個人事業主の経営を支える会計ソフトとは
個人事業にも会計ソフトがあった方がいいの?
以前は一部不要だった記帳義務と保存義務ですが、2014年分の確定申告から事業所得を得ている全ての方が記帳義務と保存義務を負うことになりました。
そのため個人事業の資金フロー確認など自分用の資料としてではなく、収入金額や経費に関してをきちんと帳簿へ記録しなければならなくなりました。ちなみに法定帳簿の保存期間は7年となっています。
表計算ソフトなど既にパソコンに入っているソフトで代用して記帳を行っている方もいると思いますが、会計ソフトは当然ながら会計用にインターフェイスも整えられていますから、確定申告を考えると会計ソフトを使う方が業務的にも楽になるでしょう。
クラウド会計ソフトを使う個人事業主が急増中?!
パソコンにインストールするタイプの会計ソフトは有名なものもあるので、選ぶのにもさほど苦労しないかもしれません。しかしそういった会計ソフトはアップデートやWindowsからMacへと移る時などにソフトを再購入しなければならないケースもあり、余計な出費を招く可能性が否めません。
そこでオススメなのが、最近利用者が急増しているクラウド会計ソフトです。クラウドソフトはWEB上で稼動するためインターネット環境が必須となりますが、OSも問わずスマートフォンからでも会計業務を行なうことができます。
またクラウドサービスなのでソフトの買い換えやバージョンアップは不要で、常に最新状態のソフトを利用することができるのです。
個人事業の経理業務はクラウド会計ソフトがあればOK?!
クラウド会計ソフトは帳簿作成だけでなく、銀行の入出金情報を自動取得する機能や請求書・見積書の作成機能、ECサイトとの連携による売上データ取得など、経理業務に必要な機能が盛りだくさん。
個人事業主の業務時間を長引かせていた手間のかかる経理業務も、クラウド会計ソフトに集約されています。しかも無料で使えるものも多数あって、無駄な経費をかけたくない個人事業主にぴったりです。
ただし、無料クラウド会計ソフトの場合はデータをクラウド上に保存できる期間が短い場合があり、法定帳簿の保存期間である7年間データを保存するのであれば、データを適宜ダウンロード又はプリントアウトするか有料版を契約する必要があるので要注意です。
もちろん完全無料で利用できるクラウドサービスもありますが、月間仕訳件数や利用できる機能が少なくなるので、自分の行ないたい内容に合わせて最適なクラウドサービスを選ぶようにしましょう。
会計ソフトが個人事業主の経営的発想も支える
個人事業主の場合、当然自分主体で事業を営んでいるため、内部管理的な会計がおろそかになることもあるかと思います。その結果、決算の際にタイトなキャッシュフローになっていても、帳簿上は利益が出ている……なんてこともあるようです。
会計・経理業務の経験がなくても、前述のクラウド会計ソフトなどを利用して事業の収支をこまめに管理するようになれば、経費計上漏れや仕入れ・売上の金額も把握でき、詳細を確認しながら今後の事業計画を考えることができるようになります。
個人事業においては、今後の事業計画を練ることが非常に重要だと思います。目先の仕事も非常に重要ですが、長く事業を継続させるためには経営的観点から事業状態を分析し、自身の事業の損益状況を理解しながら長期的な計画を構築していく必要があります。
会計から考える、個人事業と法人化
個人事業主か法人か、悩まれた方も多いのではないでしょうか? 社会的信用は法人化した方が高いかもしれませんが、法人化するためには相応の費用も掛かりますし、果たしてどちらがいいのでしょうか。
絶対にこれがいい! といった答えは難しい問題ですが、会計ソフトでわかる内容の一つで、両者に大きな差があります。それは接待交際費です。法人の場合は接待交際費の上限が360万円であるのに対し、個人事業主は制限ありません。
かなりの収入があるようであれば法人化による節税メリットの方が大きいかもしれませんが、そこまでの収入がない場合は個人事業主の方が納税額は少なく済みますし、接待交際費を経費として計上できるのでメリットは大きくなります。
会計ソフトをせっかく使うのであれば帳簿作成だけに止めるのはもったいないと思います。データをいろんな角度から考察して、活用していくようにしたいですね。