもしっかり自分の目で確認しましょう。
どんなときに業務委託契約書に印紙が必要? いらないときもある?
業務委託契約書が契約書としての効力を発揮するためには、印紙の貼付が欠かせません。額面は一律4,000円と決められています。ただし、契約書に記載された契約期間が3ヶ月以内であり、かつ、更新の定めのないものについては除外されます。
自分と企業との業務委託契約がどのくらいの期間に渡る予定か、また契約の更新予定があるかどうかによって、貼付しなければならない印紙の金額が決まっていますので、契約書の内容をチェックするときは必ず印紙の金額も確認しましょう。
「印紙が貼ってあれば大丈夫」と思ってしまいがちなポイントですが、フリーランスになったからには、自分が契約するものについては自分で納得してからハンコを押すのが鉄則。自分の身を守るための知識も、積極的に学んでいきましょうね。
印紙って、どんな種類がある?どこで買うことができる?
とは言え、印紙を目にする機会は、実はそれほど多くありません。ご自分で不動産の賃貸や売買契約を結んだことがある方は目にしていると思いますが、普段の生活ではあまり縁のないものです。
フリーランスとして実績を積み重ね、大きい仕事ができるようになった方は、領収書に貼付したことがあるかもしれませんね。以前は3万円以上の領収書には印紙の貼付が必須でしたが、平成26年の法改正によって、印紙が必要な金額が5万円に引き上げられました。
印紙が必要なケースは以前より減っていると言ってもいいのかもしれません。そのため、どこで印紙を買うことができるか知らない人も多いようですが、郵便局や法務局、収入印紙売りさばき所などで購入できます。
一部のコンビニで買うこともできますが、コンビニで取り扱っているのは、額面によって31種類にわかれる印紙のうち、よく購入される種類だけのことがほとんど。高額の印紙の購入については、郵便局や法務局に行ったほうがよさそうです。
契約書を作成するとき、印紙税はどちらが払うの?
業務委託契約を結ぶような際は、発注者と受注者、契約書に記載してある用語で言えば甲乙の双方が契約書を保持することになります。となると、当然かかる印紙税も2倍。
契約期間が短くて更新の定めがない場合はともかく、それ以外の場合は契約書を作成するだけで、印紙税として少なくとも8,000円を支払う必要があります。
それでは、こんなときは印紙税はどちらが払うと決まっているのでしょうか? 実は、このような場合の印紙税の負担の取り決めについて、明確な法律はありません。
相手に負担してもらっていいものか、かといって自分で2通分負担するのも厳しいと感じるのは当然のこと。実際、印紙税については折半して自社・自分の分を負担することが多いです。
ただ、少額の印紙代ならば、サービスとして払うのもありかもしれません。これまでの、そしてこれからのクライアントとの関係性を考えあわせて決めましょう。
購入した収入印紙、どの勘定科目で仕訳をすればいい?
経費として収入印紙を購入した場合は、当然帳簿への記帳が必要になります。その際は、「租税公課」という勘定科目で仕訳をしましょう。
ついつい「消耗品費」などで仕訳したくなりますが、収入印紙を購入するもともとの目的は、あくまでも税金を納めること。業務委託契約書のように、その文書が金銭のやり取りに関わるものであれば、文書そのものが課税対象となります。
その課税文書に課された税金を納めるために収入印紙を購入し文書に貼付することで、すでに納税済みであることを明示できるのです。印紙税の課税対象となる文書は、印紙税法に規定されている20種類の文書です。
まれに、収入印紙の購入目的が納税ではない場合もありますが、そのときはその経費に合わせた勘定科目を使って仕訳しましょう。業務委託契約書に関わる処理は、ここまでやってやっと終了。
内容だけでなく印紙の額面にも気を配って、クライアントさんとこれからもいい関係を築いていきたいですね。