ライターの写真撮影は、ラーメンで上手くいく!?

ライターの写真撮影は、ラーメンで上手くいく!?
ライターとして取材にうかがった際、写真撮影まで手掛けるケースが増えてきました。簡単なインタビューカットを撮ることができたら、仕事の幅が広がりそう。でもどうやって撮るの? そんなライターさんの悩みに答えるべく、プロのフォトグラファーに聞いてみました。ライター必見、使用に耐えられる写真撮影術。
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プロカメラマンに訊く、ライターが写真を撮るときのコツ

今日もどこかで、Webメディアが立ち上がる。企業がいわゆるオウンドメディアを持つことも、未だに増え続けている。メディアの数に比例して、フリーライターの仕事も増加中。

取材と同時に、見栄えの良い写真を撮影できれば、更に重宝される。でもライターは書くことが専門。話を引き出すことはできても、写真を撮るのはちょっと……。

そんなライターに向けて、プロフォトグラファーに聞いた、写真撮影のコツをご紹介します。話を伺ったのは、主にスクールフォトを撮影するカメラマンの宮下敬一郎さんです。

自由気ままに動きまわる子供たちの写真を撮り続け、時には大人のインタビュー撮影も手掛けるプロカメラマンに聞く、使用に耐える写真撮影のポイントです。

撮影するタイミングを考える

宮下さんインタビュー

―撮影に関してはド素人な我々ライターですが、クライアントからインタビュー中の写真を求められることがあります。どうやったら、それなりの写真になりますか?

写真を撮る相手が、撮影に慣れていらっしゃらないという前提でお話ししますね。細かいことを言い出したらキリがないのですが、Webに掲載するインタビューカットに使えるレベルとして。

ポイントのひとつは、撮影するタイミングですね。復数で取材をしていたら、手の空いている人がカメラを構えるかと思います。

でも、やっぱりメインはインタビュー、お話をしていただくことですから、集中して話をできる環境が大事です。インタビューしている最中には、撮影をしません。

必要な話を聞き出せた後に、インタビューを受けている体で撮影させてもらいます。できたら、インタビューアーと雑談をしてもらうのが良いでしょう。

私がネタとして使うのは、その土地や最寄りのグルメについて。美味しい食べ物、特にラーメンの話をすることが多いです。ラーメンが嫌いな人っていないじゃないですか(?)。

美味しい物の話をしていれば、自然と表情が柔らかくなります。求める写真が、例えば財界人や政治家を被写体とした、キリっとした表情じゃないのであれば、大抵は笑顔が欲しいですよね。

身振り手振りを入れてもらうように依頼する

ポイントのふたつ目として、身振り手振りを入れてもらう。手は必ずテーブルの上に出してもらい、躍動感というほどではありませんが、動きのある画になるようお願いします。

ここはもう、正直にお伝えして良いんじゃないでしょうか。身振り手振りが欲しいです、と。私は最初に言ってしまいますね。そのほうが撮影が早く終わります、って。

そうすると協力してもらいやすいですよ。やっぱ相手もお忙しいですし、写真を撮られるのが苦手であれば、少しでも早く終わらせたいでしょうし。

あとは、やっぱり食べ物の話ですね。

「そのお店、どっちにあるんですか?」「あっちのほうです」って具合に、自然と動きが出てきますから。美味しい食べ物の話ならなんでも良いのですが、私はラーメン推しです。

とにかく、身振りが出るような質問を投げかけるとうまくいきますよ。

カメラの設定はオート、あまり枚数を撮らない

宮下さん写真チェック

―ライターが一人で伺って、撮影までしなくちゃいけない場合はどうですか? 実際、けっこう多いんですよね。

難しいですけど、物を置いたりしますね。観葉植物があれば、そちらと会話してもらう。実際には私と話をしていただくのですが、あくまで目線は向こう。「話している時の目線はここで、でも僕と会話をしてください」と伝えるようにする。

美味しい食べ物の話が多いですが、お子さんがいらっしゃるのなら子供の話もしています。私の場合は幼稚園や保育園で撮影をしているので、その話をすると盛り上がるんです。動きまわるお子さんを上手に撮影するコツとか。お子さんがいらっしゃるのなら、自然と笑顔が増えますよ。

そういう話のネタは、できるだけインタビューの前に、名刺交換をしたときにでも集めておきたいですね。もしくはインタビュー中でプライベートな話になったら、覚えておいて掘り下げる。

―カメラの設定はどういう状態がオススメですか?

最近のカメラであれば、基本的にオートで良いのではないでしょうか。マニュアルで撮影して失敗すると、撮り直しがきかないですから。私もけっこう、オートで撮影していますよ。

撮った後からでも調整は効きますからね。Webで使うとか、印刷でもA4程度の大きさなら、かなり大きく調整しても大丈夫です。

ただし、枚数はあまり増やさないようにしています。撮られる方が疲れちゃいますから、ファインダーを覗いてチャンスをうかがう。喋りながらでも、相手の表情や動きに集中しましょう。

手を動かしたとか、笑顔になったとか、下を向いていたけど顔を上げたとか。なるべく少ないシャッター数で、自然な表情や動きの瞬間を抑えていきたいですね。

オススメはラーメンの話をしているときです。表情が和らいだり、自然な動きが出てきますので。

復数の角度、縦位置、横位置を扇状に

宮下さん撮影中
―背景とかはどこまで工夫したら良いのでしょうか? 移動をしてもらうとか、物をどかすとか。

雑然としていなければOKだと思います。観葉植物があればバックにうっすら入るように。会社やインタビュー内容と関係するものがあれば、背景に入れたりしますね、後ろをボカして。撮影モードを絞り優先にして、F値を低めにするだけです。

邪魔なものがあれば、どかすというのも手ですが、基本は構図でカバーしますね。あまり先方に迷惑をかけない範囲で調整しています。最低限の手間、なるべく短時間で終わらせられるように工夫するといいでしょう。

構図といえば、男性は下から、女性は上からというカットは抑えておくと便利です。

下から煽り目で撮影すると、少し威厳が出ます。あまり偉そうになるようだったら使わない。逆に上から撮影すると、可愛らしく見えるんです。年齢に関係なく、女性は上からのショットを抑えると良いかと思います。

あとは復数のパターンですね。正面から、斜め右から、斜め左から。真横のカットも左右あれば使えるかもしれません。それぞれ、縦と横のカットを撮影してしまう。

カメラマンが動く

ポイントとしては、カメラマンの動きがバタバタしないことです。みっともないですし、相手が緊張しますので。一箇所から復数の角度と縦・横を撮って、斜めの撮影に移動する。撮影する人が扇型に動いていくイメージです。

注意点は、慌てない・焦らない・バタバタしない。インタビュー中に撮影をする場合、集中できない環境をつくるのが一番良くないですし、物を倒したりしたら、みんなに迷惑をかけますからね。

インタビュー後に撮影の時間をもらう場合は、恐らく、10分程度と短い時間でしょう。であれば手短に終わらせることが、相手にとっての気遣いだと思います。

慌てない焦らない、復数の角度から縦・横、身振り手振りを入れる、自然な表情を引き出すためにラーメンの話をする。これらを意識すれば、使える写真になると思いますよ。

―ありがとうございました。機材はみんなそれなりの物を持っていますので、ちょっとした意識と工夫で、使用に耐えられる程度の写真になりうそうですね。

(おわり)

もっと上手に撮影したいという人は、宮下さんがカメラマンになった理由、子供を撮影するときのポイントなどを紹介するインタビュー記事をチェックしてみてください。
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