業務委託契約では雇用保険は加入できないけれど……

業務委託契約では雇用保険は加入できないけれど……
業務委託契約の利点は、企業に縛られることなく、比較的時間的拘束なく仕事を行なえることです。経費の負担や雇用保険などの保証はされないことを除けば、理想のライフスタイルに見えるのではないでしょうか。 ですが、本来業務委託では加入できないはずの雇用保険に、ちゃんと加入している人がいるそうです。いったい、どのようにして雇用保険に加入しているのでしょうか?
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支払う側と支払われる側……雇用保険をめぐる攻防戦

雇い主は、たとえ一人でも労働者を雇った場合は雇用保険に加入する義務があります。義務という優しいものというより「強制」と言った方が良いでしょう。

1週間当たりの労働時間が21時間以上あり、31日以上の労働期間が見込める(あるいは経過した)場合には、強制加入となるのです。ですが、雇い主の立場からすると、社会保険、雇用保険、労災保険などに加入しない方が当然ですが経費の節約になります。

そこで、ギリギリの線での労働時間を提示したり、能力を必要な時に必要な報酬だけ払えば済む「業務委託」契約の検討を考えたりしています。一方、雇われる側にとって雇用保険は特に加入しておきたい保険です。

雇用保険は他の社会保険より保険料が随分と安く、万が一職を失ったときには、金銭的に頼もしい助け舟になるからです。雇われていない立場の業務委託契約者にとって、保険などの保証が無い人生は不安ではないでしょうか。

雇用保険などの保証も含めて業務委託の報酬を計算すると?

雇われている人の場合は、雇用保険、社会保険、労災保険、厚生年金などが給料から天引きされています。そして手取り月収がもし20万円だったとしましょう。この月収20万円の人と同じ仕事量をもし業務委託でする場合、妥当な手取り月収は40~50万円と言われているのです。

一見「業務委託って結構もらえるんだね」と思うかもしれませんが、天引きされている社会保険や、後々支給される年金分が含まれていると考えれば、決して多い金額ではありません。その上、経費や業務の一切の道具も自己負担となれば、仕事の報酬単価が高いように見えても結局、貧乏暇なしの業務委託契約者となってしまいます。そして、この金額すらもらえていない実情が多いのも確かなのです。

業務委託と雇用保険のもう一つの注意点

滅多にないことかもしれませんが、業務委託として仕事を請け負っている人が、業務を手伝ってもらったり、代わりに業務を行ってもらったりするケースがあります。

というのも業務委託契約そのものに「業務を誰かが代行しても構わない」という解釈があるのです。沢山業務を請け負い、自分一人ではなく他の人員も加わって業務を行なっていた際に、「勤務時間の拘束」「業務進行の指示命令」「週21時間以上の勤務」「31日以上の継続勤務が今後も見込まれる」ような場合、それは雇い主と雇われ人という関係とみなされます。

すなわち、雇用保険などに加入しなければいけない立場になるのです。雇用保険は、個人事業主であろうと企業であろうと関わりなく、一人でも従業員を雇っていれば加入義務が発生するのです。

業務委託契約者なのに雇用保険に加入できた理由

本業が個人事業、フリーランスなどの業務委託契約で、中々業績が上がらない場合、どこかでアルバイトをする人も多いと思います。どこにも雇われていないのだから、ダブルワークも自由なのです。アルバイトであろうと週21時間以上の勤務、31日以上の継続勤務が見込まれた場合は、アルバイト先で社会保険や雇用保険に加入することができるのです。

実際に業務委託で本業があるのに雇用保険に加入できているのは、こういったケースなのです。「一応、稼げてはいないとはいえ業務委託で仕事をしているからアルバイト先で保険に加入なんてしちゃいけないのかも」と思っている人も多いのでは?もしも条件にあてはまるのなら、早速ハローワークなどで相談し、アルバイト先での保険加入などができるか確認してみて下さい。

雇用保険の被保険者から除外されるケースもある

業務委託で雇用保険に加入する場合、週に21時間以上の勤務、31日間以上の勤務、というシンプルな2点の条件以外に、実は「除外されるケース」もあります。「季節的な雇用のみで、4か月以内の勤務に納まる場合」「季節的な雇用や同一雇い主に雇用される場合でも1年未満の短期間であり、かつ短時間労働である場合」「雇用保険日雇労働被保険者に当てはまらない日雇労働者」「新規に雇用された人の年齢が65歳以上の場合」などです。

また、業務委託で「雇用保険がなくてもお金に困らない人」は加入できない場合もあります。もちろん、条件をクリアしていた場合、業務委託契約でも雇用保険に加入することは可能です。ですが、条件に触れ、加入不可になることは避けたいところ。詳しく知りたい場合はハローワークなどに問い合わせ、足を運び、確認してみることをおすすめします。

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