障がい児を持つママにとって「最適の働き方」はフリーランスだった

障がい児を持つママにとって「最適の働き方」はフリーランスだった
生まれてきた子供は、重度の障がいを抱えていた。健常者と比べたら、どうしても子育てに労力が必要です。産後に復職して、共働きで家族と過ごしたいという計画は崩れ……。苦労の末に辿りつたフリーランスという生き方。未経験からの挑戦も、働きぶりが認められ保育園への入園資格をゲット。たった3,000円の初報酬に涙が出たという記憶とともに語っていただきます。
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前職は安定の臨床検査技師、定年まで働く予定が崩れた瞬間

昔から病院で働くことに憧れがあった私は、自分に合っていると感じた「臨床検査技師」という職業を選びました。もちろん、専門の大学に行き、国家資格を取得。手に職を持っているということで、働こうと思えばどこでも働くことができます。

当然、私もそういう思いで社会人1年目は故郷を離れ埼玉に就職、結婚を期に熊本に来てからも順調に就職先を見つけ働いていました。第1子妊娠後も産休・育休を1年もらい、子供が11か月の時には保育園に預けて産後復帰。しかし、復帰1ヵ月目に勤務できたのはわずか8日間だけ。

初めての子供ということで、「子育てはこんなに大変なものなのか」と困惑しつつも奮闘していた1年目でした。抱っこしていないと寝ない息子、復帰後の私の睡眠時間は、育休時代と変わらない2時間。徹夜をして仕事にでかけた日の方が多かったかもしれません。

その頃、息子に大きな障がいがあるとは思いもしませんでした。1年検診でハイハイもお座りもできず、ただ寝転んでいただけの息子。不安を覚えた私は、かかりつけの小児科医に相談し、大学病院を紹介してもらいました。

月に1回の通院と週に1回の療育。息子の付き添いをしながら、フルタイムで働く毎日に、私の体力は限界を迎えていました。まだ障がいがあると決まったわけではありません。それでも、これ以上勤務先に迷惑をかけたくない、息子に対して出来る限りのことをしてあげたいと考えた私は、産後復帰してわずか5ヶ月という短い期間でしたが、退職する決意をしたのです。

長男は染色体異常を抱えている障がい児だった

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退職してから1年間は、療育と検査の繰り返し。そんな最中でしたが、次男を妊娠・出産しました。次男の誕生は喜ばしいことでしたが、同時にある確信を得たのです。「長男はやはり何か違う」と。次男と比べたときに、子育てとは違う大変さをはっきりと認識しました。それから半年後、「ウィリアムズ症候群」という染色体異常を持っていることが分かったのです。

あまり有名な障がいではなかったので、診断がつくのに時間がかかってしまったのですが、知っている先生であれば顔を見ればすぐに診断は可能なようです。

ある程度のことはもう覚悟できていました。しかし、はっきりと障がい名を告げられたその日のことは、今思い出しても頭の中が真っ白になったのを覚えています。あまりの動揺で、大きな交差点を赤信号のまま渡っていました。

「これからどうする?」「共働きで働く予定で組んだ保険は払える?」「保育園に預けられる?」「息子は将来就職できるのだろうか?」など様々な不安だけが押し寄せてきて、何をすればいいのか全く分からない状態でした。

在宅ワークを探し続けてやっと辿りついたクラウドソーシングという働き方

次男出産後には児童デイサービスというところに、母子同伴で朝から昼過ぎまで通うことができていました。それに加えて他の療育、病院の通院にも行っていました。土日以外は子供の通院です。療育や病院は保険適用でお金はかかりませんが、児童デイサービスに通うにはお金も必要です。共働きを前提として色々と計画を立てていたため、金銭面の不安は強くありました。

「何より子供のためには保育園に入れた方がいい」と病院の先生に言われていたのですが、肝心の仕事をできる環境がないのです。内職の道具を置いておく部屋もない、何よりも子供が暴れるので細々した作業をするのは絶対にできない環境でした。

そこで、色々と探していた時に見つけた「ランサーズ」のサイト。まだクラウドソーシングという言葉さえ知りませんでした。それでも、「在宅ワーク」、「夜中でもできる」という仕事は「これこそ探し求めていた働き方だ!」と感じました。すぐに登録をして私でもできそうなライティングの分野から「初心者歓迎」というフレーズで募集している案件に応募して仕事を始めてみたのです。今思うと、この時が私の人生にとっても、家庭にとっても大きな転機であったことは間違いありません。

初めての給料3,000円は泣くほど嬉しかった

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最初の仕事は、決まったIDとパスワードを教えてもらい無料ブログ40個を新しく開設。そして各1記事ずつ300文字程度のブログを投稿するというものです。

簡単なように思えても、何回も夜中に起きてくる長男、まだ授乳中の次男、昼間は児童デイサービス……。色々と格闘しながらやり終えて得た報酬はわずか3000円でした。しかし、涙がでるほど嬉しかったのです。

働いてお金を得るということがどれほど大変か身にしみて分かりました。

2年目の春、本業のフリーライターとして活動開始!

昼間は息子たちと過ごし、夜中に作業する働き方に変化が起きたのは、今年の春のこと。二人の息子を保育園に入れることができたのです。看病をしていたとはいえ、世間的には専業主婦とみなされてしまい、なかなか入園許可がおりなかったこれまで。ところがランサーズで行なってきた在宅ワークが「仕事」と認められ、入園できることになったのです。今年から本業として活動するために、事業主としての申請もしました。

今では医療系意外の案件の依頼も受けるようになり、安定して月に7~15万円の収入を得ることができています。月15万以上になることもありますが、以前にフルタイムで働いていた臨床検査技師と同じくらいの収入なんです。

前職と比較して一番の違いは、自由に時間を使うことができ、日程や時間を気にすることなく療育に通えるということです。さらに次男は酷いアトピー体質でこちらも週に1回の通院が必須。こんな風に子供のために時間を自由に使えるのもフリーランスとして働くメリットです。

収入が少ない時期を乗り越えて「諦めなければ」こんな風に安定と自由の両方を手にすることができるんだ! と大きな自信が出たと同時に、もっと多くの障がい児ママ達にも知ってもらいたいと思うようになりました。

障がい児がいるママにこそ「クラウドソーシング」という働き方があることを伝えたい

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子供との時間を多く持ちたいからフリーランスを選ぶ人も多くいると思います。中でも、障がい児を持つ母親にとっては「子供のために療育にできるだけ通わせたい!」という想いがあるのは皆同じだと思います。

しかし、会社に属していてはそれがなかなかできないのが事実です。いくら会社がいいよといってくれても自分の中では「休ませて下さい」と何回も言うのは本当に気が重く、周囲の人の迷惑になっていないか? などと考えて余計にストレスが溜まってしまうんです。

クラウドソーシング業界がこんなにも大きくなっているのに、まだほとんどの人が「自分は無理」と思っている気がします。

でも大丈夫です! 本当に素人であった私でもこんな風にフリーランスとして収入を得て、さらに子供の病院や療育を気兼ねなく両立していくことができています。だからこそ、同じような障がいを持つママには「こんな働き方があって、これって子供にとってもママにとっても最適な方法だよ!」と大きな声で伝えたいと思っています。

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