白色申告と青色申告の違いとは?

白色申告と青色申告の違いとは?
フリーランス(個人事業主)に避けては通れないのが「確定申告」。節税対策のためにも、しっかりとした申告を行ないたいものです。そうは言っても、初めてのことでは分からないことばかり。ここでは自営業者に必須な「白色申告と青色申告の違い」をお伝えいたします。
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そもそも、白色申告・青色申告とはなにか?

フリーランス(個人事業主)は、確定申告の税区分では「その他の事業」を行なっていると見なされ、20万円を超える事業収入(報酬)がある場合は、確定申告を行なわなければなりません。

この個人事業の確定申告には、『白色』と『青色』の2種類があります。青色申告はさらに特別控除の金額が『10万円』と『65万円』に分けられています。

個人事業主の受け取る収入は、金額の100%全て「儲け」となるわけではございません。仕事をするのに必要な物品を購入し、事務所として場所を使い、打ち合わせがあれば交通費をかけて出かけていき、取材には自家用車を利用するなど、様々な活動があります。

こうした「収入を得るために使ったお金」が必ず含まれています。そのなか、受け取った報酬を全て儲けとして申告するというのは、事業主には喜ばしいことではないのです。ですから、所得税法では「仕事にかかった費用(経費)は、報酬から差し引いて申告できる」ということになっているのです。

しかし、実際の事業状況は、人それぞれ。毎日、何かの経費が出る事業から、ほとんど経費がかからない事業まであります。事業主自身も「簿記の資格を持っています」というエキスパートから、「家計簿も苦手」という方まで。

事業規模にしても、人を雇って会社として仕事を請け負う場合と、一人で細々と行なう事業の場合もあります。このように事業状況は人それぞれであるのに、全てを同一の厳しい決まりで申告をさせることは不公平になってしまいます。

そこで、所得税法では……

1、経費をおおまかに計算するだけで、申告ができる方法【 白色申告 】
2、取引を細かく記録しなければならないが、控除額が多くなる方法【 青色申告 】

の二通りを定めているのです。

白色申告と青色申告の違い

白色申告と、青色申告には、どんな違いがあるのでしょうか?以下の表へ簡単にまとめてみました。

青色申告

このように簡単な比較をしただけでも、様々な違いが白色申告と青色申告には見られます。これだけでは、「自分にはどちらが良いのか?」、判断がつきにくいですね。

これまで、会計や税務に関わりの薄かった方には、用語も聞き慣れないものが多く、分かりづらいことでしょう。それでは、どのような条件の人が、「白色」または「青色」に適しているかを見ていきましょう。

白色申告をしたほうがいい人とは!?

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白色申告は、経理の方法としてみた場合、比較的簡単で、事務負担が少なくなっています。収入が300万円未満なら帳簿をつける義務(記帳義務)もありません。[※2014年(平成26年)1月以降:全ての白色申告者に記帳/帳簿保存が義務化]

そのため、以下のような人々が白色申告には向いていると言えます。

1、これまで、全く経理経験がない人
2、年の途中から事業を始めて、収入がまだ少ない人
3、副業でフリーランスをしていて、フリーランス収入が少ない人
4、事務経理にあまり時間を割けない人
5、経費の総額がごく少ない人

実際の経費を出すためには、全く記帳しなくていい、というのはやや無理があります。極端な方法としては、レシートを貯めておいて、費目ごとに分けて合計するだけで、経費の計算をなさっている方はいらっしゃるようです。

仕事に使うのもパソコン程度、ネットや電話代も1日中フリーランスのために使っているわけでもないという条件ならば、電気代やプロバイダー料金の経費参入率も低くなり、これらの処理のために経理事務に時間をかける利点がそれほどないと言えます。白色申告の帳簿は「簡易簿記」といって、仕組みは現金出納帳や家計簿と大差ありません。手書き限定といったルールもありませんから、無料のフリーソフトなどを使って処理しても良いでしょう。

青色申告をしたほうがいい人

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まずは、特別控除10万円が目標

フリーランスになってから時間が経ち、多少の経費感覚が身に付く頃には、自然と収入も増えてきているものです。そうなると、本格的に節税をしないと、住民税や国民健康保険税などの負担が大きくのしかかってきます。以下のような方は、同じような処理でも、「青色申告」に切り替えて、10万円の特別控除を利用したほうが得策です。

1、手早く、白色より10万円は節税したい人

10万円の特別控除の場合、決算書の貸借対照表と、損益計算書は完成させていなくても構いません。名前が違うだけで、白色申告の収支内訳書と、記載する内容はほとんど変わりませんから、同じ手間なら、10万円余計に控除してもらえる青色申告の方が得ということになります。

2、不動産収入や、株式などの収入がある人

不動産収入や配当がある人は、どちらにしても、決算書を作る必要があります。どのみち作成するのであれば、フリーの分も決算書にしておけば、損益通算といって、赤字の分を他の所得から差し引く処理ができます

3、経理に専念する時間が取れるか、家族に経理を専任してもらえる人

専従者給与については、条件を満たす限り青色のほうが有利です。白色と違って制限がありませんから、家族を専従者にして、経理を専任でやってもらえるのならば、経費にできる専従者給料を増やすことができます。

4、フリーの収入が65万を超えている人

青色申告は、最大65万までの特別控除を受けることができますから、フリーの収入が65万を超えているのなら、青色を検討してみるほうが良いでしょう。

65万円の特別控除は条件が厳しい

青色申告では、最大65万円の特別控除を受けることができます。一定の条件をクリアすれば、

1、赤字を3年間繰り越して、収入から差し引ける。繰戻しができる
2、貸倒引当金を利用できる
3、減価償却資産を300万円まで一括して処理できる

といった利点があります。取引額が大きくて、収入が安定しない場合は、特例を利用すれば、儲けが大きい年の税金を、赤字の繰り入れや、引当金処理で減らすことができます。

ただし、65万円の控除を受けるには、正規の複式簿記で毎日取引の記帳をする必要があり、事務負担が10万円の控除と比較して膨大になります。経理事務の経験がない人の場合は、少々難しい作業になるようです。

経理経験のない人が記帳をした場合は、税理士のチェックをお願いしないで申告すると、後日間違いが発見されて、追徴がされるリスクもないとは言えません。

また、会社法の改正で、1円で株式会社が立ち上げられるようになった現在では、人件費を経費にできる会社の方が、同じ決算書を作るのであれば有利だという意見もあります。

こうした点から、65万円の特別控除にしたほうがいい人々は、

1、法人設立予定の人
2、税務/会計に明るい人(または、有資格者を確保できる人)
3、高額の資産を事業に使っている人
4、人を雇って仕事をしている人

ということになるでしょうか。近年は安価な税務ソフトが入手できるため、小規模なフリーランスといえども、65万円に挑戦できないというわけではありません。しかし、その場合でも提出前に税理士のチェックをお願いしたほうが無難だと言えそうです。

白色申告を青色申告に切り替えるためには!?

白色申告を青色申告に切り替えるには、管轄する税務署に、「所得税の青色申告承認申請書」を提出すればいいだけです。(家族を専従者にする場合は、同時に「青色申告専従者給与に関する届出」「給与支払事務所等の解説の届出」も提出します)

書式は、国税庁のホームページからPDFでダウンロードできるほか、各税務署でも無料で配布しています。提出の期限は「新規開業」・「白色からの切替え」で以下のとおり少々異なっています。

新規開業の場合

1、開業日が1月1日~1月16日の場合は、その年の3月15日まで
2、1月16日を過ぎて開業した場合は、開業から2ヶ月以内

白色申告からの切り替えの場合

1、青色申告をしようとする年の3月15日まで

青色申告から、白色申告に切り替える場合は、特に手続きは不要で、そのまま、収支決算書を作成・提出して良いことになっています。

(※主要参考元:国税庁ホームページ記載情報および各種提供資料)

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