退社した日から止まったままの時計 | 新しい働き方との出会いが、言葉を紡ぐ喜びを与えた

退社した日から止まったままの時計 | 新しい働き方との出会いが、言葉を紡ぐ喜びを与えた
働きすぎによる過労で体調を崩し、退職。以後5年の闘病生活の末、社会との関わりは希薄に。現在、フリーライターとして活動するvicky さんは過去に苦しい時期を過ごしていました。今や畑作業や趣味のヨットなどライフワークバランスを保ちながら、仕事に取り組む彼女。vicky さんの過去の苦労、リスタートのきっかけ、今の生活に迫ります。
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憧れのファッションの世界へ、社会人としての第一歩

大学を卒業したのはちょうどバブルがはじけた後でした。前年までとは違い、一気に就職氷河期に突入した頃です。それでも就職活動を地道に行ない、何とか憧れであったファッション業界に社会人としての1歩を踏み出す事ができました。

ファッション業界は表の華やかさとは裏腹に泥臭く、連日夜遅くまでの仕事、時期によっては徹夜が何日も続く日々。それでも若い私は体力に自信がありました。加えて、ファッションが好きだったこともあり、約20年間、アパレル業界に携わり続けてきました。

あるときやってきた突然の体調の変化

変化が起きたのは30代中頃。健康診断で再検査が必要だと診断されたのです。しかし仕事に忙しく、病院に行く時間すら惜しかったため、診断結果を無視して仕事を続けました。

結果、起き上がることも夜眠ることも出来なくなり、最終的に仕事を辞めざるを得なくなったのです。約5年間、闘病生活を送る事を余儀なくされました。学生のころから趣味で続けていたヨットも苦痛に。それどころか、海に足を運ぶこともつらくなりました。

次第に社会と関わりをもつことが減り、引きこもりのような毎日を過ごしていました。その頃の私は、これから先の未来を考えることも出来ず、友人に相談することも、それどころか人に自分を知られたくないという思いが強かったのです。

何よりも自分自身で、そんな状態にあることを認めたくなかったのかもしれません。病院と心理療法カウンセリングに通う以外は、じっと家にいる、そんな毎日が続きました。

少しずつ心に変化が……。大学の履修プログラムとの出会い

女友達

1~2年くらい前からでしょうか。心に変化が生じて来ました。このまま何もせずにいてはいけない。何かを始めたい。そう思うようになってきたのです。

そんな時、偶然知ったのがある大学のプログラムでした。出産や子育てで仕事を辞めざるを得なかった女性を対象に「学部以上大学院未満」というコンセプトでマーケティングや金融、財務、ITリテラシー、ビジネス英語や行動心理学まで幅広い内容の授業を展開。

社会で活躍している女性実業家の講義を聴く機会もあるというものでした。私は結婚や出産でドロップアウトしたわけではありませんでしたが、プログラムの案内を見て「今の私に必要なのはこれだ!」と強く感じたのです。

事情を正直にお話しし、面接を経てプログラムを履修することが決まりました。簡単なことと思われるかもしれませんが、ずっと外との関係を絶っていた私にとってはコンタクトを取ることも、応募することもとても勇気のいることでした。

止まっていた時計が動き出し、再び社会へ

プログラムを履修した選択は大正解でした。授業では自分の過去と向かい合い、これからの自分のビジョンを作り、発表する機会が多く、過去を振り返ることにとても抵抗のあった私は最初の授業の途中で泣きながら教室を飛び出してしまったこともありました。

そんな私をクラスのみんなは、ちょうど良い距離感で見守ってくれ、そして理解してくれました。自分の弱さを見せて相談できる人達が初めて出来たのです。勇気を出して本当に良かったと、今でもそう思っています。

すばらしい先生方、スタッフの皆さん、そしてこんな私を受け入れてくれたかけがえのないクラスメイト達との出会いは私の宝物となりました。

ランサーズとの出会い、フリーライターとしてのリスタートを切る

畑作業をする女性

大学のプログラムで出会った、ライティングやディレクターの仕事をしている友人からの「あなたは筆力があるし、ものを書く仕事に向いてると思う」という言葉。恐らく私の背中を押すためのリップサービスだったのでしょう。

それでも未来を模索していた私は、その言葉を少しだけ真に受けることにしました。毎日同じ時間に会社に出勤し、長時間続けて働く、というスタイルは体力的にも精神的にも無理だったからです。

治療を続けながら出来る仕事。自分が楽しいと思いながら出来る仕事。そう考えてみると「私って書くこと嫌いじゃないな」と思いました。そして、すがるような思いで、ネット検索で辿り着いたのがランサーズでした。

ランサーズには沢山のライターさんが登録されています。お分かりかと思いますが、ライターになるには何の資格もいりません。ただ、この人に書いてもらいたいとクライアントの方々に思って頂かないと、当然、仕事はないのです。

そこで、まずプロフィールを書くことに力を入れました。ランサーズはサイト上でメッセージのやりとりをしてお仕事をさせて頂くわけですから、パーソナリティーを知って頂くためのプロフィールはとても重要だと考えました。

そしてプロジェクトを中心に自分に合っていると思える、自分も興味を持って取り組める内容のご依頼を中心に提案をさせていただくようになりました。今では継続的にご依頼いただけるクライアント様や、プロフィールを見てコンタクトを取って下さる方も増えてきました。あまり詰め込みすぎて負担に感じては良い仕事はできないと思い、今は様子を見ながら少しずつ仕事を増やしていっています。

ランサーズと共に、これからのライフスタイル

今はまだ生活していけるほどの収入ではありません。それでもランサーズ上でやりとりをさせて頂いている中で、価値観を共有できるクライアント様と出会えたことは、とても幸せな事だと感じています。

クライアント様によっても求めるものが違いますから、教えて頂くことも多いですし、満足して頂ける記事を書けるよう日々が修行です。これはライターという稼業をしている以上、誰もが感じている事ではないでしょうか?

ライティングスキルを向上させるために、セミナーに行って面白い人達に出会ったり、勢いで作家さんを訪ねてインタビューをさせて頂いたり、試行錯誤しながらスキルアップを図る日々を過ごしています。初めてインタビューに伺う時はドキドキして、アポイントを取る際にも色々とダメ出しを受けることもありました。

それも成長していくためには必要なプロセスだと考えています。いろんな方々の想いを引き出し、生きた言葉を紡ぐ、というのは難しくもあり、だからこそ伝えていく技術を身につけなくてはならない。そう感じています。

今は体調と相談しながら自分に合ったペースで少しずつ仕事をして経験を積み、プライベートも楽しむというスタイルを作っているところです。仕事の合間に時間を作って、たまには畑に行って土と戯れ、以前は行けなかったヨットにも週末に足を運んでいます。

写真の撮り方、仕事の作り方、等の興味がある講座に参加したり、インタビューに伺ったりと、スケジュールを調整しています。一人一人が自分に合ったライフスタイルでお仕事が出来る点がランサーズの魅力だと思います。

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