個人事業主と節税~青色申告のメリット~

個人事業主と節税~青色申告のメリット~
個人事業主になると、当然、確定申告も自分で行なわなければなりません。少しでも節税したいと思うのであれば、ぜひ青色申告に挑戦してみましょう。青色申告をすることで個人事業主が得られる節税効果にはどんなものがあるのか、具体的にご紹介します。
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そもそも白色申告と青色申告はどう違うの?

年間所得が20万円を越えたら、確定申告をしなければなりません。その基本的な申告方法が「白色申告」。白色申告には特に条件はありません。

これに対し、事業所得、不動産所得、山林所得がある場合、「青色申告」を行なうことが可能です。青色申告の承認は、開業から2か月以内に、税務署へ「青色申告承認申請書」を提出するだけなので、難しい作業ではありません。

一般的には「白色申告は手続きが簡単で、青色申告はめんどくさい。青色の方がお得みたいだけど、所得が少なかったらたいして違わないんじゃない?」というイメージですが、平成26年から白色申告にも帳簿への記帳が義務づけられたので、手間の違いはほとんどなくなりました。

さらに、青色申告には特別控除など節税につながる幾つものメリットがあります。「めんどくさそう・・・」と敬遠する前に、そのメリットをちょっと確かめてみませんか?

青色申告の節税ポイントその1|最高65万円の特別控除!

青色申告には、「簡易簿記」で記帳する10万円控除と、「複式簿記」で記帳する65万円控除の2種類の特別控除があります。

「収入が少ないから、なるべく簡単にすませよう」という個人事業主も多いようですが、ちょっと待ってください。確定申告の形式によって、具体的にどのくらい所得税額が違うのでしょう。経費などを差し引いた課税所得が200万円のケースで比較してみましょう。

1、白色申告の場合…200万円×0.1-97,500円=102, 500円。
2、青色申告(10万円控除)の場合…200万円-10万円×0.1-97,500円=92,500円。
3、青色申告(65万円控除)の場合…200万円-65万円×0.1-97,500円=37,500円。

この3点の金額を比較すると、最高65, 000円も税額が違ってくるのです。帳簿のつけ方が面倒といっても、無料会計ソフトを使えばいいので、ここは青色申告のメリットをしっかり受けた方がよさそうですね。

※ 税額は、国税庁ホームページ掲載の「所得税の速算表」を元に計算しています。

青色申告の節税ポイントその2|赤字を3年間繰り越せる!

青色申告のメリットは特別控除だけではありません。「純損失の繰越控除」といって、赤字を3年間繰り越すことができるのです。何かと出費の多い開業したての個人事業主にとっては、大変気になる特典です。例えば、初年度300万円の赤字だった場合を見てみましょう。

・1年目…赤字なので所得税額は0円です。
・2年目…100万円の黒字だった場合、100万円-300万円(1年目の赤字)=-200万円
  となり、2年目の所得税額も0円になります。

・3年目…300万円の黒字だった場合、300万円-200万円(1年目の赤字の残り)=100万円
  となり、実際は300万円の所得がありますが、100万円分に対してのみ所得税がかけられます。

このように、赤字を繰り越すことで、支払う所得税額を0円もしくは大幅に減らすことができるのです。設備投資などで赤字になりやすい開業したばかりの個人事業主にとっては、大変助かる特典ですね。

純損失の繰越控除を受けるには、赤字が出た年から連続で青色申告をしていることが条件になります。

青色申告の節税ポイントその3|家賃や光熱費の一部も経費になる!

個人事業の場合、自宅と事務所を兼用で使っていることがよくあります。その場合、家賃などのように分けて支払えないものが出てきますが、青色申告の場合、仕事にかかる費用に関しては経費として計上することができます。

これらの費用を「家事関連費」といい、事業用と家庭用に分けることを「家事按分(かじあんぶん)」といいます。家事関連費には、家賃、水道光熱費、電話代、インターネット接続料などがあげられます。

例えば、家賃の場合は、使用している床面積の割合、電気代は、家中のコンセントの数と事業で使っているコンセントの数の割合、インターネット接続料は使用している時間や日数で按分します。

税務署に確認された時に答えられる客観的な根拠を明確にしておきましょう。これらの費用が経費に認められれば、課税対象の所得額を減らすことができるので、大きな節税効果が得られます。

個人事業主になったら青色申告で上手に節税しましょう!

個人事業主にとって、青色申告は節税の大きな味方です。白色申告と青色申告(10万円控除)にかかる手間がほとんど同じと思えば、メリットの大きい青色申告を選ばない理由はないでしょう。

もちろん、収入の大きい個人事業主には65万円控除をおすすめします。面倒な複式簿記も、無料の会計ソフトを使って毎日コツコツと入力していけば、できないことはありませんし、分からない事があれば税務署に電話をかけて聞いてしまいましょう。

特に名乗る必要もなく、担当者が丁寧に教えてくれるので安心です。ちょっとの面倒を敬遠するか、大きな節税を取るか。賢く判断してよりよい事業運営を目指しましょう。

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