フリーランスの確定申告は青色申告で決定?白色申告のほうが手間が少なくて楽?
フリーランスとして知っておきたい確定申告基礎の基礎
フリーランスとサラリーマンとの違いの一つとして所得税に関する申告を自分でするのかどうかということがあります。
フリーランスとして働く場合、1月1日~12月31日までを課税期間として、その間の所得の全てを計算して個人で確定申告なるものをしなくてはなりません。サラリーマンが“年末調整”によって毎月給与天引きで源泉徴収され、税金を引かれて給与を受けているのに対し、フリーランスが行わなければならない確定申告は報酬を得た後での精算になります。
簡単に言うと、年末調整は税金を取りあえず先払いして、少なければ不足分を払い、多ければ還付してもらえますが、確定申告の場合は、原則後払いになるので、その年に得た報酬の中から税金を払うことになります。ですからフリーランスにとってお金の管理は大変重要になります。
手元にお金があるからと言ってあるだけ使ってしまい、確定申告後に税金に当てるお金がないというような笑えないことにならないように注意しなくてはなりません。
面倒な青色申告。簡単な白色申告の時代はもう終わった?
確定申告には2種類の青色申告と白色申告の合計3種類があります。
平成25年まで、青色申告は税金の優遇が受けられる代わりに面倒な記帳をしなければならず、白色申告は税金の優遇がない代わりに記帳しなくてよいとされていました。
しかし、平成26年1月より白色申告を行う者に対しても“帳簿の記帳”と“帳簿等の保存(5年~7年間)”が義務づけられました。とはいっても白色申告で必要とされる記帳のレベルは青色申告で必要とされる記帳のレベルと比べれば簡易なもので、毎年1月~12月の間の収入と必要経費がきっちりと記帳されていればよいとされています。
家庭の収入と支出を記帳する“家計簿”を想像すると分かりやすいかも知れません。
青色申告に関する豆知識
ここで豆知識を一つ。青色申告は何故“青色”申告というのでしょう。
現在、青色申告に使用する申請書は白色ですが、そうなったのは平成13年からで、平成12年以前は帳簿を備えた申告に使用する申請書は“青色”でした。そこから青色申告と呼ばれるようになったのです。では、なぜ青色だったのか。
それは「シャウプ勧告(日本税制報告書)」で有名なカール・シャウプが、約4ヶ月にわたり日本国内を視察する中で、日本人の色に対する認識をある日本人に聞いたところ、「青色は気持ちのよい色です。青空のようにすっきりとした色ですからね」という答えが返ってきたところから、収支と支出を明確に届け出なければならないイメージを持たせるため、“青色”にしたと伝えられています。
青色申告、白色申告に必要な帳簿と優遇措置
先に確定申告には、2種類の青色申告と白色申告があることを書きましたが、ここでどれだけの苦労をすればどれだけの効果が得られるのかということに触れてみたいと思います。
まず、白色申告ですが、法定帳簿(家計簿のような簡易なもの)を記帳し、確定申告時に収支内訳書(損益計算書)を提出しなくてはなりませんが、税に関する優遇はありません。
次に青色申告ですが、簡易帳簿として現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳などを記帳し、確定申告時に青色申告決算書(損益計算書)を提出した場合、10万円の控除が受けられます。さらに、主要簿として仕訳帳と総勘定元帳、補助簿として現金出納帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など記帳し、確定申告時に青色決算報告書(損益計算書と貸借対照表)を提出した場合、65万円の控除が受けられます。
確定申告をしたことがない人にとってはあまりピンとこないかもしれませんが、日本では、所得が高い人ほど税率が高くなる超過累進課税制度をとっていますので、65万円というのはかなり大きな数字です。
フリーランスを長く続けるなら絶対青色申告
フリーランスで生計を立てる場合、どれだけ収入を得、どれだけ支出を有効に利用したかが非常に重要になります。
ライターやデザイナーのようにいわゆる“仕入れ”を伴わない職業の場合、収入から差し引く対象がどうしても少なくなってしまいます。ですから、青色申告をした場合に得られる10万円または65万円の青色申告特別控除は大変魅力的です。
また、青色申告には家族に対する給与(青色事業専従者給与)を経費として落とせる、赤字を3年間繰り越せる(純損失の繰越控除)といったメリットもあります。
結局、青色申告と白色申告、どちらにしても帳簿は記帳しなければなりません。特に10万円控除の青色申告と白色申告については、記帳にかかる労力はそこまで大きく変わりませんし、65万円の控除を受ける場合に必要な帳簿類の記帳にしても、会計ソフトを利用すればそこまで大きな負担とならないはずです。
これから先、ずっとフリーランスを続けていくのであれば、早めに会計ソフトを導入して、65万円の控除を受けられるようにすることがベストな選択です。