『ただ、作るだけの人間はいらない!』クライアントから突き付けられた最後通告で、働く姿勢が変わった

『ただ、作るだけの人間はいらない!』クライアントから突き付けられた最後通告で、働く姿勢が変わった
「指示された仕事のみをこなす」それだけでは、フリーランスで継続して活躍し続けるのは難しいかもしれません。現在、フリーライターとして活躍する八神 徹 さんも、以前は「言われたことをやる」という働き方でした。でも、次第にクライアントから求められなくなっていく……。これではダメだ! 継続して仕事を勝ち得るために、そして、フリーランスとして成長していくために、彼は受け身の働き方から脱却しました。【フリーランスが語る、思い出の仕事シリーズ】
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仕事はできて当たり前。仕事を生み出してこそフリーランサー

私はフリーランスとして活動する前、完全分業でWEBサイト制作を行なうサラリーマンでした。f言われたことをやるだけの日々が染み付いていて、フリーランサーになったからといって、その癖をすぐになくせるわけではありません。

当時の私はあくまで「依頼された仕事をこなす」というスタンスで、定期受注をいただくクライアントとの関係もドライなものとしか捕らえていませんでした。

そんなある日、常連のクライアントから「今後どんなWEBページを作ったらいいかな? 」と相談されました。しかし、制作するなかで事業展望などを考えたこともない私は何も回答できず……。

そのせいか、そのクライアントからの受注は尻すぼみになってしまいました。指示された作業をこなすだけでは使われることはあっても頼られることはなく、他に頼れるフリーランサーが現れれば仕事を取られる。そのことを実感した私は「自分にしかできない事」にこだわり始めたのでした。

“どう作るか” ではなく “何を作るか” を考えろ!

MTGする人

ある日、尻すぼみになってしまっていたクライアントから新たな受注が届きます。「リスティング広告とランディングページを使ったWEBマーケティングを考えているんだけど、どんなページ作ったらいいか提案できます?コンペ形式で募集するので、何かできたら連絡ください」

つまり “何を作るか” を考えろ、ということです。如何にクライアントから言われたとおりに制作するかを考えていたオペレーターのような私では、考えたことのない内容でした。

逆に何を作るかを考えられるようになれば、自分にしかできない事を生み出せるようになるのではないか?そう考えた私はなんとか要望に応えようと、AIDMAやAISAS、PDCAサイクル、ABテストなどWEBマーケティングの基礎を学びました。

営業目線を取り入れるための制作手法、経営学についても手をつけ、ひたすら学ぶ日々。何もわからない中、手探りで試行錯誤を繰り返すうちに、自分が如何に小手先の作業しかできていなかったかを痛感しました。

デザインや想定導線にもロジックがなかった自分と向き合うことで、クライアントに伝わる&結果の出るクリエイティブへとフォーカスしていくことができました。

一作業者からの脱却。本気でぶつかり合うことで生まれた成功

色々な知識を学んでいたある日、自分の中でクライアントから受けた要望の捕らえ方が変わりました。例えば「この商品の広告用LPを作りたい」と言われた時、以前は「どういうデザインにしよう? 」と考えましたが、「このLPを使って何をしたいのだろうか」と自然と一歩踏み込んで考えるようになっていたのです。

制作物のクオリティも変わり、納品時の修正回数も減って私もクライアントもかなり楽になりました。その域にたどり着くまでは、商品を理解しろ! 事業展開を考慮しろ! と怒られまくったものです(笑)。

その後、私から「こういう内容の方がいいのでは? 」「こっちのマーケティングプランの方が効果が出るかもしれない」と提案するようになりました。当然クライアントと意見がぶつかることもありますが、本気で最高のマーケティングを目指しているという意識が共有できていれば、関係が険悪になることはありません。

そうやって恐れずに本気で向かい合い続けた結果、初めてクライアントから「あなたにお願いしてよかった」と私自身を評価する言葉をもらいました。納品物ではなく私個人への評価。それは今までにない喜びと達成感をもたらしてくれました。

デジタル時代を支える、アナログな関係

握手する人

納品物ではなく人を評価された。その事実はただ自己満足を生んだだけではありません。熱意を持って真剣に相手を想うことで、相手からも真剣に付き合っていただけ、少しずつ仕事の依頼や紹介をもらえるようになります。

はっきり言えば受注単価も上がりましたし、報酬額が大きい仕事の依頼も増えました。また、そういった経験のおかげでコンペでもクライアントに響くプレゼンを行なえるようになったと思います。

与えられた仕事をこなすだけの、オペレーターの代わりはたくさんいますが、人として通じ合えたフリーランサーの代わりはそういません。

『代わりがいない』、つまり自分にしかできない事があれば、フリーランスとして得がたい安定的な収入を得るチャンスになるのです。頼られ相談されることが増えれば自然と人とのつながりも広がっていき、それがまた新たなビジネスチャンスに繋がります。

スキルやデータはもちろん重要です。しかし、それを活かすフリーランサーとそれを求めるクライアント、人と人との繋がりこそがフリーランサーの人間性と生活を豊かにしてくれるのではないでしょうか。

確立された立ち位置が、私を自由にしてくれた!

フリーランサーを始めたばかりの頃は、この文章は訂正すべきなのか……? この色変だけどそのままでいいのか……? と、小さいことでもかなり悩んだものです。

仕事も少なかったですし、一つ仕事を失うだけで生活がぐっと厳しくなりますからね。でも今は堂々と「こうした方がいいかもしれませんね」と提言することができます。自由な発言ができるようになると仕事に対してのストレスも無くなり、より楽しみながら仕事に向かい合えるようになりました。

正直なところ私のスキルは今も昔もたいしたことありませんが、勉強を怠らないで、クライアントにとって何が最善の結果をもたらすかを真剣に考えていけば、スキルがそこそこでもフリーランサーとして報われるようです。

おかげで今はアプリ制作に挑戦したり、やりたい仕事にも挑戦できますし、趣味でずいぶん好き勝手もできるようになりました。仕事自体は、ただこなすだけだった時よりも大変ですが、その分やりがいも報酬も大きくなりましたしね、充実したフリーランサー生活が送れています。

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