知っておきたいフリーランスの必要経費

知っておきたいフリーランスの必要経費
フリーランスになった途端、突然発生する会計業務。特に、大変なのが、経費の計上と管理です。これまで、まったくご縁のなかったことに戸惑って、頭を抱えてしまう方も多いのではないでしょうか? しかし、基本さえ押さえておけば、フリーランスの必要経費は、そんなに複雑ではありません。ここでは、特にフリーランスの方に関係のある必要経費をまとめてみました。
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フリーランスの必要経費はどのようなものか

経費とは、「もうけを得るために使ったお金すべて」です。仕事のために人を頼めば、その人件費も経費ですし、事務所用に部屋を借りる、自宅の一部を仕事に使うなどの場合は、その家賃や、固定資産税、水道光熱費の一部なども経費になります。

ただし、フリーランスの場合、「これは発生しないだろう」という経費もあります。例えば、製造業につきものの、「原材料費」、販売業の「仕入」、宅配サービスなどの「荷造運賃」などは、フリーランスの場合、見かけることはまれでしょう。

在宅勤務が主の場合「作業用衣料費」も、あまり出てこないと思われます。一方で、フリーランスによく見かける経費もあります。

フリーランスの多くはサービス業やその他の業種に分類される職種が多く、開発研究、取材などの情報収集が必要となること、クラウドソーシングの発達で、通信回線を利用した在宅作業が多い傾向があります。

また、打ち合わせや営業などで、交通機関や自家用車での外出、会食も考えられます。仕事上のお付き合いのための年賀状や名刺も必要となります。

そのため、取材費、通信費、インターネット接続費、図書研究費、消耗品費、旅費交通費(ガソリン代の場合は燃料費)、接待交際費、宣伝費などは、頻繁に登場することになるでしょう。

自己所有住宅の一部を事務所に改修した場合、仕事用に車を持った場合などは、減価償却費などがでてくることもあります。開業初年度の場合は、開業費が計上できるときもあります。

また、頻繁に出てきてもらっては困りますが、売掛金が回収できなかった時は、65万円の特別控除が受けられる青色申告の場合のみ、貸倒引当金も、フリーランスの経費として認められています。

どのように経費を付けるか

平成26年1月から、白色申告に対する記帳・帳簿等の保存制度について対象が拡大される予定であり、ますます経理の重要性が増しています。ここでは、経費計上の基本を3ステップで覚えましょう。

■ ご参考 : 平成26年1月から記帳・帳簿等の保存制度の対象者が拡大 (国税庁)

ステップ1:まずは、「経費にならないもの」を覚えてしまおう!

しばしば、「何でもいいから、経費にしてしまえ!」という事業主をお見受けします。家族旅行の費用や、子供の使った携帯電話料金やガソリン代、高速道路料金、仕事と無関係な会食費など、「分けるのが面倒、領収証があるから。」と経費に入れてしまう方が多いようです。

でも、これはNG。確定申告のあとで発覚して、税務署から「これは、どういう出費ですか?」と質問されて、たじろぐ結果に。悪くすると、税金が加算されてしまうことにもつながります。

一方で、会葬の際に包むお香典や、結婚式、新築落成祝いのご祝儀など、一見、経費にならなさそうに見えるのに、条件によってはOKという場合もあります。

こうしたものは、領収証がないのが当たり前ですが、そんな場合でも、適切な処理を行えば、経費にできる場合があるのです。そういわれると、「じゃあ、何が経費なの!?」と混乱してしまいますね。

経費で迷った時は、消去法で考えることがお勧めです。経費を計上するときは、「これは経費にならない」というものを覚えておくと、誤った算入を防ぐことができます。

【基本、経費にならないもの】(例)

  • 所得税、住民税
  • 国民健康保険、国民年金(国保、年金は社会保険控除で全額差引き)
  • 同居の家族に払う賃料、使用料。家事関連費用(水道光熱費、共益費、
    通信費、駐車場料金など)のうち、仕事に使用しない分と、家族が使った分
  • 日常生活で使う衣類やメガネ、装身具、理美容代金など
  • 事業主自身が使うスポーツクラブの料金や、健康診断費用
    (従業員が利用する場合はOK)
  • 事務所の敷金(経費ではなく、資産)
  • 打ち合わせ、会食費用を除く、事業主本人の食事代金、家族との会食代金
  • 15歳未満の家族、専従者になっていない家族への賃金
  • 仕事に無関係な年賀状や暑中見舞い、手紙、電話の代金、一般紙の新聞代金など

ステップ2:「条件付きで経費」は、個人出費か?仕事関連か?で見分ける!

経費にならないものを除いたら、次は一定の条件つきなら経費と認められる費用を覚えます。こうすることで、経費漏れを防ぐことができます。

【条件つきで経費となりやすいもの】(例)

  • 取引先等の関連で包んだご祝儀、お香典(接待交際費)
  • 仕事の打ち合わせのための、喫茶、会食費用(接待交際費)
  • 仕事でしか使わない衣服(作業用衣料費)仕事のために必要な理美容にかかる費用(理容費)仕事にしか使わないバッグ(雑費)仕事用の名刺、取引先への年賀状印刷費(広告宣伝費)
  • 取材のための旅行/商品/サンプル購入、取材目的の体験申し込みなど(取材費)
  • 試作のための材料費用、試作品の処分にかかる費用など(研究費)
  • 別居の家族が所有する建物の賃料(家事使用分を除く)(地代家賃)
  • 仕事上の飲み会帰りのタクシー代(旅費交通費)や、運転代行費用(雑費)
  • 15歳以上の家族への給料賃金(専従者給与など…手続きが必要)

こうして並べてみると、「事業主個人、および同居家族の生活のために払ったお金はNG」で、「一見個人の付き合いでも、仕事に関わるものならばOK」が原則であると分かります。

ステップ3:家事関連費用は「案分」して算入する!

電話や携帯の料金は、家族と一括して請求されたり、配偶者名義になっていたりして事業主本人の領収証が出ないうえ、家族の使った分も混ざっています。こんな場合は、利用実態に応じて、仕事用に使った割合分を計算すれば、経費として計上することができます。

こうした方法を「案分」といいます。自宅兼事務所の場合は、固定資産税や、家賃、水道光熱費、浄化槽の清掃費用、リフォーム費用などを同じく案分で経費として計上できます。

案分の仕方は、「時間で割る」か「面積で割る」のどちらか、または、併用するのが一般的です。税務署に質問すると「利用実態に合わせて、どちらかを選んでください」と言われます。

一般に、面積で割れる、建物に関わるものは「利用している面積÷全体面積 = 仕事で使う面積割合」、通信費などの利用時間に関わるものは、「利用時間帯 ÷ 24時間 = 仕事に使う時間割合」として、その割合を、年間の支払総額に掛けて算出する方法がよく利用されています。

毎月計算するのは大変ですから、年額を決算仕訳として、年末に一括して計算しても構いません。要は、仕事でこれだけ使った、という実態に則していればOKです。

どのように経費を仕分けるか

経費の仕訳も3ステップで基本を覚えましょう。

ステップ1:まずは領収証かレシートを保管

経費計上の基本は、領収証を保管して整理していくことから始まります。証拠となる書類(証憑書類)のないものは、経費にできないのが大原則です。

最近はレシートに「領収証」と打ち出されているタイプの、そのまま利用できるものも増えてきました。どちらかというと、明細のはっきりしない「上様」宛名の領収証よりは、明細のはっきりしているレシートのほうがより望ましい、という税理士さんもいらっしゃるようです。

領収証は、もらうたびごとに記帳処理を行ないます。処理の終わった領収証は、日付順にノートなどに張り付けて保管します。このノートがそのまま、「経費帳」の代用として使用できます。

確実に保存できるなら、1か月単位でまとめて記帳処理を行ってもよいのですが、あまり望ましいとは言えないようです。領収証の出ない経費(電車の普通運賃やバス代、打ち合わせ会議費、香典、祝儀、領収証のもらい忘れなど)については、出金伝票を作って代用できます。

伝票と一緒に支払の証拠になるようなもの(物の場合は、現物の写真などでも良い。)を添付しておくと、なお良いです。こうした場合は、税務署側から質問されても、きちんと答えられることが条件です。怪しい出費や自信のないものは、省いたほうが無難でしょう。

ステップ2:勘定科目ごとに内訳を記帳処理

支払った経費は、「ナニ費」にあたるか? を分類して、それぞれの費目ごとに1年分を集計する必要があります。この費目のことを「勘定科目」といいます。お金を費目に添って分けることを「仕訳」といいます。

仕訳は「習うより、慣れろ」な作業ですから、たくさんこなすほど速くできるようになっていきます。基本の分類は、確定申告の「収支内訳書」「決算書」の仕訳に従って行ない、ここにないものは、税務署に電話または来訪で質問するか、無料税務相談、無料記帳指導などの、機会に尋ねておくとよいでしょう。

こうした無料相談は、自治体の広報やホームページ、商工会議所のホームページなどで案内されています。税理士さんによっては、個人で初回無料の相談を引き受けてくれている場合もあります。

また、ネット上の経理コミュニティや確定申告コミュニティも便利な相談先です。「どんな費目があるかを、ざっと知りたい」という場合の裏ワザとして、100円均一のダイソーや、文具店などで、科目印を見てくる、という方法もあります。

もし、複式簿記で振替伝票を利用した仕訳を検討しているのなら良い機会でもあるので、価格や科目の種類を漠然とでも覚えておくと便利でしょう。活字が得意ならば、図書館などでも「科目辞典」などの本を見てくるのも良い方法です。

ステップ3:会計ソフトで記帳作業

フリーランスの会計は、会計ソフトが便利です。手書きの簿記ではダメというわけではありませんが、一人親方、SOHOの会計の場合は、パソコン経理ができると、会計業務の事務負担が大幅に軽減できます。

記帳処理の実作業は、「複式簿記か、簡易簿記か?」「伝票方式か、直接パソコン入力か?」で、細かな差はあります。要は、間違えずに確実に行えて、できればスピーディーであることがポイントで、そこさえ押さえられていれば、自分なりの工夫をする余地もあると考えます。

簡易簿記の場合、1か月分のレシートごとに洗濯バサミでとめておき、エクセルシートで簡単な経費帳を作って、勘定科目ごとに、ひたすら仕訳けて入力する方式をとってもいいでしょう。

複式簿記の場合、反対勘定を覚えてしまえば、基本は変わりません。複式の場合、発生主義で記帳する必要があるため、振替伝票を使って仕訳しておき、月単位で一気に入力する方式が、入力ミスのチェックなどがしやすく、主流のようです。

最近では、フリーランスに特化した会計ソフトなども発売されています。市販の会計ソフトのほか、フリーウェアの青色申告ソフトや、書籍のおまけで無料配布されているエクセルシート、税理士が提供しているもの等、いろいろな方法が考えられます。

いくつか探してみて、自分にあったものを利用するのが良いでしょう。簡易簿記の場合は、家計簿ソフトを流用するか、ご自分でエクセルで作成しても構いません。

入力した後は、必ず領収証(と伝票)との照合をおこなって、打ち漏らし、打ち間違いがないか確かめておくことが大切です。

必要経費について特に気を付けるべき事

経費は「現状に則したもの」が大原則です。ですから、「忘れちゃったから適当に。」といった、架空の支払や、いい加減な記帳は厳禁です。

フリーランスの経費の場合、他の業種と比べて、比較的コンパクトであまり高額にならないため、何でも入れてしまいたくなります。しかし、ここがモラル感の発揮しどころです。

  • 公私混同は厳禁!
  • 領収証は「金券」と思って保管!
  • なるべくためないで、こまめに、定期的に処理すること
  • 判断が微妙なときは、税務署または、税理士に相談
  • はっきりしないものは、入れない、入れるものは、正々堂々と計上する!

といった姿勢が大切です。


明朗会計であるほど、売上と経費のバランスがわかりやすく、こまめであるほど、将来の支払や入金のめども立ちやすくなります。フリーランスになったら、毎週、毎月日を決めて会計処理をするほうが、望ましいといえるでしょう。

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