日本で3番目にできたコワーキングスペース『JUSO Coworking』利用者に寄り添い、フリーランスを孤立させない場所

日本で3番目にできたコワーキングスペース『JUSO Coworking』利用者に寄り添い、フリーランスを孤立させない場所
2010年12月に生まれた、日本で3番目、大阪初のコワーキングスペース『JUSO Coworking』。コワーキングスペースの激戦地とも言われる大阪で、長年に渡り支持されてきた秘密は、徹底的に利用者に寄り添うオーナー夫妻にありました。彼ら夫妻が語る、当店のこれまでの歩み、魅力、そして今後の展望とは?
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子育て世代の夫婦が運営! まるでリビングのような居心地空間

下町情緒あふれる大阪十三。駅からわずか3分のビルに『JUSO Coworking』は存在します。コワーキングスペースと聞くと、IT用語が飛び交い、みんながパソコンを開いて……というイメージが強いかもしれません。でも、ここ『JUSO Coworking』は全く違います。

「くらしと仕事をつなげる」そんな合言葉のもと、運営に携わる深沢 幸治郞さん・周代さんは子育て真っ只中のご夫婦。まるでお2人のリビングに招かれたようなワーキングスペースは、思わず長居してしまう素敵な空間でした。

「家族が集まり、お互いに助け合う」かつての日本の良さを再認識させてくれるような『JUSO Coworking』。設立秘話とその魅力、これからの展望をたっぷりと教えていただきました!

JUSO Coworking』ワークスペース情報
■ 場所:大阪府大阪市淀川区十三東1-17-13 水交ビル 403号室
■ 料金:
     固定席プラン \14,040 / フリープラン \10,800 /
     ブースプラン \37,800 (1年契約で\32,400)/(いずれも1ヵ月あたりの料金)
     ドロップイン(1日利用) ¥1,080(2時間以内の利用は\540)
     学生割引 \540(生徒証の提示要)/回数券あり
■ 営業時間:
     月・火・木・金: 10:00〜18:00 / 水: 10:00〜21:00(夜間営業日)
     ブースプラン・固定席プランは8:00〜23:00(ビル営業時間・年末年始休業日あり、要問い合わせ)
■ 電源 :◯ ■ WiFi:◯
■ 特徴:最大の特徴は、子どもも入室可能なコワーキングスペースであること。保育園と提携しているため、マンスリー会員・ブース会員は『JUSO Coworking』への送迎が無料となっている。

日本で3番目のコワーキングスペースとして誕生!

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-どのような経緯で『JUSO Coworking』の運営を始めたのですか?

(幸治郞さん・夫):もともとは私がウェブデザイナーとして独立しようと思っていたときに、妻の実家のビルのテナントが空いていたので「自分のクリエイティブな仕事とビルの利用を一体にできないか」と考えたのが始まりでした。

クリエイティブ関係の仲間とシェアオフィスでも……と思っていたら、ちょうど妻がTwitterで「コワーキング」という単語を見つけました。確かに、ビルの管理という面から考えると、不特定多数の人が利用するコワーキングスペースは、不安な要素もありました。

でも、よく考えると「自分たちがやりたいのはこれだ!」と感じ、とにもかくにもやってみようとコワーキングスペース事業を始めたのです。

2010年の夏。当時、まだ日本に2件しかなかったコワーキングスペースに足を運び、お話しを伺いました。そして、2010年12月、3階にブース4部屋と、真ん中に6人くらいで使える机を置いて……と設備は最低限でしたが、日本で3番目にこの『JUSO Coworking』は生まれました。

私たちには、魅力的な人を集め「ソフト面」を充実させれば、たとえビルという「ハード面」にお金をかけなくてもできることがある、という強い想いがありました。今振り返れば、その信念に後押しされて「とりあえず走りだそう!」という感じだったと思います。

最初の数ヵ月はお客さんが全く来ないことも……

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-設立当初、どのようなご苦労がありましたか?

(周代さん・妻)設立当初は、まだ「コワーキング = 一緒に働く」という考え方が日本には根付いていませんでした。利用者の皆さんも、図書館や自習室のように「喋ってはいけない」という意識が強く、ただのスモールオフィスのようになっていました。

(幸治郞さん・夫):また、最初は起業家さんしか見学に来てくれず、1ヵ月を通してお客さんがいないということもありました。たとえば、部屋の中には私たち夫婦とあと一人だけ。これでは、コワーキングスペースとして成り立ちません。コワーキングスペースの未来について色々と議論を交わしても、絵に描いた餅にしかならないかも、という状態が数ヵ月は続きました。

「仕事の集まり」や「育児相談」は『JUSO Coworking』で”家族ぐるみのお出かけ”に!

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-では、転機となったのはいつごろですか?

(周代さん・妻):まずは「コワーキング = 一緒に働く環境」を作りたいと思い、よく利用いただいていたメンバーと私たちで週に1回、例えば『木曜のこの時間に集まろう!』と決めてみました。そうすれば、私たちオーナー側も他のお客様に「木曜には人がいますよ」と案内しやすくなります。この動きは、月に1回集まる『JUSO Jelly!』という会に繋がっていきました。

ちょうどそんなころ、コワーキングの運営とは全く別に『家族ラボ』というオフ会を開催していました。こちらは男女問わず、子どもがいる人もいない人も、自分と家族のあり方について様々なテーマで話し合ってみる集まりです。『家族ラボ』と『JUSO Jelly!』。あるとき、全く違うこの二つを一緒にできないかなと思いつきました。育児話が盛り上がっている横で、和やかに仕事をしている人たちもいて、その間を子どもたちが自由に走り回る……。これが意外と好評でした。

「仕事の時間」も「子育て相談」も『JUSO Coworking』に足を運べば、みんな合わせて「家族ぐるみのお出かけに」早変わりするのです。これが、現在の『JUSO Coworking』の礎となったのです。

夫婦で運営していることから”男性視点”と”女性視点”を上手く注ぎ込められている

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-『JUSO Coworking』の特徴や他にはないアピールポイントを教えてください!

(周代さん・妻)今日も私の後ろでドロップインの手芸教室が開かれていたり、その他にも耳ツボ施術が行なわれたり……など、ここ『JUSO Coworking』ではIT関係以外のイベント利用も大歓迎です。

ネイルの先生も利用されているので、パソコンで仕事しながら足にネイルアートをしてもらうのもオススメですよ (笑)。いろんな業種の人が、カルチャーセンターのように気軽に使えるスペースにすることを意識し、日々運営しています。

そのためでしょうか? 特に意識しているわけではないですが、勉強会の主催者様から「JUSOは女性が利用しやすい」と言っていただけることがよくあります。やはり、夫婦で運営しているため、男性視点と女性視点を上手く注ぎ込むことができているのではと思います。

子連れでの利用も大歓迎!保育園との提携で送迎も必要なし

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-どのようなフリーランスの方に利用してもらいたいとお考えですか?

(周代さん・妻):『JUSO Coworking』は一般的なコワーキングと違い、ご利用プランが柔軟。一応、料金表はありますが、初めは利用者さんと相談させてもらい、その方にあった使い方や料金プランを臨機応変に提案させていただいております。1カ月からマンスリー契約も可能ですので、自宅のネット回線が開通するまでの間や、子どもの夏休み期間だけという使い方もOKです。

もちろん、お子さん連れでお越しいただけるように、ソファでくつろげるスペースや絵本はご用意しております。デスクも天然素材にこだわり、角もしっかり削ってあります (笑)。店内ではお子さん同士の交流を目にすることもあり、お子さんも学校では体験できない人間関係を築いているのだな、と微笑ましく感じています。

自宅で家事や子育てに振り回されながら仕事をしているという在宅ワークのママさんには、良いリフレッシュの場になるのではないでしょうか。事前にお電話をいただければ、他のメンバーさんにもお子さんのことをお知らせしておくこともできますし、「どうしても今日だけは預かってもらいたい……」という時には、無認可の保育所と提携しておりますので、送迎なしでお子さんを預けてもらうことも可能です。

「小箱」だからこそできること!『JUSO Coworking』が育んできた「コミュニティ」

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-フリーランスの方が利用する場合、どのような点が魅力になると思いますか?

(幸治郞さん・夫):もともとここは、先ほどお話ししたとおり最小限のスペースから始めました。その後、周りにどんどんと大きな共有型ワーキングスペースが増え始め、料金も安くお洒落なところができたため、内心、戦々恐々としていました (笑)。

それでも、小さいなりに生き残れているのはなぜか、と考えたとき、ここ『JUSO Coworking』には「コミュニティ」が育っているからだと気づきました。そういう意味で、大きいコワーキングスペースに行ってもしっくりこなかった人こそ、ぜひ一度『JUSO Coworking』を訪ねてきてもらいたいなと思います。

私たちは、「コミュニティ」をしっかりと作っているので、「こういう勉強がしたいのだけれど……」とか「こういうことが聞ける友達を作りたい」という相談をしていただければ、色々な提案をすることができます。きっと「小箱」の持つ良さを実感していただけるのではないでしょうか。

コワーキングスペース同士で横のつながりも持っていますから、他のスペースを紹介することもできます。アクセスの良さや本当に必要な仲間がどこにいるか、など親身になって相談できるのも『JUSO Coworking』ならではの魅力だといえるでしょう。

1カ所、2カ所行っただけで、「コワーキングはこんなものか……」と早合点してしまわず、転々と何カ所も渡り歩いてみることが大切なのではないか、と私たちは考えています。そして、この『JUSO Coworking』であれ、他のところであれ、その人にピッタリの着地点となるコワーキングスペースが見つかることを心から願っています。

「仕事」でも「くらし」でも孤立しない、孤立させない!『JUSO Coworking』ただいまスペース拡張中!

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-将来への展望や夢などをお聞かせください!

(周代さん・妻):現在はビルの3~4階が中心ですが、新たに1階を改装し、コワーキングスペースとして提供する予定です。1階であれば、ベビーカーなどをお使いのお子さん連れの方がさらに使いやすくなるでしょうし、キッチンもありますので、お料理教室やレンタルキッチンなど、またこれまでと違うニーズにお応えできるのではと楽しみにしています。

私たちは仕事でも子育てでも、何でも『孤立する』ということが一番危ないのではないかと考えています。まずは、相手の顔と名前を覚える。次に、たわいないことを喋る。そうするうちに、仕事や家族の悩みを打ち明けられるようになって……。1つひとつ、段階を踏まないと本当の相談はできないと思うのです。仕事でも生活でも、そんな相談のできる「コミュニティ」を大切にしながら、今後も常に「走りながら」楽しく運営に励んでいきたいと考えています。

(おわり)

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