業務委託における仕様書の意味を知っておこう!

業務契約ってどんな働き方? メリットとデメリット
「業務委託」とは、フリーランスが会社と対等な立場で業務を進めていく働き方です。じゃあ、フリーランスが行なっている仕事はすべて業務委託なのか? というと、それは違います。
業務委託では、フリーランスが会社から仕事を受注する際に「契約」を交わします。そして、フリーランスと会社が交渉をしながら、仕事に関する提案から条件などを決めていきます。
また、業務委託では契約書や仕様書などによって、契約の内容や会社の要望などを明らかにします。
■ 業務委託のメリット
- スキルや実績があれば高収入につながる
- 専門分野に集中することで仕事の作業率が上がる
- 自分のペースで仕事を管理できる
■ 業務委託のデメリット
- 健康保険や国民年金は自己負担
- 自分で税金の管理をする
これらのメリット・デメリットは業務委託に関わらず、フリーランス全般に言えることです。ただ、業務委託では法律に従って、約束事が契約書や仕様書によって書面化されるという点を、押さえておきましょう。
契約の内容によっては、業務委託という働き方は自分のメリットにもデメリットにもなるはずです。
契約形態がまったく異なる「委任契約」と「請負契約」
業務委託には「委任契約」と「請負契約」の2種類があります。
■ 委任契約
- 時間に対する報酬
- 報酬の他に費用の請求ができる
- 契約解除ができる
■ 請負契約
- 内容物に対する報酬
- 費用などはすべて報酬に含まれる
- 契約解除の条件が厳しい
この2つ契約の大きな違いは、仕事を完成させる義務があるかどうかと言えるでしょう。委任契約では仕事を完成する義務はありませんが、請負契約では完成する義務があります。そのため、請負契約のほうが委任契約より重い責任が付いてくるのです。
業務委託の契約を結ぶときは、どちらの契約なのかを書面にてはっきり確認しておく必要があります。後になって、こんなはずじゃなかった! と後悔しないためにも、契約書や仕様書の内容を理解することが重要なのです。
業務委託の契約を結ぶ上で気を付けるべきこと
フリーランスとして特定の会社と契約を結んで仕事をすることは、単発の仕事をこなしていくよりも効率がよく、継続案件の場合は収入の安定にもつながります。
ただ、業務委託の契約を交わす上で、注意しなければならないことも。ここ近年、問題になっているのが業務委託を装った「偽装請負」です。偽装請負とは、業務委託の契約内容に反して、会社側が有利になるような労働形態のことを言います。
業務委託においては会社とフリーランスは対等な関係でなければなりません。フリーランスは、契約書や仕様書の内容に沿って、自分で仕事を管理し進めていくもの。
ところが、会社側から、労働条件や労働時間に関する細かい指示が入るようになったらどうでしょう? 自分が仕事を管理しているとは言えません。
たとえば、細かなタイムスケジュールを強いられたり、随時仕事の状況報告を求められたりするなど、会社の担当者に指揮を取られているとしたら、それは偽装請負に当たる可能性が出てきます。
また、以前働いていた会社から独立してフリーランスになったという場合や、会社に常駐して働くような場合は、自分の働き方が会社員と同じように管理されていないかどうか注意が必要です。
仕様書って何? 意味と内容をしっかり理解しよう!
フリーランスは自分で仕事を選択できる自由、仕事時間を選べる自由、仕事場所を選べる自由など様々な自由を持っています。それと同時に、何が起こっても自分の責任ということも忘れてはいけません。
会社と業務委託の契約を結ぶときは、必ず契約書の内容をすべて把握しておくべきです。また、契約書には仕様書という書類が添付されることがあります。
では、仕様書とは一体何なのでしょうか? ここで説明する仕様書は、会社側が作成する要求仕様書と呼ばれるもので、契約書では書ききれない業務に対する要望が記載されます。
仕様書は契約書のように認知度は高くありませんが、業務委託を契約する上でよく使われるもの。ここで、契約書と要求仕様書の違いについても触れておきましょう。
■ 契約書
- 契約者の義務や権利など法的な事項が記載される
■ 仕様書
- 製品やサービス、材料に対する要望などが記載される
このように、契約書にはより一般的な事柄が示されるのに対して、仕様書は特定の業務に対しての仕様が書かれたものなのです。そのため、フリーランスにとっては、仕様書の確認は念入りに行なわなければなりません。
業務委託における要求仕様書の重要性
フリーランスが会社と業務委託の契約をする上で、要求仕様書があると仕事がスムーズに進みます。会社側の要望が文章として残っているため、問題があったときにも仕様書を確認すれば済むことです。
要求仕様書の内容は、納期や数量、納入品の内容、業務の手順、業務の実施条件、免責など業務に関する仕様や要望が記載されています。
たとえば、納品後にも修正対応に応じる、というような要求が記載されることもあるでしょう。仕様書の内容は契約時に交渉できるので、修正してほしい箇所はきちんと伝えることも大切です。
また、会社によっては仕様書がなく、契約書に業務の仕様が記載される場合もあります。しかし、特に業務の仕様に関する記述が書面にない場合は注意が必要です。
口約束や曖昧に物事を進めていくことになり、後々トラブルを招く可能性があるからです。やはり業務委託の契約を結ぶ際には、業務の仕様をはっきりさせておくことが最も大事と言えるでしょう。
それが、偽装請負の回避にもつながります。フリーランスを続けていくと、業務委託の話がくるのは珍しいことではありません。契約書や仕様書の内容をきちんと把握し、自分が納得した上で契約を考えましょう。