沖縄でお試し移住するなら「宮城島」へ。島全体が家族のような街町で本来の自分を取り戻そう!

“豊かさ”に触れる「お試し移住」沖縄県宮城島
沖縄県宮城島(みやぎじま)は那覇市から車で約2時間、沖縄の真ん中ほどに位置するうるま市から海中道路を渡ってたどり着くことができます。
海中道路の先にある島は、宮城を含む、平安座(へんざ)、浜比嘉(はまひが)、伊計(いけい)の4島。この辺りは豊かな自然に恵まれ、沖縄県内外から来る方にもパワースポットが多いことでも知られています。
今回、宮城島で「お試し移住」が始まると聞き、お話を聞かせてもらうため急いでやってきました。当日は台風が近くまで迫ってきていたこともあり、あいにくの曇り模様でしたが、海と山が近くにある宮城島は自然にあふれていて、また後日プライベートでお邪魔しようと思ったほどです。
今回は、お試し移住を始めるだけでなく、すでに地域でイベントやボランティアなど幅広く活動している「SU-TE」の名護さん、新屋さん、石川さんにお話をうかがうことができました。
ちなみに「SU-TE(スーテー)」とは沖縄の島言葉で「みんなで一緒に盛り上げよう」という意味があるとのこと。小学校からの付き合いだという名護さんと新屋さん、そしてお隣の島「伊計島」に住みながら、宮城島の住民と地域づくりで関わるようになって一緒に活動を始めたという行政にもお勤めの石川さん。パワフルなトリオの力が合わさり、この島の取り組みはさらに盛り上がりそうな予感がしました。
移住のハードルを下げる取り組み。空き家を活用した「お試し移住」が宮城島でスタート!
▲名護家オーナーの名護盛徳さん
ー「お試し移住」を始めようと思ったきっかけを教えていただけますか
名護さん:この家は「名護家(なぐんしやー)」といって、もともと歴史のある家なんですね。でも今は住む人がいなくなってしまったので、もっと有効に活用しようと思い「お試し移住」を始めることにしました。
いきなり長期移住は難しいと思うので、まずはここでの滞在を通じて、この土地を気に入ってもらえたらいいですね。その後、ゆっくりと本格的な移住に向けて進めていくのがいいのではと思っています。
ここが拠点になって「空き家がうまく活用できた」という事例になれば、次の空き家対策にもきっとつながっていくと思うんです。そしてそれがうまくいって仕事になれば「こんな働き方や仕事もあるんだ」と、若者が島に残るきっかけになるかもしれません。
ー島には今どれくらいの空き家があるのでしょうか
石川さん:空き家の数を正確にカウントするのは難しいところなのですが、だいたい4つの島で300以上の空き家があると思われます。この宮城島だけでも4つ自治会があって、それぞれ空き家が50ずつくらいあるんです。
ーおお……それだけあれば、たくさんの移住者を受け入れできますね!
石川さん:それがそうでもないんです。
地域ごとに移住者受け入れに対する温度差がありますし、そもそも基本的に島の人が自分の家や土地を貸したり、売ったりすることはなかなか無いんですよ。
ーそうなんですか!?
石川さん:やっぱり自分の土地や家を大切にされている方が多いですからね。
長期移住される方も、時間をかけて地域の方と信頼関係を作ってからの移住がほとんどです。ネット上でカンタンに空き家を探せるというわけではなくて、地元の人づてで空き家を紹介してもらう流れが基本です。
空き家も改修が必要な場合が多く、それらは自分で対応する必要があります。なので、長期移住はそれなりのハードルがあるんですね。
だからこそ、行政が間に入ってミスマッチが発生しないようなサポートが必要だと考えています。
宮城島への「お試し移住」申し込み方法をチェック!
▲コーディネーターの石川優子さん
ー実際にお試し移住したい場合はどのように申し込めばいいのでしょうか
石川さん:お試し移住したい人は、プロモーションうるまのお試し移住申し込みページを通じて申し込みが可能です。ヒアリングシートに記入してもらい、その後に選考が設けられています。
実はうるま市では、すでに3年前からお試し移住をスタートしていて、利用者の半分くらいの方が移住を実現しているんですね。なので、比較的うまくいっている移住サポートと言えると思います。
先ほども少し触れましたが、すぐに移住というよりは、お試し移住後も継続的にコミュニケーションをとりながら1年くらいかけて移住している人が多いです。1回本島に移住して、そこから島へ移住する「二段階移住」もかなり確実な移住方法だと思いますね。
宮城島の魅力とは?お試し移住を楽しむポイントを解説!
ー宮城島にお試し移住すると、どんな過ごし方ができるのでしょうか
名護さん:お試し移住の期間はおおむね1週間くらいをイメージしているのですが、まずは島を一緒に散策しながら、この宮城島について説明させてもらおうと思います。途中で会った住民の方へ、その場で紹介もできますしね。
あとは滞在期間中にイベントなどがあれば、ぜひそちらにも参加いただくことも可能です。島の外からも人が集まるので、とても賑やかですよ。あまった時間は自由に過ごしてもらえればと思います。
▲SU-TE代表の新屋秋夫さん
新屋さん:「イチャンダビーチ」もあるので、そこで海水浴を楽しむのもいいでしょうね。
ーそんなスポットはガイドブックに載っていませんでした!イチャンダビーチとは何ですか!?
新屋さん:「イチャンダ」とは沖縄の方言で「無料」という意味です。島の人間しかわからないようなビーチがあって、それを勝手に「イチャンダビーチ」と呼んでいるんですよ。笑
ーそれは絶対に行きたい! その他に宮城島にはどのような魅力があるのでしょうか。
名護さん:やはり宮城島は「昔からの風景が残っていること」が1番の魅力だと思います。私が子どもの頃と比べても、ほとんど島の景観が変わっていないんですよ。
良くも悪くも人の出入りが少ない町なので、町ですれ違えば声を掛け合う文化がありますし、泥棒の心配が無いので鍵をかけなくても安心です。
「島全体が家族のような感じ」。ユイマールの価値観が残る宮城島でぜひ移住体験を!
石川さん:私はもともと名護市(沖縄本島北部)の出身なんですけどで、社会人になって1回沖縄を出て、その後1ヶ月ほどお隣の伊計島に仕事で通っていましたた事があったんですね。その1ヶ月で、何だか本当に「人間に戻った」という感覚をすごく感じたんです。
ー人間に戻った!?
石川さん:はい。都会の暮らしで疲れていた部分もあると思うのですが、1ヶ月の滞在で本当に健康になったんです。
この島は人間関係が濃いので疲れる部分はあるんですけど、それが心地よい疲れなんですよね。島全体が家族のような感じであったかくて、何かあればすぐに声をかけてくれて。
それが当時の私にはとても必要なことだったんだと思います。だから今取り組んでいるような、暮らしの体験に関わることをずっと続けたいと思ったんです。
名護さん:沖縄には「ユイマール」という考え方があるんですね。「ユイマール」とは「助け合い」という意味です。
私たちが子どもの頃は、サトウキビの収穫シーズンになれば近所のお手伝いをするのが当たり前だったんですね。今の時代だと「偉いね〜」と言われるかもしれませんが、お互いに助け合うことは私たちにとって当たり前のことなんですよ。それはユイマールという考え方がしっかりとあるからかもしれません。
まとめ
今回お話をうかがった名護さん、新屋さん、石川さんは大変穏やかでユーモアがあり、同時に地域の課題と向き合う視点をお持ちの方々でした。3人の力が合わされば、この「お試し移住」もきっとうまくいくに違いありません。
実はインタビューの途中で、たまたま名護家を訪れた宮城島ご出身の若い女性にお話をうかがうことができました。
どうやら今はこの島には住んでおらず、仕事のためだけに島を訪れているとのこと。
「この島には住まないのですか?」と聞くと少し困った表情を見せ、「この島には学校が無いので、子育てを考えると大変なんですよね。それに友だちもみんな本島にいるので、あちらの方が暮らしやすいのが本音です。」とのことでした。
でも、彼女はこうも言っていました。
「自分がこの島で育ってきたので、本当はこの島で子どもを育てたいという気持ちはあるんです。私が子どもの頃1人でフラフラ歩いていると、必ず誰かが『なにしてるか〜?』って声を掛けてくれるんですね。いつも見守ってもらえている安心感がこの島にはあるんです。人との距離が近すぎてウッとなることもありますけど(笑)」
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この後、インタビューが終わって、軽く打ち上げをしようとしたときのことです。
当たり前のように三線の音色が流れ、琉球舞踏のエイサーがはじまりました。その場が一気に華やかになり、自然と笑みがこぼれます。
このような豊かな文化の中で育つ環境は、決してお金では買うことができないものです。
人と人とのつながりや助け合い。陽気な音楽と踊り。
今回のインタビューを通じて、無くしてはいけない大切な価値観が残っている宮城島を感じることができました。
沖縄に移住を考えている方は、ぜひ1度宮城島のお試し移住を体験してみてください!
公式サイト:うるまで暮らす