個人事業主のための「初めての確定申告」

初めての確定申告を難なく乗り切ってみましょう。
働き方が多様化したことにより、近年、個人事業主として働く人が増加しています。ランサーズのようなクラウドソーシングサービスも流れを後押しし、会社員から個人事業主へと転換を図る人も増加していくことでしょう。
個人事業主としてスタートを切ったばかりの人が、まず最初に戸惑うのが帳簿の記録と確定申告の手続き。日々の帳簿の正確な記録から始まり、毎年2月から3月にかけて実施される確定申告の場で正しく申告を行なうことが個人事業主としての義務なのです。
初めての確定申告の場で戸惑わないように、まずは確定申告とは何なのか、何をすればいいのか、を確認しておきましょう。
確定申告って何? 年末調整とは違うの?
個人事業主としてスタートしたばかりの方の多くは、以前、会社員としての勤務経験がある方ではないかと思います。会社員時代、年末になると「年末調整」と称して生命保険等の控除を会社に提出し、12月もしくは1月の給与でいくらか税金が戻ってきた記憶があるでしょう。
これは、おおざっぱに言えば「会社があなたの確定申告を代行して行なった」ということです。毎月の給与から天引きされている税金の合計額と、あなたが本来支払うべき税金額とを比較して、払いすぎたり不足していたりした場合、差額を清算する業務なのです。
個人事業主の場合は、業務をあなた自身が行なわなければなりません。即ち、年間の収入と経費(後述します)から本来納めるべき税金を算出し、あなた自身が税務署に届け出ることになります。個人事業主としての収入にも当然税金がかかりますが、会社員時代と違って天引きされていませんよね。
従って、個人事業主の場合はどちらかというと確定申告によって、税金を払うことで年間の納税額を清算するケースが多いと言えます。
ケース1 | メインは会社員、副業として個人事業主で収入を得ている場合
ここでは、具体的な確定申告の方法を見ていきましょう。まずは会社員として勤務しながら副業として個人事業主収入を得ているケースです。(年の途中で会社員を退職し、個人事業主として独立した場合もこのケースに当てはまります)。個人事業主として軌道に乗るまで会社員との2足のワラジといった方でも、確定申告を行なう必要があります。
注意点としては、税法上「副業」という分類がないため、総収入、すなわち会社員としての給与も含めた収入に対して税金を算出することとなります。ただし、副業部分の所得が20万円以下の人は確定申告しなくてもよいとされていますが、判断に迷ったら税務署へ相談してください。このように給与収入と個人事業主としての収入がある方は、まずは給与収入部分については会社で年末調整を済ませてください。
その後、確定申告の時期に個人事業主収入と経費の申告作業をします。個人事業主としての業務が軌道に乗るまでは年間数十万円の収入しか無いという方は多いと思います。内容によっては、事業として認められない「雑所得」扱いになるかもしれませんが、スタートしたばかりの苦しい時期から確定申告に慣れ親しんでおきましょう。
ケース2 | 個人事業主としての活動メインであり、個人事業主収入しか無い場合
次に、個人事業主としての収入のみで他に収入が無いケースです。最初のチェックポイントとしては、税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を提出しているかどうか、になります。まだの人は早急に提出してください。
フォームは国税局HPにあります。収入によっては手続きの簡単な白色申告というのもありますが、今後事業を大きくさせていく予定があるならば、初めから青色申告でトライしてみるのも良いと思います。規模が大きくなった際の帳簿の付け方も勉強になります。
経験上、こういった売上と経費の集計と方法、そして事業用と家事用の按分作業が思いのほか手間がかかります。自宅兼事務所の場合は家賃の他に水道光熱費等も経費に算入することができるのですが、計算がかなりややこしいのです。
従って、初めて確定申告する際には時間に余裕を持って取り組んだ方が良いでしょう。初めての確定申告の場合、申告作業そのものよりも、日々の業務における売上と経費のまとめ作業が一番の難関です。経費の範囲や売上計上の時期等、最初は戸惑うことだらけだと思いますので、覚悟して臨んでください。
必要経費をこまめに記帳し、来るべき確定申告に備えましょう!
さて、個人事業主としての初めての確定申告の注意点をいくつか挙げましたが、ポイントとなるのは経費の把握と集計作業です。
そもそも家計簿すらまともにつけたことのない私が、数年前初めての確定申告で四苦八苦したのはこの経費の集計作業でした。クライアントへ訪問する交通機関の交通費、資料図書の購入費、銀行手数料などはまだわかりやすいのですが、家賃や水道光熱費、電話代等通信費等はプライベートとの境目をはっきりさせるための根拠を提示しなければなりません。
また、プリンタのトナー等の消耗品も事業用とプライベートとの区分を指摘されたという話も聞きます。ただ、意外なものが経費として認められることも多く、知っている者が得をすることもあります。初めての確定申告は地道な作業との戦いでもあり知識習得の絶好の機会でもあります。
来るべき来年の確定申告に向けて、準備を怠らないよう頑張りましょう!