今日から実践できる、映画批評記事作成5つのポイント

映画批評記事を書くコツは、読者を楽しませることを意識すること
ライティング案件の1種類として、映画批評記事がある。僕は映画が大好きで、毎日最低1本は観る。多いときは月に100本近く観ることもある。プロフィールにそのことを書いていたところ、最近では映画関連記事を受注することが少しずつ増えてきた。その中で培った、映画批評記事の書き方を紹介してみようと思う。
ターゲットは主に映画好きであることを考える
これは映画批評記事に限定したことではないが、記事を書く際にはその記事が誰をターゲットにしているかを考える必要がある。映画などの趣味に関することを書くならば、より一層よく考えるべきことだろう。
映画批評記事を読みに来るのは主に映画が好きな人であり、「その映画をまだ見たことがない人が、『どんな映画だろう?』と思って読む場合」「その映画をすでに観た人が、その映画についてより深く知りたいと思って読む場合」の2種類が考えられる。
そうでなくとも、少なくとも映画に興味がある人であることは間違いない。映画批評記事を書く際には、映画好きの人々をいかに楽しませるかを考えて書く必要がある。では、映画好きたちをどのような情報で楽しませるかだが、「出演者情報」「音楽情報」「裏話」「あらすじやみどころ」「その映画を観る際の注意点やポイント」について書くと良いと思う。
1. 出演者情報を紹介して楽しませる方法
まずは、映画の注目点や小ネタを紹介しよう。これによって、まだその映画を観たことがない人には興味を抱かせることができ、すでにその映画を観た人は映画に関してより深く知ることが出来て楽しい。
記載するものとしては、出演者情報や作中で利用された音楽の情報、そして裏話・小ネタなどがある。出演者情報は重要だ。まず、出演者のうち主要人物を演じる俳優にスポットを当ててみる。主演者がトム・クルーズやレオナルド・ディカプリオといった知らない人の方が少ない場合はそっと触れる程度でいい。
しかし、主演者の知名度がずば抜けて高くない場合には、その俳優がどのような人物であるかを書く。例えば『再開の街で』では、ドン・チードルとアダム・サンドラーが主演となっているが、ドン・チードルと言われてもピンとこない人もいるだろう。しかし、そこで『ホテル・ルワンダ』の主演の俳優だと書けば、「ああ、あの人か」と思う人も多い。知らない俳優が演じている映画よりも、知っている俳優が演じている映画のほうが興味は湧くものだから、このようにして主要人物を知ってもらうことは大切だ。
脇役にも目を光らせたい。少し古い映画を観てみると、今やスターとなった俳優が脇役を演じていることがあるからだ。映画の紹介の際に、そのような脇役がいれば是非触れてみると良い。興味を湧き立たせることが出来るだろう。例えば、『カラー・オブ・ハート』では、後に『ワイルド・スピード』シリーズでブレイクするポール・ウォーカーが脇役で出演している。しかも、ブレイク後からは考えられないような優等生役で出演している。脇役について書くことでも、より映画を引き立たせることができるのだ。
2. 音楽情報を紹介して楽しませる方法
映画には色々な音楽が使われる。多くの人が知っている最近の流行曲が使われることもあるが、それ以上に最近の若い人ならばあまり知らないような古き良き名曲が使われることも多い。映画を観ていると途中で使われている音楽が気になり、観終ってからネットで検索をした経験がある人もいるだろう。
そのような映画好きのために、作中で使われる音楽を解説してあげるのもいい。ただし、あくまでも映画批評であって音楽批評ではないので、深く突っ込みすぎないようにしたい。
例えば『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』では、出演者たちがフードトラックのなかでMarvin Gayeの『Sexual Healing』を歌っている。『わたしに会うまでの1600キロ』では、主人公が歩きながらよくSimon & Garfunkelの『El Condor Pasa』を歌っている。
『ラースと、その彼女』では、主人公が招かれたホームパーティでTalking Headsの『This must be the place』が流れている。このように色々な音楽が使われているので、もし鑑賞中に気づいたならばぜひ書くといい。
また、音楽そのものが映画の重要な要素となっている場合には、そこには必ず触れるべきだろう。例えば『ジャージー・ボーイズ』ならば映画が歌手Frankie Valliの話だから触れざるを得ないし、『八日目』では主人公が好きなオペラ歌手Luis Marianoに多少の文字数を割くのは重要であると思う。
3. 裏話や小ネタで楽しませる方法
映画によっては、裏話がある。よくある裏話なら、俳優が演技のために髪型を大幅に変更したり、体重を増減したりすることだ。有名な話では、『モンスター』で演じる役になりきるため、シャーリーズ・セロンは14キロの増量をし、眉毛を全部抜き、美しさをすべて拭い去った。そして、撮影後はダイエットに取り組んでわずか4週間で14キロの減量に成功した。
マシュー・マコノヒーにも『ダラス・バイヤーズ・クラブ』での主演の際に同じような逸話がある。このような裏話は、特に映画を観終って記事を読んだ人に対して、大きな親近感を抱かせることが出来る。
もちろん、上記のような出演者情報、音楽情報、裏話・小ネタ以外にも、映画を観ていて気づいたことでネタになりそうなものは色々盛り込んでいくと良い。例えば、コメディ映画には何等かの映画のパロディになっているシーンが含まれていることもあるので、それに気づいたら記載するといった塩梅だ。
4. あらすじとみどころを解説して楽しませる方法
次に、あらすじとみどころ解説して楽しませることができる。ただし、この辺に関してはクライアントによく確認する必要がある。映画記事とはいっても紹介の意味合いが強いならば、あらすじを解説するにしてもあまり深い解説は不要となり、ネタバレはNGになるからだ。
そのため、どのあたりまで解説すべきかは、クライアントとの打ち合わせによって決めていこう。みどころを解説するためには、その映画のテーマを汲み取る必要がある。テーマには家族愛、努力、苦悩、社会問題、病気、生死など色々な物がある。テーマを汲み取った上で、作品のどの部分でそのテーマが語られているかを解説するといい。ほぼ間違いなく、そこがその映画のみどころとなる。
注意したいのが、政治や社会問題を扱った映画の解説だ。このような意見の対立を生みやすいテーマを解説する時には、自分の思想や信条を含みすぎないように注意すべきだ。あくまでもその映画の伝えんとする思想・信条を解説するに留めよう。このほか、出演者が体を張ってアクションシーンに挑んでいるシーンなども、もちろんみどころとなる。
5. 映画を観る際の注意点やポイントを解説する方法
次に書きたいのが、映画を観る際の注意点やポイントだ。例えば、吹き替え版と字幕版のどちらがお勧めかということだ。吹き替え版の方が楽に観られて好きだという人は多いが、吹き替えが駄作の場合には注意点としてそれを書くと良いだろう。
特に、単に知名度が高いだけの人物が声優に抜擢されているようなものは要注意だ。例えば、『ウォンテッド』のDAIGOの吹き替え、『インクレディブル・ハルク』の水嶋ヒロの吹き替えなどは酷いもので、下手な吹き替えのインパクトが強すぎて映画の良さが分からなくなるほどだ。
映画の魅力が、字幕版に比べて激減している。ならば、まだその映画を観ていない読者のためにも「この映画は絶対に字幕版で見るべきです」と教えてあげるべきだろう。批評記事なのだから、悪いところは悪いと書いて問題ない。
ポイントについては、イヤホンの着用をおすすめするなどがそれにあたるだろう。ホラー映画には、部屋を暗くした状態でイヤホンを着用し、大音量で鑑賞した方が恐怖感が増す場合が多い。
また、『ワイルド・スピード』などのレースやカーチェイスを題材とした映画では、スピードを感じさせるために、カメラワークとともに音響効果を最大限に活かしている映画がある。これもまた、イヤホンを着用して大音量で鑑賞した方が、よりスピードを体感することが出来る。これも鑑賞の際のポイントとして教えてあげよう。
もちろん、鑑賞するうえでポイントになり得ると思ったものは盛り込むといい。例えば、何も考えずに見ることが出来るアクション映画やコメディ映画なら、お酒を飲みながら鑑賞するのにちょうどいいと伝える。お酒を飲みながらの映画鑑賞を趣味としているものの、お酒を飲むと思考が鈍るため理解力を要する映画は避けたいと思っている人にとって、これは有益な情報となる。
映画批評記事を書けるようになるために
映画が趣味だから映画に関する記事を書きたいと思うライターは、単なる趣味として観るだけではなく、映画を研究するという姿勢を持つべきだと思う。
映画を鑑賞した際には、観たらそれで終わりというのではなく、メモをする癖をつけると良いと思う。僕の場合は、観た映画の情報は全てエクセルにまとめるようにしている。
邦題、原題、自分の評価、映画のパッケージ写真、公開された年、ジャンル、監督、出演者、備考(裏話、小ネタなど)をまとめるようにしている。そして、ときどきそれを見返して、映画の内容を反芻する。
僕は記憶力に障害があるから、こういったことを特に重視している。そのためには、映画を観終ったあとには、ウィキペディアなどで映画情報を収集し、情報をまとめていく。よく知らない俳優が出演していた場合には、俳優の情報も読むようにする。
そうすると、裏話や小ネタなども効率よく集めることができ、映画に関する知識は豊富になっていく。一見面倒くさい作業だが、趣味を仕事にするためには、その趣味に対する深い知識が求められる。知識を深めるためには、自分に最も合う方法によって親しんでいく必要があるのだ。これは映画に限ったことではなく、趣味を仕事にしたい人すべてに当てはまることであると思う。