フリーランスの職種別年収はいくら?より高収入を目指すためには
フリーランスの職種別平均年収の実態
職種別の平均年収一覧
「フリーランス白書2019」では、フリーランスの職種別平均年収について、以下のように分類して発表しました。
表中の数字は、各職種で当てはまる年収だと答えた人のパーセンテージです。
パーセンテージの多い順から、色の濃さを分けていますので、各職種でどの年収帯がボリュームゾーンなのかを確認してください。
職種 | 200万未満 | 200~400万 | 400~600万 | 600~800万 | 800~1,000万 | 1,000万以上 | 全体 | 16.2 | 23.0 | 16.9 | 15.5 | 8.8 | 19.6 | ビジネス | 16.2 | 23.0 | 16.9 | 15.5 | 8.8 | 19.6 | ITエンジニア | 14.6 | 21.2 | 22.2 | 18.7 | 11.6 | 11.7 | 文筆系 | 32.0 | 26.9 | 21.5 | 8.2 | 5.5 | 5.9 | コンサルタント カウンセラー | 24.3 | 31.5 | 10.8 | 9.0 | 6.3 | 18.1 | 職人・アーティスト | 29.8 | 33.3 | 15.5 | 11.9 | 3.6 | 5.9 | 専門・士業 | 17.4 | 13.0 | 26.1 | 8.7 | 8.7 | 26.1 | 接客作業 | 22.2 | 51.9 | 14.8 | 7.4 | 0.0 | 3.7 |
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フリーランス全体では、年収200~400万円の人が26.6%ともっとも多く、次いで200万円未満23.1%、400~600万円が18.4%となっています。
この数字は、フルタイムで働くフリーランスだけではなく、月の労働時間60時間未満のすき間ワーカーから月200時間以上働いているハードワーカーまで含んでいる数字です。
すき間ワーカーの場合は年収200万円未満が47.0%と半数近くを占め、フルタイムワーカーの場合は200~400万円未満が29.0%と大きな開きがあることも念頭に置いておきましょう。
それでは、各職種の平均年収について、順番に解説します。
ビジネス系フリーランスの平均年収
ビジネス系フリーランスの年収は、200~400万円未満がボリュームゾーンで23.3%ですが、次点が1,000万円以上で19.6%と、高収入の人が2割近くも占めています。
ビジネス系の仕事は、経営企画や人事、営業、広報など多岐にわたり、中には業務経験がないと難しい仕事も少なくありません。
ビジネス系の業務経験がある人は、フリーランスになっても同じ業務に挑戦すると1,000万円以上の年収を得られる可能性のがあると言えます。
IT・エンジニア系フリーランスの平均年収
IT・エンジニア系の年収は、年収200万円未満と答えた人の割合が全業種中もっとも低い点が大きな特徴です。
ITエンジニア系のスキルがあれば、ある程度の年収を得られることが分かります。
IT系フリーランスは、エージェントを利用して顧客先に常駐することで高収入を得ているパターンも多く、まとまった年収が期待できる職種です。
ただし、年収1,000万円を超える年収を得ている人は、他の高収入な職種に比べると若干少なめです。
文筆系フリーランスの平均年収
文筆系フリーランスは、ライター・校正・編集・イラストレーター・翻訳を含む職種です。
文筆系の年収は、200万円未満が32.0%と全業務の中でも最多となっています。
また、1,000万円以上の高い年収を得ている人の割合も、5.9%と少なめです。
ただし、年収400万円以上を得ている人も41.1%いるため、仕事を続けていけば年収を上げていける職種だと考えられます。
コンサルタント・カウンセラー系フリーランスの平均年収
コンサルタント・カウンセラー系は、スポーツインストラクターや講師業も含み、専門スキルが求められる職種です。
仕事内容がバラエティに富んでいること、個人のスキルレベルにも大きなばらつきがあることなどから、年収の傾向は両極端です。
ボリュームゾーンは200~400万円未満の31.5%、次点は200万円未満の24.3%。
しかし、3番目のボリュームゾーンは1,000万円以上の18.1%であり、高年収を得ている人も2割近くいます。
コンサルタント・カウンセラー系でフリーランスになる予定の方は、どのような人が高収入を得ているのかを調べてみると参考になるでしょう。
職人・アーティスト系フリーランスの平均年収
職人・アーティスト系のフリーランスは、カメラマンやメイク・スタイリスト、美容師、調理師等を含む職種です。
専門スキルが求められる職種なのですが、400万円未満が6割以上を占めており、1,000万円以上の年収を得ている人は5.9%と少なくなっています。
専門・士業系フリーランスの平均年収
専門・士業系のフリーランスは、専門性の高さから全業種の中でもっとも高い収入を得ている業種です。
ボリュームゾーンは400~600万円未満・1,000万円以上でどちらも26.1%。
400万円未満のフリーランスは30.4%と、他の業種と比べても特に低くなっています。
士業の資格を持っている人は、フリーランスの道を選んでも、十分な年収を得られる可能性が高いと言えるでしょう。
接客・作業系フリーランスの平均年収
接客・作業系のフリーランスは年収200~400万円が51.9%を占め、1,000万円以上の年収を得ている人は3.9%と全業種中もっとも低い割合です。
安定して200~400万円の年収を得ることはできますが、そこから高収入を目指すのはなかなか厳しいことが伺えます。
フリーランスの手取り年収を計算する方法
ここまで、フリーランスの税込み年収を解説してきましたが、フリーランスの手取り年収は給与所得者の会社員に比べて低くなると言われています。
そこで、フリーランスの税込み年収から手取り年収を計算するために必要な情報をまとめました。
売上高・給与から差し引く社会保険料と所得控除
フリーランスや給与所得者の収入からは、社会保険料や所得控除が差し引かれます。
フリーランスと給与所得者の社会保険料と所得控除の内訳は以下の通りです。
種類 | フリーランス | 給与所得者 |
---|---|---|
社会保険料 | 国民健康保険、国民年金の保険料 | 健康保険、国民年金、厚生年金保険および船員保険の保険料 |
所得控除 | 基礎控除(48万円)、青色申告特別控除(10万円、55or65万円)、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、雑損控除、住宅ローン控除、小規模企業共済等掛金控除 | 給与所得控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除、雑損控除、住宅ローン控除 |
社会保険料は、フリーランス・給与所得者ともに実際に負担した金額が控除されます。
所得控除に関しては、フリーランスは基礎控除(48万円)、青色申告特別控除(10万円、55or65万円)、給与所得者は給与所得控除が主な所得控除です。
その他の配偶者控除などは、フリーランスと給与所得者で共通しています。
売上高・給与から差し引く経費
仕事をする上で必要な費用は「経費」として売上高や給与から差し引くことができます。
フリーランスと給与所得者で認められている主な必要経費は以下の通りです。
フリーランス | 給与所得者 |
売上原価、支払った給与、賃金、地代、家賃、消耗品、外注費、水道光熱費など | 給与所得控除に含まれるため個別には請求しない |
フリーランスは、事業にかかる必要経費について細かく定められています。
一方、給与所得者の場合は、給与所得控除で収入割合に応じて経費も含めて控除という考え方のため、ひとつひとつの必要経費は申請できません。
フリーランス・給与所得者の負担する税金
フリーランスと給与所得者が負担する税金も、手取り年収を計算する上で必要な情報です。
フリーランスと給与所得者それぞれに必要となる税金をまとめました。
税金の種類 | フリーランス | 給与所得者 |
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所得税 | 確定申告して差額を還付か支払い | 毎月源泉徴収を受け年末調整で差額を還付 |
住民税 | 確定申告して翌年支払い(年4回) | 年末調整後翌年度の給与から毎月均等に給与から天引き |
消費税 | 売上が1,000万円を超えたら消費税を納める | 不要 |
個人事業税 | 職種によって3~5% | 不要 |
フリーランスは4種類の税金があり、給与所得者は2種類の税金を計算します。
フリーランスの方が負担する税金の種類は多く、売上高1,000万円未満でも、個人事業税の分税負担は高くなります。
フリーランスは会社員の年収の1.5倍程度で同じ生活水準
手取り年収を計算する情報についてここまでまとめました。
フリーランスと給与所得者の違いを抜粋してまとめると以下の通りです。
主な違い | フリーランス | 給与所得者 |
---|---|---|
必要経費 | 自分で集計して確定申告する | 必要経費のかわりに給与所得控除を自動的に計算 |
所得控除 | 青色申告特別控除 10万円、55万円、65万円 | 給与所得控除 55万~195万円まで所得金額により段階的に控除額が増える |
社会保険 | 国民年金と国民健康保険 全額を支払う | 厚生年金と健康保険 事業者と折半 |
その他 | 有給休暇なし 傷病手当金なし 交通費の支給なし | 有給休暇あり 傷病手当金あり 交通費の支給あり |
税込み年収が同じ金額でも、フリーランスと給与所得者を比較すると給与所得者の方が手取り年収は多くなります。
また、有給休暇や福利厚生など、給与所得者の方が有利な違いが多い点も見逃せません。
会社員時代に年収500万円だった人の場合、フリーランスでは1.5倍の年収750万円で同じ生活レベルになると言われています。
フリーランスの抱えるリスク
フリーランスになると、会社員時代とは違うリスクがいくつかあります。
ここでは、特に大きな影響のあるリスクと、そのリスクに対してどのような対策が考えられるのかについて解説します。
どのようなリスクがあるかを把握して、それぞれのリスクに対してできることがあれば対策を検討しましょう。
案件が途切れるリスク
フリーランスになるということは、1つの勤務先に縛られないという自由がある反面、仕事が途切れるリスクは常にあります。
直近では、2020年に大きな影響が出た新型コロナウイルス感染症の拡大により、受注が減少したフリーランスが少なからず出ました。
案件が途切れるリスクを可能な限り回避するには、多くのクライアントから仕事を受注して、リスクを分散させることを考えましょう。
また、一時的に収入が減少しても仕事を継続できるように、3ヶ月分の生活費は確保しておくことも重要です。
病気になって仕事をしばらく休んだ時のための所得補償保険も検討するといいでしょう。
加齢により無理がきかなくなるリスク
ハードワークによって多くの収入を得ている場合、加齢により体力・気力が落ちてくる年代になると、作業量が落ち、そのままでは収入が減少するリスクもあります。
加齢による作業量の減少に対応するために、今後どうしていくかも考えておきましょう。
収入面での対策は、スキルアップをして短時間で多くの収入を上げる、自己資金を貯めて不動産投資などによる不労所得を増やすなどが考えられます。
支出面での対策は、無駄な出費を抑えることを考えましょう。
家計面の見直しは、ファイナンシャルプランナーのようなお金の専門家に相談することをおすすめします。
フリーランスで高収入を上げるためのポイント
フリーランスになったばかりの時期は、なかなか収入が上がりにくく苦労します。
フリーランスになったばかりの頃から意識するべき収入アップのポイントも確認しておきましょう。
常に複数の案件を持つ
常に複数の案件を持つことは、多くのフリーランスが行っているリスク管理の方法です。
エージェントなどを利用して、常に次の案件を紹介してもらえる仕組みを利用している場合は問題ありませんが、自分で案件を取っている場合は一番に意識したいポイントです。
1つだけの案件に頼っていると、その案件がなくなったときにいきなり収入がゼロになってしまい危険な状態になります。
複数の案件を持っていると、単価の高い案件を獲得して作業負荷が高くなったとき、単価の低い案件から辞めるという判断がしやすくなる点は、収入アップの面で重要です。
案件を複数持ち、高単価の案件と低単価の案件を入れ替えていくことによって、自然と収入もアップしていきます。
人脈を広げる
新しい案件は新しい人脈から獲得できることも少なくありません。
フリーランス同士のつながりがあれば積極的に参加することで仕事の幅が広がる可能性があります。
クラウドソーシングサイトで働く中でできる人脈からも、新しい仕事を得られることもよくあるケースです。
仕事での出会いを大切にして、そこから仕事を広げていましょう。
単価を上げる工夫をする
常に今の単価に甘んじることなく、単価を上げる工夫を続けることも重要なポイントです。
より需要の高いスキルを身に付けたり、高単価案件の多い分野の勉強をしたりすることで、常に市場から必要とされる努力を続けましょう。
また、単価が低くても自分の勉強になる案件は積極的に獲得して、仕事をしながら学ぶのも効率がいいのでおすすめです。
新しい分野には積極的に取り組む
特にIT系、フロントエンジニアやWebデザイナーは、技術やデザインのトレンドが目まぐるしく変わります。
常に新しい分野に挑戦し、新しいスキルを身に付けることで、自分の市場価値を高めることが可能です。
ライティングの分野では、Googleの動向やSEO技術の変遷を注視し、新しい情報を積極的に取り入れて行く必要があります。
これまで積み重ねてきた経験にプラスして新しい分野のスキルも身に付けることで、さらに高単価で仕事を依頼してもらえる確率が上がります。
ランサーズでフリーランスデビューをして経験を積もう
ランサーズは、ここで紹介した全職種の案件が集まっている、総合型のクラウドソーシングサイトです。
フリーランスとしてデビューしたばかりの初心者向けの案件も豊富にあり、自分の力を試せる場が提供されています。
まずは会員登録をして気になる案件に応募し、実績を積むことから始めましょう。
実績を積むことで、より高単価な案件に挑戦できるようになりますので、段階的に収入を伸ばすようチャレンジしてみてはいかがでしょうか。