日銀がマイナス金利政策を実施した今、取り組みたい賢い資金繰りとは!?

日銀がマイナス金利政策を実施した今、取り組みたい賢い資金繰りとは!?
フリーランスが自分自身の得意とするテーマで記事を執筆。彼らの知識や知見から、”タメになる”、”学びになる”記事を皆さんにお届けします! 本日は金融機関に勤めていた1級FP技能士が、マイナス金利政策が実施された今、取り組みたい『賢い資金繰り』について解説いたします。【私の専門知識シリーズ】
LANCER SCORE
8

日銀のマイナス金利政策で住宅ローン金利が急低下

2016年1月29日、日銀がサプライズ的に『マイナス金利付き量的・質的金融緩和』を打ち出しました。従来の金融緩和策の効果に陰りが見える中、何らかの追加緩和策は予想されていましたが、マイナス金利まで導入したことは市場関係者に驚きを持って受け止められました。

この政策は、金融機関が日銀に余分に預けている預金金利をマイナスにすることで、日銀への預金量を削減。その分を民間企業に振り向けさせることで資金循環を変える狙いがありました。

しかし、減った預金は安全とされる国債などを取引する債券市場に流れ、長期金利と呼ばれる10年物国債の利回りが戦後初めてマイナスとなるなど、国債に買いが殺到する結果となったのです。(国債の値段が上がると利回りが低下する)

そして我々に最も影響したのが、長期金利に連動する長期固定金利型の住宅ローン金利です。長期金利が急低下した影響で、住宅ローン金利も軒並み過去最低を更新したのです。

住宅ローン金利急低下で借り換え需要が急増

house for sale

こうした中、今までの金利で住宅ローンを借りていた人にとっては、今回の政策により、さらに低い金利の住宅ローンに借り換えて、家計負担を減らすメリットが生まれました。長期固定金利型の代表的な住宅ローンである政府系の『フラット35』も、数年前まで2%台だったものが現在は1%台に低下しています。

仮に3,000万円を『フラット35』で借り、35年返済とした場合、金利1%台での総返済額は3,500万円程度となるのに対し、金利2%台での総返済額は4,200万円程度と、その差は大きなものです。なお、借り換えは別の金融機関でしか行なえないことが多いので、注意してください。

なぜなら、同じ金融機関で借り換えを認めてしまうと、金融機関が損失を被るためです。しかし、『フラット35』だけはフラット間での借り換えが可能なのです。これは、『フラット35』が証券化を行なっていることによります。

貸し出された住宅ローン債権は機関投資家に転売され、金利リスクと繰上償還リスクを負います。つまり、損失を被るのは機関投資家であるので、借り換えが可能となります。

借り換えは賢明だが注意点も!

bank

ただし、注意しなければならないのが、金利が低い金融機関ほど借り換え手数料が高いという点です。借り換え手数料には定額制と借入額に比例する定率制がありますが、ネット専業銀行に多い定率制2%で試算すると、3,000万円借り換えた場合、手数料だけで60万円もかかることになるのです。

さらに、抵当権の登記手続きも必要となるため、登録免許税と司法書士報酬が50万円程度かかります。これらを合計すると100万円以上の現金が必要になり、本当に借り換えるメリットがないと、費用倒れに終わってしまう懸念があります。

自身の住宅ローンをしっかり見極めることが大切に

このように、自身の住宅ローンより低金利だからといって、簡単に借り換えを行なうことは危険です。例えば、住宅ローン残高が少ない人は繰上返済をするとメリットが大きいなど、借り換えが必ずしも有利である訳ではないので、注意してください。

現在は、インターネットなどで総返済額などの試算や比較がカンタンにできます。皆さんも、自身の住宅ローンをしっかり調べ、最適な選択を行ないましょう!

RECOMMEND
関連記事