「フリーランスの結婚」その先にある変化とは?

フリーランスで結婚。しなくちゃいけないコトは何?
誰でも結婚したら変わる「モノ・コト」がいくつかあります。まず結婚したらほとんどの人が新居に移ると思いますが、そうなると居住地が変わります。そして居住地が変わることでフリーランスに影響があるのが確定申告です。
確定申告を引っ越し前の所轄税務署に提出するのか、それとも新居のある所轄税務署に提出するのか悩む人が多いようです。
一番多いと思われる国内で引っ越しするケースで調べてみたところ、確定申告は引っ越し後の所轄税務署に提出したらよいということがわかりました。その際、引越し前と引越し後の両方の所轄税務署に「納税地の異動に関する届出書」を提出します。
提出期限は決まっていませんが、変更処理が完了するのは届け日以降になるので、逆算して直近の確定申告までに変更が間に合うよう提出しましょう。また海外へ引っ越す場合はするべきことが変わってくるので所轄税務署に相談してくださいね。
結婚したら苗字が変わる! 事業者名はどうすればいいの?
結婚して入籍すれば苗字も変わります。これは相手がサラリーマン(給与所得者)であろうと、相手や自分がフリーランスであろうと変わりはありませんが、相手もしくは自分がフリーランスの場合は、確定申告への影響が心配されます。
まず開業届の事業者名変更が必要かどうかということがポイントになります。調べたところ、事業者名は旧姓を継続して使用することができるようです。もちろん、申請して事業者名を変えることも可能です。
注意が必要なのは、確定申告の際に還付金が振り込まれる口座の名義と事業者名(申告者の氏名)がちゃんと統一されているかということ。違っていると還付金の振り込みができないので、確定申告の際には必ずチェックするようにしましょう。
結婚相手はフリーランス or サラリーマン? その違いの本質は何?
さていよいよ本題です。夫がフリーランスかサラリーマン(給与所得者)かによって、最も注目すべき違いは何か? それは年金や健康保険など「社会保険」がどうなるかということ。
夫の扶養にしてもらえるか、妻が自分で負担するかによって、家庭のお財布状況はかなり変わってきます。夫がサラリーマンの場合、妻が夫の扶養に入ると年金や健康保険の保険料を妻自身は支払わなくても加入できます。
一方フリーランスの場合、国民年金や国民健康保険の支払いは夫婦2人分を支払わなくてはいけません。フリーランスが加入する国民年金の一人当たりの保険料は月額15,590円(平成27年度)。
2人分となると若いフリーランスにはかなり負担になるでしょう。ただし夫がサラリーマンの場合でも、扶養にしてもらえるかどうかは夫の会社次第という側面もあります。
妻が自営業(フリーランス)とみなされると所得に関わらず扶養に認定されなかったり、扶養手当(家族手当)も妻の収入が高すぎると認められないこともあるので、個別に会社で確認するようにしましょう。
結婚相手がフリーランスの場合、心配なのは老後の備え
夫がフリーランスの場合、現在進行形の生活費だけではなく老後についてもより慎重に考える必要があります。サラリーマン(給与所得者)は老齢基礎年金に「厚生年金」、公務員は「共済年金」が上乗せされる「二階建て構造」になっていますが、国民年金はいわゆる「一階建て」。
ここで将来の年金額に大きな差が生まれます。もちろん、フリーランスが利用できる公的制度もあります。国民年金にプラスして年金を増やす「付加年金」や「国民年金基金」、「確定拠出年金」や「小規模企業共済」といった公的制度がそれに当たります。どれも確定申告で全額所得控除されるので有効に活用するとよいでしょう。
効果は絶大! 結婚相手を青色事業者専従者にする裏技
老後についてちょっぴり不安になってしまったフリーランスの皆さん、ご安心ください。もう一つ既婚のフリーランスにとって節税効果の期待できるテクニックがあります。
それは青色申告の「専従者給与」です。手続きはとっても簡単。確定申告を青色申告で行なっていれば、「青色事業専従者給与に関する届出書」という書類を納税地の税務署へ提出すれば手続きは完了します。
提出期限は、専従者(家族)に給与を支払う年の3月15日までと。例外もあるので詳しくは国税庁ホームページでご確認くださいね。届出書は国税庁のホームページからダウンロードできます。
青色事業専従者になるには「原則として6ヶ月以上、青色申告者の事業に専念していること」という条件があります。「専従」という言葉通り、他で仕事をしている場合は認められません。
また、配偶者が青色事業専従者になると「配偶者控除」の対象にはならないのでご注意ください。