確定申告で65万円の控除を受ける! 青色申告は大きな節税対策

確定申告で65万円の控除を受ける! 青色申告は大きな節税対策
フリーランスが避けては通れない毎年の確定申告。面倒そうだからとざっくり白色申告で済ませていませんか? 青色申告には、所得の65万円控除など個人事業主にメリットいっぱい。いつかは……とお考えならそろそろ始めてみませんか。
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いまさら聞けない確定申告! 所得控除65万円をめざして

会社勤めをしていたとき、税金といえば給与から天引き(源泉徴収)されるものでした。年末には渡された用紙に書き込むだけで正確な税額を計算してくれ、過不足の調整まで会社が代行してくれました。

いわゆる「年末調整」ですね。しかし個人事業主として独立すると、仕事のかたわら経理をこなし、年に一度は決算処理を行ない、書類をもって確定申告に行かなければなりません。

混みあう申告会場に行き、ややこしい所得税を計算するのですから時間も手間もかかりますし、慣れるまでは一苦労です。代わりに申告で使える特典は、もらさず堂々と活用していきましょう。

確定申告の一番のメリットといえばやはり青色申告の65万円控除。ちょっとがんばって開業届を提出し、複式簿記をつけ、決算書を作成すれば、課税所得から65万円を差し引いてくれます。

最も低い税率 5%でも32,500円、税率20%の場合なら13万円も節税できることになるのです。どうです? さっそく青色に切り替えたくなってきませんか?

確定申告についておさらいしてみます

そもそも確定申告は何のために行なうのでしょうか。確定申告とは、昨年の事業の収支、扶養家族の状況、支払った保険料等から1年分の所得を計算し、個人の所得税を確定するための手続きです。

申告書の2枚目は住民税用になっており、所得税の確定申告を行なえば、市区町村の様式による住民税や個人事業税の申告書をあらためて提出する必要はありません。

つまり確定申告書の金額が、諸々の税金算出のベースとなっているのです。確定申告用紙にはA様式、B様式の2種類あります。フリーランスは事業所得のためB様式を使います。

B様式は第1表、第2表からなり、第2表から記入していきます。所得控除や税額控除を受けるにはそれぞれ証明書類を添付しましょう。

その年に支払った保険料(国民健康保険料、国民年金掛金、生命保険料、地震保険料など)の控除証明書や、医療費控除を受ける場合は医療機関の領収書、住宅借入金等特別控除を受ける場合は専用の計算明細書など、必要な書類は秋ごろから順次送られてきます。申告までに整理しておきましょう。

帳簿をつけるとイイことが! 得する確定申告のしかた

確定申告には白色申告と青色申告があります。白色申告では、家計簿のような簡単な帳簿をつけ収支内訳書(損益計算書)を作成します。所得の控除はありません。

青色申告には2通りあり、帳簿のつけ方によって課税所得の控除額が変わりますが、いずれも複式簿記による帳簿の作成が必要となります。簡易簿記の場合は10万円控除、複式簿記で損益計算書・貸借対照表まで作成できれば課税所得から最大65万円を控除することができます。

所得控除のよい点は「経費を使わずに」課税所得が減らせること。それにともない所得税も少なくなるというオイシイ特典なのです(次項で詳しくお伝えします)。

複式簿記の作成にはちょっと知識が必要ですが、実務を繰り返すうちに覚えられるので心配しなくて大丈夫。また控除の額にかかわらず帳簿つけの手間はそれほど変わりません。

今ではインターネット上で使える便利なクラウド会計システムも充実しているので、決算時の棚卸や減価償却の計算もラクラク。

青色にはほかにも専従者給与の全額控除や純損失の繰越控除などおトクな特典がいくつかあるので、せっかくなら大きなメリットのある青色申告にトライしてみては?

「青色申告で65万円控除」ってどういう意味?

売上金額から売上原価、経費等を差し引いた残りを「課税所得」といいます。この所得金額に応じた税率をかけたものが所得税です。

所得税は累進課税制であり、所得が多くなるほど税率も上がるシステムになっています。年間課税所得額が195万円未満のとき、税率は最も低くて5%。年間4,000万円以上の場合ですと最高税率45%! となっています(平成27年度分)。

青色申告の代表的な特典である「最高65万円の特別控除」の意味は、この課税所得から最後に65万円を差し引けるということ。これは経費が65万円増えるのと同じです。

経費が65万円多くなって課税所得が少なくなると、かかる所得税も少なめに計算されるので節税になります。しかし実際に経費を増やそうとするとけっこう大変。65万円経費を増やすには、当然ですが65万円分のお金がかかります。

たとえ所得税を減らせても大切な利益が減ってしまっては意味がありませんよね。その点、所得控除はお金を使わずに課税所得を減らすことができるので、仕入の少ないフリーランサーや事業規模の小さな個人事業主にとってはとても貴重なシステムなのです。これを活用しない手はありませんよ。

青色申告への第一歩、まずは申請書を提出すべし!

青色申告をするには、事前に決められた書類を提出する必要があります。まずフリーランスになったら1ヶ月以内に「開業届」を提出します。

そして、青色申告をしようとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」(国税庁ホームページからダウンロードできます)を税務署へ提出しましょう。(その年の1月16日以後に新たに事業を開始した人は、事業開始の日から2ヶ月以内)。

たとえば、平成28年分から青色申告したい場合は、平成28年3月15日までに青色申告承認申請書を提出する必要があります。期日を過ぎて提出すると白色申告となり、青色申告できるのは翌年の平成29年分からとなってしまいますので気をつけましょう。

国税庁のホームページで正確な提出期限の確認ができますよ。これから仕事を始める新人フリーランサーなら、開業届を提出するときは、ぜひ「所得税の青色申告承認申請書」も一緒に提出しましょう。

またすでに仕事を始めているが、昨年まで白色申告してきたというフリーランサーの皆さん(私もです)、今からでも青色申告承認申請書を提出することはできます。

もし複式帳簿で挫折してもこれまでと同じ白色申告すれば済むので、とりあえず申請書だけでも出しておいてはいかがでしょうか?

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