“成果報酬”の受注リスクとは?

“成果報酬”の受注リスクとは?
報酬を得るかたちにも様々な種類がありますが、その中でも、「成果報酬」には多くのリスクやトラブルの可能性が伴います。「成果報酬とは何か」をしっかりと理解し、トラブル防止のための方法をご紹介します。
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報酬形態にはどのようなものがあるか

フリーランスとして仕事をしていると、いくつかの報酬形態を経験します。それらはタイプ別に、「時間報酬型」「固定報酬型」「成果報酬型」という形で大きく分類されます。

1.「時間報酬」の場合

働いた時間に応じて報酬が発生するもので、時間における内容・分量については問われないことが一般的です。

2.「固定報酬」の場合

成果物を納品した後に報酬が発生するもので、クライアントの要求(事前に取り決められることがほとんど)を満たした成果物を納品する必要があります。

3.「成果報酬型」の場合

フリーランスの納品物が、クライアントの期待する結果・状況を発生させた場合に、成果として報酬が発生するというものです。

このように、多様なケースに応じて様々な報酬形態があります。このうち、フリーランスは、固定報酬型か成果報酬型で仕事をしていることが多いと思います。時間報酬型は、事務系や総務系のお仕事などで用いられるケースですが、現状では企業内で担うことが多く、フリーランスには外注されないことが一般的です。

成果報酬で受けるべきでない仕事の例

「成果報酬」とは、前述の通り、単に成果物を納品するだけでは報酬が発生することはありません。その納品物が、クライアントの要望する成果を生み出さなければ報酬が支払われないのです。

では、成果報酬で受けない方が良い仕事とは、一体どういったものでしょうか?最も避けるべきケースは、一般的・社会的・客観的な視点において、成果を定義することが困難な仕事です。簡単に言えば「終わりを見つけることができない」ものです。

例えば、「顧客満足を最大限にするシステムを作る」や「万人に適応するインターフェースを作る」、「素晴らしい印象を与えるイラストを作る」といったものがあります。

人の考え方や嗜好は異なりますし、時代と共に変わってゆくものです。そのため“終わり”というものを見つけることができず、終着点・成果を定義することも困難です。

結果として、このような仕事は、いつまで経っても報酬を受け取れないリスクを抱えており、「成果報酬では受けるべきではない」と言えるわけです。

成果報酬で受ける際に注意してほしいこと

前述のとおり、終わりのない仕事・終着点が曖昧な仕事は、成果報酬で受けるべきではありません。しかし、クライアントによっては成果報酬での支払いを提示するケースがあります。

それらを全て断る必要はありませんが、仕事に着手する前に、注意しなければならない点があります。それは「成果とは何か」が、クライアントとフリーランスの間において、明確に定義されていることです。

可能であれば、「数値」のような客観的に判断できるものを、成果基準として置くべきでしょう。また、数値化のしにくいもの、例えばイメージ・イラストのようなものであれば「リテイク●回まで」「提案●個まで」というような形で具体化すべきです。

こうした成果基準がない場合、また両者の間で成果に対する認識ずれがある場合、いつまで経っても仕事が完結せず、フリーランスは報酬を受け取ることができなくなるかもしれないのです。また、クライアント側も納得する成果を得られず、信頼関係にも影響する可能性が出てきます。

結論として、着手にあたっては「成果の定義」をクライアントと徹底的に話し合い、両者が合意した内容を契約に盛り込むべきだと言えます。なかなか報酬については話しにくいものですが、気持ちよく仕事をするために、必ず仕事着手の前に“成果の定義”を行いましょう。

理想的な報酬形態とは何か

一般的に、成果報酬は固定報酬よりも大きな額になるケースが多いと言われています。しかし、成果報酬は、これまで述べたように、納品だけで報酬が発生せず、その納品物が期待すべき成果を生み出さなければ報酬を受け取ることができないというデメリットがあります。

では、フリーランスによって理想的な報酬形態はどんなものなのでしょうか?もちろん、支払いの基準が明確であり、そして同基準にフリーランスが納得しているものであることは、言うまでもありません。

しかし、そういった案件が多いとは限りませんので、基本スタンスとしては、クライアントと相談して決定する必要があります。どうしても成果報酬を組み込んで仕事をしなければならない場合にお勧めなのが、固定報酬と成果報酬を合わせたマイルストーンタイプの報酬形態です。

これは、「第一段階」として納品時点で初期報酬が発生し、「第二段階」として納品物が成果を生み出した時点で追加報酬が発生するという”二段構えの報酬形態”です。

もちろん、報酬額自体は分割して受け取るという形になりますので、第一段階の報酬が全てではありません。しかし、フリーランスの側から見れば、成果報酬要素を取り入れながらも、資金面・心理面の両方で安心できる報酬形態ではないでしょうか。

また、言うまでもなく第二段階における「成果の定義」は明確にすべきですが、少なくとも「いつまで経っても報酬ゼロ」という状況を回避できることは大きなメリットです。もし、成果型の仕事をする機会があれば、クライアントにこのような報酬形態を提案してみても良いかもしれません。

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