同僚のような意識から生まれた、居心地のよいシェアオフィスPORTAL。

同僚のような意識から生まれた、居心地のよいシェアオフィスPORTAL。
渋谷駅から歩いて数分。明治通りを一本入った、喧騒と程よい距離をおくシェアオフィス『PORTAL』。シェアハウスの情報サイトを手がける「ひつじ不動産」が運営する。フリーアドレス中心の広々とした空間。壁半分が窓ということもあり、開放的なワークプレイスです。シェアハウスから引き継いだコミュニティづくり、オフィスならではの工夫について聞きました。
LANCER SCORE
331

渋谷に出現した、お洒落で面白い…シェアオフィス…ワークプレイス…、オープンオフィス!

シェア住居専門のメデイア”オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産”を展開する株式会社ひつじインキュベーション・スクエア。シェア住居を広める中で生まれたコワーキングスペース『PORTAL』をご紹介します。

PORTALはいわゆるコワーキングスペース、シェアオフィスと異なる概念を持ち、自らをオープンオフィスと呼んでいる場所。「カフェのようにくつろげて、自宅以上に開放的で効率が上がり、ラウンジのような交流も生まれる、ちょっと不思議な空間」であるPORTALには、いったいどんなオフィス空間が広がっているのでしょうか。

お話を伺ったのは、ひつじインキュベーション・スクエア マネージャーの北川さん。立ち上げの背景や運営者として考えていること、自身も働いているオフィスとして感じていることを、施設の紹介と共に聞いてきました。

『PORTAL』 ワークスペース情報
■ 場所:東京都渋谷区渋谷1-17-1 TOC第2ビル3F 渋谷駅より徒歩3分
■ 電源:◯  ■ Wi-Fi:◯(無線)
■ 特徴:広大なフリーアドレスのワークスペース、多数のカジュアルなソファ席、ミーティングルームは4名用・6名用の2つ、本格的な料理も可能なキッチン、フロアの外壁半分を占める大きな窓、無垢素材の敷かれたデッキラウンジ、人数限定の個室席など

大企業じゃなくても、広くて居心地の良い空間で働きたい

ポータル 北川さん

―まずはじめに、なぜシェアオフィスを始めたのかを伺いたいです。シェアハウスについては一日の長があるわけですが、オフィスとなるとシェアハウスと段取りが違う部分もあるでしょうから、気軽に始めるのは難しいんじゃないかって。

基本的には、僕ら自身が仕事をしたい場所、「こんなオフィスで働きたいね」を実現するために始めたところがあります。メディアの『ひつじ不動産』を運営して数年が経過して、シェアハウスの掲載数なら日本で一番というくらいまで成長できました。会社が成長してきたので、「そろそろオフィスが手狭になったね、引っ越しをしよう」となるわけです。

住宅のほうは7年ほどやっていて、社員の多くがシェアハウスに住んでいて馴染みがあった。家に帰るとすごく楽しいわけですよ。自分たちのすごく好きな空間や暮らしがあって。一方で会社にくると狭いオフィスを使っていて、居心地が良いとはお世辞にも言えなかったんです。でも仕事の時間は長くてハードで、だからこそ「自分たちの居心地が良い空間をつくりたい」と思ったことが原点にあります。

エントランス

できれば広い空間で仕事がしたい。もう純粋に、広い空間、居心地の良い空間で働きたいという気持ちだったんです。とは言え大企業じゃないので、自分たちだけで広々した空間を使うことはできなかった。こういう感覚って、フリーランスやスモールビジネスを行なっている人もあるんじゃないでしょうかね。だったら自社も含めて一緒に使うことで、広い空間で仕事をできるようにしたらハッピーだと思ったんです。

シェアハウスとシェアオフィスの、似ているところ違うところ

ワークスペース

―シェアオフィスでのコミュニティをつくるにあたって、シェアハウスを参考にした部分と、逆にまるっきり違う部分はあるのでしょうか?

シェアハウスには魅力的な部分がたくさんあるんですが、それをオフィスに持ち込んだ場合、通用するものと変えなくちゃいけないものが存在するだろうなと。土台は完全に住宅の考え方を取り入れているんですが、オフィス用にチューニングした部分もあります。

ワークスペース

シェアハウスというと、世の中の人に間違った認知をされていると感じているんです。いわゆる『意識高い系』の人が多いとか、友だちがたくさんいるタイプとか、コミュニケーションが好きで上手な人が集まっている……みたいな。

実際にはそんなことなくて、普通の人が普通に住んでいるんですね。確かに住んでいる人の交流がすごく盛んな住居もありますが、もちろんそうじゃない物もある。少し、自然に人が行き交っていて、交流する機会はあるけど、それを約束するわけでも、約束されているわけでもない。良い塩梅で放置されるすき間があるんです。

ワークスペース

対してオフィスのほうはというと、僕たちはシェアオフィスという言い方をしていなくて、オープンオフィスと呼んでいるんですね。それは世の中が語っているシェアオフィスの感覚で来られると、ちょっとずれちゃってると思ったから。

シェアハウスに漂っている、心地良い空間をビジネスの場でも構築したかった。仲は良いけど必要以上に干渉することはないですし、ある種の会社の同僚同士みたいなムードがある状態です。でもオフィスの場合、簡単に心地良いコミュニティはつくれないと実感しています。住宅より頑張らないとできない。勉強会をたくさんやってますよという話ではなく、もっと自然とした居心地の良さを追求したいんです。

ワークスペース

無理やりなことはしないで、仕事をしたい人がいれば仕事をすれば良いし、料理したい人がいたらすれば良い。「さあ、交流しよう!」とか、ガンガン名刺が飛び交う場にせず、自然にお互いに顔を合わせるとか、自然に声がかかるみたいな仕組みづくりはすごく考えながらやっています。運営サイドとしては、いろんな策を考えながらトライをして。

「フリーランスだけど、同僚もいますよ」と言える仕事空間に

ワークスペース

―オフィス空間特有の難しさがあって、それを埋めるために運営側として神経を使っていると。でも、必要以上にベタベタしないって、すごくバランス感覚が求められそうですよね。

シェアオフィスやPORTALのような空間を運営していると、どうしてもお客さまとホストみたいな関係に陥り易いと思います。だからこそ僕らが定義している関係性っていうのは、同僚なんですね。英語でいうとコワーカー。日本でコワーカーというと、「せっかく一緒にいるんだから何かしようよ」みたいなのがあるじゃないですか。

ワークスペース

割と僕はそういうことに消極的なんで。住んでいるシェアハウスでも同じなんです。意外とシェアハウスにくる人たちって、そんなに社交的じゃない。社交的ではないんだけど、楽しいことがあったらいいなと思ってきている。彼らが自然に仲良くなってくれたら僕らの勝ちなんですけど。オフィスに関しても、そういう空気感でありたいというのはあります。

ワークスペース

PORTALは受付がないんですよ。それをやってしまうと、サービスをする人と受ける人の関係性になってしまう。入っている人にとってPORTALは自分のオフィスであって、僕らのお店にいるわけではないと思ってもらいたいですね。

ワークスペース

自分のオフィスだったら僕たちは従業員ではないので、あれやこれやはしないじゃないですか。僕らもここで仕事をしているので、できるだけ同僚として過ごしてもらいたい。同僚っていう関係性を僕らと入居者の間で築いていきたいし、入居者同士でも「フリーだけど同僚もいますよ」みたいな。ライバルでもあり同僚でもある関係性で、みんながいられたら良いなと思ってます。

RECOMMEND
関連記事