フリーランスの案件えらび|好条件を引き出す技

フリーランスの案件えらび|好条件を引き出す技
案件を引き受けるも断るも自分次第。そんなフリーランスの特権を実感できるのは、ある程度、収入が波に乗ってから 。でも、収入が波に乗ったとしても「断るべきかどうか」悩む案件は沢山あるでしょう。人それぞれに違って良いのがフリーランスの報酬基準。自分のブランド力を上げつつも、納得できる報酬を手にするには、それなりの交渉術も必要なのです。
LANCER SCORE
0

「フリーランスは独立した事業主」という立ち位置を持って

交渉するに値しない条件の悪い案件はさて置き、あと少しの値段交渉、あと少しの条件交渉でなら引き受けられる場合や、逆に、例え報酬が少なかろうと自分の名前を世に出すチャンスがある「ビッグプロジェクト」は何が何でも引き受けたい!

そういった判断ができるのはフリーランスだからこそです。とはいえ、基本ベースの報酬額を持っておかないと公平性に欠け、信頼性も損なうため「ベースとなる基準額」を設定しなければいけません。

「フリーランス = 個人で協力してくれる人」だと思われないためにも必要な設定でもあるのです。特に私のような音楽家や芸術家などは、「俺だって趣味で楽器やってるけど、それで30分数万円になるなら仕事にしようかな~(笑)」という爆弾発言をクライアントから投下されることも実際にはあります。

「フリーランス = 会社じゃないから気軽に色々頼める人」というイメージを持つクライアントに万一出会ってしまった場合、「人対人」だからこそ得られるメリットを感じられる交渉を心がけると、後々まで「あの人にお願いすれば間違いない」という関係にまで持って行けるはずです。

案件の報酬額を何に換算して基準額を設定するのか

あくまで「ネームバリュー」が無い一般フリーランサーの場合のお話。タスク、文字数、ページ数など、作業の単価がハッキリ計算できるものと、作業に対する労力を時間や日給として換算できるものと、「能力」という「目に見えない」ものに報酬を払う場合とがあります。

例えばデザイナーの場合、デザインなどの作品を仕上げるまでには、何度も打ち合わせが必要なことは当然あり、試作品として作る作業時間や経費も当然発生します。

「俺だって趣味でやってるけど……」という一言を言わせないためにも 、作品であれば、打ち合わせ日数、作成にかかる実質経費、製作時間諸々、細かに見積もりを出し「ここの部分を少し削れば、もうすこし予算は抑えられますよ」など交渉することがお勧めです。

フリーランサーは会社員ではないので、資材1つとっても経費となります。情報集めやネタ集めのために取材経費が必要な場合もあります。仕上がった後の修正やメンテナンスが発生する職種もあるでしょう。

初めての取引先で、全く異業種のクライアントであれば、特に初回の見積もりでは、基準額に含まれている詳細を明記すると良いでしょう。

フリーランスであろうと消費税は請求したい

消費税は「1,000万円を超える売り上げがあったら」 翌々年から納税義務が発生します。ということは、1,000万円以下なら消費税をクライアントに請求するのもダメなのかといったらそれは間違いです。

上記は国に消費税を納める側の話であって、収入自体は例え赤字であろうと堂々と消費税を乗せてクライアントに請求するべき。仕事で使う計器、交通費、消耗品、通信費、生活全般に至るまで、どんな人であろうと消費税を払っています。

ということは当然、経費は定価よりもかさんでいるのですから。ただ、正直「フリーランスなのに消費税とる?」と思われることもあります。でも、ひるまずに堂々と請求するべきです。

職種によっては「全て込みでの金額で見積もりをください」と簡素化を希望される場合もあるので、その場合は、経費含めて消費税も加算して、納得できる金額を提示すればよいと思います。

値切ってくる案件に対する対処法

機材や場所などをレンタルする場合には、セールも値切りもできないものだと理解してもらいやすいのですが、商品が人やしかもフリーランスだった場合、「相手は人だ。相手は個人的に活動している人だ。交渉次第で安くお願いできるのではないか」と思われてしまうのでしょう。

勿論、会社を通してのお付き合いよりも密接になれる可能性が高い「フリーランス」の特権を活かした付き合いに発展できることが望ましいし、仕事は「人 対 人」の繋がりで回っていくようなものなので、フレキシブルに対応できる方が好まれます。

頭ごなしに「納品までにどれだけの労力がかかると思いますか?」「フリーランスは社会保障もないんだから、単価が高くて当たり前ですよ!」など理論を並べるのは絶対に避けるべきです。

私は最初の交渉段階で、こちらからもいくつか条件を提示します。例えば「その予算であれば、素材はランクを1つ落としましょうか?」「文字数を減らしましょうか」などを投げかければ、「じゃあ、もう少し豪華にしたいから」と、予算の引き上げも可能になることも。

値切られても痛手とならない条件で仕事ができるだけでなく、目に見えない報酬があることを理解してもらえ、以後の交渉も泣けるほどの値切りを回避できます。

フリーランスの心が折れる、今となっては笑い話の案件ベスト3

「ほんと予算が無くて~。音響機材と派遣バイトの人件費は値切れないでしょう? だからキャスト達のギャラを削りたくて……」こんな相談をされて、「キャストも人ですし……」と気持ちが萎えそうになったことは数え切れません。

「会場のピアノ1台 > バイト1名 > キャスト」、という提示額でした。思わず「CDお買い上げいただき 、BGMとして流したらいかがでしょう? 」と口から出そうになりました。一体、何が目的で生演奏を入れたかったのか?

そして、なぜプロの演奏家に頼もうとしたのか。このクライアントの場合は“ クオリティーを求めた結果、プロにお願いした”というわけでは無いなと判断するしかなく、「では当方の選りすぐりの生徒をご紹介します」という形で仕事を引き受けました。

他にも、海外で起こった震災に対しての自粛という理由で、3日後に控えていた演奏をキャンセルされたこともあります。演奏会場は日本ですし、その国とは縁もゆかりもない企業のパーティーでした。

この場合は基準のキャンセル料を請求するべきですが「天災という非常時にキャンセル料が発生するのですか?」とのお返事をいただいてしまいました。当然ですが、先方に血も涙もないと思われようがキャンセル料はいただきました。

職種が特殊であるほど、価格の意味合いが解っていないクライアントに出会う率は高いです。本音を言えば、しっかりと説明してご理解いただきたいところですが、その労力をかけてでもお付き合い願いたいクライアントでなければ、その必要性は無いと判断して良いと思います。

その労力を他に向けるべきですし、フリーランスだからこそ、自分の一存で相手を選ぶこともできるのです。

RECOMMEND
関連記事