現役大学生にも開かれている、フリーランスの扉

Web環境がもたらしたフリーランスのかたちとは?
今、ネット上のプラットフォームを通してフリーランスとして働ける環境が整い始めています。Webならではの先進・優位性が詰め込まれた、真新しい仕事の受発注システム。それがクラウドソーシングと呼ばれるもので、大学生でも利用できるのです。
クラウドソーシングでは、すべてのやりとりがWeb上で完結します。そのため受発注者が安心して仕事をするために、相互評価システムが採用されています。信頼度と実績が数値として読み取れるのは解り易く、評価テキストを参照することで、取引相手のイメージがつかみ易くなっています。
金銭授与に関して信頼できるシステムが構築されていることは、安心できるものでしょう。前払い制が敷かれ、発注者は仕事を依頼した時点でシステム管理者に支払いを済ませなければならない。そしてデータ納品後に、受注者の口座へ支払われるのです。
技術を持っていれば18才以上の誰にも開かれているので、現役大学生でもフリーランスとして働くことができます。Webに慣れ親しんでいる昨今の大学生にとっては、入り易い仕組みかもしれません。フリーランスの受注者は、プロフィールページにスキルや経歴などを載せてアピールするわけですが、これもSNSのマイページのようなものといえます。
そもそも大学生に、フリーランスが務まるものなのか?
大学生でもフリーランスとして働ける環境が整い始めたとはいえ、社会人として働いた経験のない大学生が、フリーランスとして生きていけるのでしょうか?
「フリーランスになりたければ、一度はその分野で就職して経験を積むべきだ」、「直接顔を合わさないとはいえ、人間関係においてのマナーや社会の暗黙のルールみたいなものを体得せずに、仕事上の交渉事などには及ばないもの」との厳しい指摘は、正論と言えるでしょう。
そこで利用したいのが、先述したクラウドソーシングのような仕事を受注するプラットフォームです。
仕事の種類は多彩で、システム開発やデザインのような専門技術を求められるものから、口コミサイトの文章作成やブログ記事の執筆、音声データのタイピングやデータ入力など、難易度の低い仕事まで揃っています。
短時間で完結する仕事も多いことから、大学生のアルバイト的な働き方も可能です。専業のフリーランスとしてだけではなく、副業やアルバイト程度の働き方から、フリーランスとしての仕事ができる仕組みがあるのです。
仕事をしたい時に、したいだけできる仕事のかたちといえます。一つの仕事を単発のアルバイトと考えれば、大学生と相性がいいとさえ思えてきます。在学中に、自分のスキルに応じて経験を積んでいくという方法もあるでしょう。
そのようなかたちが自然に馴染んだ大学生は、卒業と同時に専業フリーランスとして歩み出しているかもしれません。
フリーランスという生き方と彷徨える大学生
現在、人々の生活に求める価値観は多様化しています。個人のあり方が変化すれば、社会のあり方に影響を及ぼすのは成り行きでしょう。そして、労働に対する社会の見方が少しずつ変わり、やがて新しい働くかたちが萌芽する。
フリーランスという新しい働き方に導かれるように、自分の価値観を大切に扱う人が寄せ集められていく。
フリーランスとして働く人には、それぞれ異なる動機があるでしょう。動機は違っているとしても、その中に強い個性を感じずにはいられません。「何かを強く求めている人」のように思えてきます。何かとは、一つの趣向的な事柄とか、生活全体として見たスタイルと捉えるとしっくりきます。
一つのことを求めていくと、付随する要素が付け加えられて、身の回りの時間と空間を誘導していく。そうやってオリジナルなライフスタイルが象られていくのでしょう。
さて、大学生が皆、就職だけを目標にしているわけではありません。就職後の社会生活全般にも大学生は興味を持つことと思います。行く先を眺めながら、就職と自分を結び付けられずにいる大学生にとって、フリーランスという新しい仕事のかたちは魅力的に映るかもしれません。
クラウドソーシングに見るフリーランス、大学生の目で見極める
クラウドソーシングを社会的な視野で眺めることで、その将来性を予見することができます。フリーランスという雇用形態が波及することで、社会問題が緩和される可能性があるのです。それは、「都市への人口集中、地方の過疎化問題」を抑制し、都市部に集中していた金が地方へ流れ「富の再分配」も同時に起こるというものです。
この論理は、行政の理解と協力が得られ易いと考えられるため、クラウドソーシングの拡散に拍車がかかるかもしれません。また、子育て中の女性や介護を必要とする家族を抱えている人にとっては、今までに無かったフリーランスとしての働き口をweb世界で掴み得ることになります。
クラウドソーシングがうまく社会の要請と噛み合っているならば、市場は拡大していくことでしょう。
クラウドソーシング市場は、現在右肩上がりに成長中です。2014年度に約408億円を上げ、2018年度には1820億円に上昇すると見込まれています。大学生には、この数字の意味するところが読み取れることと思います。
最後にクラウドソーシングを俯瞰して見てみましょう。データ納品可能な小さな仕事に関して、これまで団体から小グループへ向けられていた関係が崩れ、団体から個人へまたは小グループから個人へと分割されていった。その個人が寄せ集められ一つの労働力としての群集となる。その群集に、分割された仕事をweb上で効率的に分配する仕組みがクラウドソーシングと言えそうです。
クラウドソーシングから開かれた、フリーランスへの扉。その先を見てみたいなら、サイトを閲覧するだけのことです。飛び込みたいなら、できそうな仕事から始めれば良いのです。そこには大学生ならではの感覚を生かせる仕事もあることでしょう。扉から一歩中へ踏み出せば、大学生の可能性が限りなく広がっているかもしれません。