宇宙技術好きフリーライターが、『宇宙太陽光発電』の概要を解説! 未来のエネルギー問題は、日本のテクノロジーが救う?
原子力発電に変わる代替エネルギー開発が注目されている!
東日本大震災の原子力発電の事故を機に、原子力発電に変わるエネルギー開発が注目されています。水力、風力、地力といったすでに知られているエネルギーの中でも、太陽光発電は特に注目をされています。
2019年から電気の買取金額が高くなることなどを受け、ソーラーパネルを付ける家庭・企業が増加しています。しかし、太陽光発電は雨や曇りなどといった天候によって大きな影響を受けてしまうため、エネルギー供給が断続的になる恐れがあり、まだ多くの課題が残されています。
そのなかで注目されているのが『宇宙太陽光発電』なのです。宇宙太陽光発電とは、太陽光発電の課題であった、天候などの影響を受けずに発電ができるという新エネルギーなのです。
NASAも注目した『宇宙太陽光発電』とは!?
宇宙太陽光発電とは、太陽の軌道上にソーラーパネルを積んだ衛星を打ち上げるというもの。発電した電気エネルギーは電波に乗せて地上に送ります。太陽の軌道上に太陽光発電所を送るようなものなので……
- 雲りや雨などの天候の影響を受けない
- 朝も夜も関係なく発電が出来る
- 二酸化炭素などを発生させないため地球温暖化防止にも効果がある
- 安全性も高い
こういったメリットがあるため、NASAも注目している新エネルギーなのです! もし実現すれば、地上の太陽光発電の10倍の発電が可能だと計算されています。
宇宙太陽光発電は、実は1990年頃、日本企業が考案した新エネルギーで、CMなどで流れるような企業も研究開発に携わっていました。
東日本大震災を受け、原子力発電の安全性が問われるようになってから再度研究が行なわれ、2015年3月12日には三菱重工によって、宇宙太陽光発電システムの無線送電技術の地上実証試験に成功。
まだまだ実用化には時間がかかりそうですが、難しいシステムを使っていても基本的な仕組みは太陽光発電と同じなので、安全性にも長けている新エネルギーです。
NASAが手を引いた!? 宇宙太陽光発電の課題点
日本で開発が行なわれた宇宙太陽光発電ですが、アメリカのNASAでも以前、注目を浴び、研究に着手したこともあったのですが、現在では手を引いています。その理由は……。
課題点1:コストが高すぎる
もし宇宙太陽光発電の実用化が決まれば、宇宙に部品を打ち上げる必要があります。太陽光発電の部品はソーラーパネルだけではないので、約500回の打ち上げが必要になる見込みになります。
・1回の打ち上げ:100億円 × 500回=5兆円
打ち上げるだけで5兆円かかるという現実に、NASAは手を引いたのです。それ以外にも、かなりのコストがかかります。
- 電気エネルギーを電波に乗せて送るシステム:5,700億円
- 地上のシステム:2,300億円
- 雑費:4,700億円
- 年間の保守費用:340億円
課題点2:打ち上げ技術が確立されていない
宇宙に部品を送るにあたって、太陽の静止軌道上に部品を打ち上げる技術は現在ないため、システム自体が実現しても運用までは現段階では出来ないというのが現状です。
宇宙太陽光発電の課題を解決する方法
宇宙太陽光発電は人類が考えた夢のようなシステムですが、課題点を見た人は『机上の空論で実現しない』と思う人が多いのではないでしょうか。実際、金銭面での負担が多く、NASAもバカげた計画だと手を引きました。
しかし、『未来テック』などの日本企業は現在も研究を続けているのです。東日本大震災の原子力発電の事故を経験している日本人の意地なのかもしれません。
コストが高いのならば、下げればいいというのが通論。もともとカラーテレビも高級品でしたが、研究を続けていくことでどんどん安価になっていきました。宇宙太陽光発電は1つの企業だけで開発できるものではないのだと考えています。
日本、アメリカ、中国、中国に追従して技術力を上げているインドなど世界で取り組むことで、よりコスト削減でき、より現実味が出てくるのでしょう。三菱重工の送電システムが実用化してしまえば、技術課題は打ち上げ技術だけになるので、より現実味が出るでしょう。
難しいからこそ挑戦する!日本人技術者を知って欲しい
テレビなどのメディアニュースを見ていると、「原子力発電は止めたいけれど、代替エネルギーは何も浮かんでいない!」というような印象を受けます。
実際は新エネルギーの研究を進めていて、NASAですら手を引いた難しい開発をしている技術者が日本にいることを知ってほしい。宇宙太陽光発電は日本の未来だけでなく、地球の未来をも変える研究なので是非実用化して欲しいですね。