■アプリ開発とは
アプリ開発とは、一般的にはパソコンやスマホ、タブレットなどで利用できるアプリを作る作業を指す用語です。開発するアプリの種類には、ゲームアプリや検索サービス、SNSなどさまざまなものがあります。
アプリ開発の中には、発注者のイメージを具現化していく「要件定義」や、実際に作っていく「設計」「開発」「テスト・デバッグ」等のさまざまな工程があります。アプリの場合は、App StoreやGoogle Playでの審査も入るため、ユーザーの手に届くまでにもう数段階の工程が必要です。
また、iOSとAndoroidどちらでも利用できるアプリにするのか、Web経由で利用するのかなど、種類によって使うツールやシステム言語が異なってくるのもアプリ開発の特徴です。スマホ用のアプリであっても、種類によってはWebサイトを作るためのシステム言語を利用するケースもあります。
■開発できるアプリの種類
開発するアプリの種類には、主に3つの種類があります。それぞれ特徴が異なり、メリット・デメリットも違うので、作りたいアプリの内容に合わせて選択する必要があります。
Webアプリ
- ・開発事例:Google、食べログ、noteなど
- ・開発期間:4〜6ヶ月、内容によっては1年以上
- ・言語:Jaba、JavaScript、Python、Rudy、PHPなど
ネイティブアプリ
- ・開発事例:計算機(iOS)、tenki.jp、モンスターストライクなど
- ・開発期間:4〜6ヶ月、内容によっては1年以上
- ・言語:Swift、Objective-C、Kotlin、Javaなど
ハイブリッドアプリ
- ・開発事例:X (旧Twitter)、Gmail、Chatworkなど
- ・開発期間:ネイティブアプリより比較的短い
- ・言語:JavaScript、HTML、CSSなど
以下の項目では、開発できるアプリの種類をそれぞれ詳しく解説します。これからアプリ開発をしていく方は、ご覧ください。
Webアプリ
Webアプリとは、名前の通りWebブラウザ上で使用できるアプリのことです。利用するためには、Google ChromeやSafari、Microsoft Edgeなどのウェブブラウザをインストールしておく必要があるタイプです。
Webアプリの代表的な開発事例としては、GoogleやYahoo!をはじめとした検索サービスや、食べログ、noteといったものがあります。
開発言語には、JavaScript、Python、Rudyといった開発言語を用います。
ネイティブアプリ
ネイティブアプリとは、パソコンやスマホにインストールして利用するアプリのことです。ネイティブアプリの代表的な開発事例としては、計算機(iOS)やtenki.jp、モンスターストライクなどがあります。
開発には、Objective-CやKotlinなどの対象端末に合わせた開発言語を用います。iOSとAndroidどちらでも利用できるネイティブアプリを利用する場合は、ハイブリッドフレームワークと呼ばれる「Flutter」や「React Native」などを利用する場合もあります。ダウンロードするために、スマホやタブレット端末にApp StoreやGoogle Playなどをインストールしておく必要があるタイプです。
ネイティブアプリの特徴は、Webアプリと比べカメラやマイク、プッシュ通知といった端末機能を深く活用できる点です。例えばWebアプリでもプッシュ通知の利用はできますが、その機能性や直感性でいえばネイティブアプリの方が優れていると言えるでしょう。そのためチャットツールやゲームアプリのように、プッシュ通知を利用すべきサービスとは相性が良いでしょう。また、GPS情報を利用する地図アプリや、カメラ機能を活用するSNSとも相性が良いものです。
ハイブリッドアプリ
ハイブリッドアプリとは、Web上のサービスを、端末にダウンロードしたアプリから利用できるものです。Webアプリとネイティブアプリ双方のメリットを併せ持っているのが、大きなメリットとなっています。
代表的な開発事例は、TwitteirやChatwork、Gmailなどです。Webアプリのサービスをアプリ上で利用するタイプなので、開発言語はHTMLやJavaScriptといったWebサイト構築向けのものを使用します。
Web上のサービスを利用するアプリでありながら、カメラやマイクといった端末の機能を利用できるのが、ハイブリッドアプリの強みです。また、OSに搭載された「WebView」を活用して動作するため、AndroidとiOSどちらでも動作するというのもハイブリッドアプリの魅力でしょう。
ただし、ネイティブアプリと異なり通信環境に動作速度が影響されてしまうといったデメリットもあります。
■アプリ開発に必要なもの
アプリ開発をする際には、開発言語に関する知識があるだけでなく、パソコンや開発ツールのほか、デバッグやテストに利用するツールなども必要です。
開発するための環境が整っていなければ、スムーズに開発を進められません。昨今ではノーコードのアプリ開発も一般的になってきましたが、どんな工程で開発する場合であっても、最低限のハードウェアとソフトウェアは必要です。以下では、アプリ開発に必要なものを4つご紹介します。
①開発環境
まずは、パソコンをはじめとした開発環境が必要になります。必要になるパソコンのスペックは、以下の通りです。
プログラミングのみ
- ・CPU:Core i3〜5・Ryzen 3〜5
- ・メモリ:8〜16GB
- ・内部ストレージ:256GB以上
ゲーム制作
- ・CPU:Core i5以上・Ryzen 5以上
- ・メモリ:16GB以上
- ・内部ストレージ:512GB以上
なお、プログラミングのみであれば、そこまで高いスペックは必要になりません。使用するツールにもよりますが、現在販売されているミドルエンドクラスのPCであれば、大きな問題は発生しないでしょう。
ただし、画像編集や3Dグラフィックスに関する作業をする場合は、グラフィックボードをはじめとしてかなり高いスペックを必要としますので、注意してください。
OSは、開発したいアプリによって適したものが異なります。iOSアプリを開発する場合は、windowsでも開発自体は可能ですが、ビルド移行の作業に関しては原則Macでないと行えません。Mac OSでもAndoroidアプリは開発できるので、ネイティブアプリ開発が中心で、iOSアプリに注力していきたい場合はMacがおすすめです。
②開発ツール
開発ツールとは、アプリを効率よく開発するのを支援するツールです。開発ツールにはAPIやIDE、開発工数管理ツール、バージョン管理ツール、テスト自動化ツールなどがあります。
- ・API:複数のアプリを連携させるツール
- ・IDE:さまざまな開発機能をまとめたツール
- ・開発工数管理ツール:開発工数を管理して効率よく業務を進めるツール
- ・バージョン管理ツール:変更履歴を管理しておくツール
- ・テスト自動化ツール:テスト作業を自動で行うツール
最近ではIDE(Integrated Development Environment)と呼ばれる統合開発環境を導入するケースも増加しました。
IDEは、ソースコードを書く「コードエディタ」と、ソースコードをコンピューターが理解できる言語(オブジェクトコード)に変換する「コンパイラ」、そしてバグを検出するための「デバッガツール」がまとめられたツールです。有名なIDEには、XcodeやEclipse、Android Studio、Visual Studio、Atomなどがあります。
③デバッグ・テストツール
作成したアプリに問題ないかを検出するためのデバッグツールやテストツールも必要です。デバッグとテストの主な違いは、動作を実行するか、そして修正業務が入るかです。デバッグは、バグの原因を追及して修正していく作業を指します。
一方のテストでは、仕様通りの動作が行われるか、そしてバグがないかを見つける作業をしますが、修正業務は含まれません。ただし、デバッグとテストの意味合いは業界によって異なる場合もあります。例えば、ゲーム業界ではデバッグで修正業務まで行わないのが一般的です。デバッグについては、前述したようにIDEを導入するのであれば必要ありません。
④その他
プログラミングやデバッグだけではなく、デザインツールが必要になるケースも多くあります。アプリ開発におけるデザインツールは、主にUI(ユーザーインターフェース、操作画面)のデザインに用いるツールを意味します。
Adobe PhotoshopやIllustratorのようなイラスト・デザインツールのほか、Adobe XDやSketch、InVision Studio、FigmaといったUIデザインに特化したツールを用いるケースも多くあります。
また、AndoroidとiOSどちらにも対応するクロスプラットフォームアプリ開発をするために「フレームワーク」を利用するケースも増加しています。フレームワークは、アプリ開発をするための土台となるソフトウェアです。代表的なフレームワークには、UnityやReact Native、Angular、Flutterなどがあります。
■アプリ開発の手順・やり方
アプリ開発をする工程にはさまざまなものがあります。どれも正しく動作するために欠かせない工程です。正しい手順・やり方でアプリ開発を行わず、途中を省略してしまうと、バグや開発遅延の原因になるのでご注意ください。
以下では、アプリ開発の手順・やり方を6つのステップに分けてご紹介します。これからアプリ開発を行おうと考えている方や、開発を外注したいと思っている方はぜひ参考にしてください。
①要件定義
まずはじめに必要なのが「要件定義」です。要件定義とは、どんなアプリをどういったスケジュールで開発するかをまとめたものです。要件定義書にまとめる内容には、以下のようなものがあります。
要件定義書に記載する内容の例
- ・アプリ開発の目的と概要
- ・業務要件
- ・スケジュール
- ・予算
- ・実装する機能
- ・ユーザーがアプリを操作する手順
- ・互換性
要件定義において重要なのは、開発者と発注者が密にコミュニケーションを取れているかどうかです。発注者はアプリ開発の専門家ではないケースが多く、予算に対して機能要件が多すぎたり、アプリのイメージが明確でなかったりします。
また、機能の多さに対してスケジュールがタイトすぎてしまう場合もあるでしょう。開発者側は、業務要件にヒアリングした内容を細かく記載しながら、イメージを具体化していき、機能を取捨選択してうまく要件定義に落とし込んでいく必要があります。
②外部設計
外部設計では、主にユーザーが操作する部分(外観)を設計します。操作方法や操作画面のデザイン、データ出力などを設計していくのが外部設計です。要件定義に従ってUI(ユーザーインターフェス)設計を行い、良いUX(ユーザー体験)を実現していきます。
外部設計をするうえで重要になるのが、ワイヤーフレームです。ワイヤーフレームは要件定義の機能要件を補足していくもので、各ページの構成やユーザーフロー(どこをタップしたら、どのページに飛ぶかなど)といった内容を記載します。ワイヤーフレームはアプリのプロトタイプに近いもので、発注者のイメージを具体化したり、デザイナーやプログラマーをはじめとした開発チーム全体でイメージを共有するのに役立ちます。
③内部設計
外部設計が完了したら、アプリ内部の設計を行っていきます。ユーザーから見える部分を設計するのが外部設計なのに対して、ユーザーからは見えない裏側を設計していくので、内部設計と呼びます。内部設計は、この後の工程である詳細設計と同じ括りで進めるケースも少なくありません。
内部設計では、機能分割、物理データ設計、そして入出力の詳細設計といった3つの工程で進めていくのが一般的です。機能仕様書やデータフロー図、クラス図、データベース物理設計書、モジュール構造図といったプログラミングをするために必要な書類を作成していくのが、主な内容になります。
④開発
内部設計が完了したら、いよいよプログラミング(開発)の作業に入ります。開発では、ここまでの工程で作成した資料をもとにプログラミングをしていくので、いかに設計通りに作業できるかが重要です。
なお、開発の段階まで進んでから変更が入ると、遅延の原因になってしまいます。作業状況によっては、変更に対応しきれなかったり、設計からやり直さなくてはいけなかったりする可能性も出てくるでしょう。そのため、どれだけ要件定義の段階で発注者のイメージを具体化できているか、そして設計段階でイメージに忠実な設計を行えているかが、開発作業のスムーズさに大きく影響してくるといえます。
⑤テスト
プログラミングが完了したら、デバッグ・テスト作業に入ります。バグを発見したら、開発者が修正を行います。なお、アプリ開発の規模によって、デバッガーがデバッグを担当する場合と、プログラマーがテストやデバッグを担当する場合があるので、要件定義の段階であらかじめ決めておくようにしましょう。バグがなければ、AndoroidとiOSそれぞれのアプリストアでリリースします。
Google Playでのリリース方法
- ・GooglePlayConsoleにアプリ情報を登録
- ・アプリの詳細情報を入力(セットアップ)
- ・アプリ署名を行う(完了していれば省略)
- ・アプリをアップロード
- ・必要に応じてテスト
- ・アプリを申請
- ・審査に通過すればストア公開(リリース)
App Storeでのリリース方法
- ・AppStore Connectでアプリ情報を登録
- ・アプリの詳細情報を入力(キャッチコピーや検索キーワードなど)
- ・App Informationを設定
- ・価格と配信状況(Pricing and Availability)を設定
- ・個人情報(App Privacy)に関する項目を設定
- ・アプリをアップロード
- ・ビルド情報を編集
- ・アプリを申請
- ・審査を問題なく通過すれば公開(リリース)
⑥運用
アプリが公開されたあとは、運用業務を行います。運用とは、いわゆるサポート作業のことです。バグ修正や、新機能を実装するなどして、適宜アップデートを行っていきます。継続して利用してもらうためには、日々アプリを改善していく必要があるのです。特に、OSがアップデートされた際には、問題なく動作するかを確認する必要があります。
App StoreやGoogle Playでは、アプリに対するレビューが集まるので、返信する作業もあります。レビューをしっかりと確認しておくことで、気付いていなかったバグを発見できたり、ユーザーニーズを把握したりするのに役立つでしょう。多くのユーザーに信頼してもらい、安心して利用してもらうためにも、レビュー対応はとても大切です。
■アプリ開発をランサーズで依頼する方法
アプリ開発を外部に依頼したい場合、ランサーズを利用するのがおすすめです。ランサーズでは、アプリの開発者やデザイナー、デバッガーなどさまざまなプロのフリーランサーを探せます。発注者と受注者(開発者)とを繋ぐのが、ランサーズのサービスです。無料相談や仮払い等のシステムがあるので、双方が安心して業務を進められます。
ランサーズでアプリ開発を依頼する方法には「開発者への直接依頼」のほかに「案件の掲載」や「出品パッケージからの依頼」などがあります。以下の項目では、出品パッケージを利用してアプリ開発を依頼する方法を詳しく解説しますので、参考にしてください。
出品パッケージを探す
ランサーズの出品パッケージとは、受注者(ランサー)が自分のスキルに値段をつけて出品するシステムです。対応できる仕事の具体的な内容や料金、おおよその納期などが明記されているので、依頼に合わせた受注者を探すのに役立ちます。
出品パッケージを探す場合は、まずトップページ上部にある「パッケージを探す」を選択しましょう。ジャンルから「モバイルアプリ・スマホアプリ」を選択して、出品パッケージ一覧から要件に合ったパッケージを探します。
無料見積もり相談
自分の依頼したい内容にあった出品パッケージが見つかったら、無料見積もり相談をしましょう。まず出品パッケージの詳細画面から「ベーシック・スタンダード・プレミアム」のいずれかを選択し「スポット・3ヶ月継続・6ヶ月継続」を選んでから「まずは相談する(無料)」のボタンを押します。
無料見積もり相談では、希望納期や依頼詳細などを入力していきます。依頼詳細の欄には、どんなアプリの開発を依頼したいか、実装したい機能はどんなものか、理想に近い既存アプリはあるか等を詳しく記入しましょう。
発注
無料見積もり相談をして、納期や予算、スキルなどに問題がなければ、発注をしましょう。なお、ランサーズでは仮払いのシステムを導入しており、発注した段階でまず料金を支払う必要があります。
仮払いシステムでは、発注者が支払った料金をランサーズが一時的に預かり、無事に納品されてから開発者に支払われるようになっています。発注する前にあらかじめ依頼料金を確保し、依頼するようにしましょう。
確認・納品
アプリが完成したら、テストをしてみましょう。自分の理想通りに動くかどうか、使っている中でおかしな挙動がないか、不便な部分はないかなどを細かくチェックします。もし問題があれば、開発者に問題点を具体的に伝えて、修正してもらいましょう。
修正と納品が完了し、料金を支払えば業務完了です。最後に、発注者・受注者同士でお互いの評価をし合い、レビューをするとランサーズ内での取引は終了となります。
■一般的な制作会社へ「アプリ開発」を依頼した際の料金相場
アプリ開発の費用は、人日(1人が1日で行うことのできる作業量)、人月(1人が1ヶ月で行うことのできる作業量)という単位を用いて工数が計算され、その工数に応じて料金が決定します。開発期間が1ヶ月以内となるような小規模アプリ開発の場合には人日で計算されますが、それ以外の一定の規模以上のアプリ開発には人月が使われることがほとんどです。
アプリ開発を制作会社等に依頼する場合、料金には主に以下の工程にそれぞれ費用がかかります。
・要件定義
・ディレクション
・機能やデータベース等の設計
・デザイン
・開発
・デバック
・システム導入
・運用・保守
そのため、要件定義やデザインも依頼するのか等によって費用が異なってきます。開発を外注する際には、どのような工程を依頼するのか明確に決めておき、相見積もりを取ってより適切な条件を提示してくれる依頼先を見つけるのがおすすめです。
企業 | 内容 | 相場例 |
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企業A | 英会話アプリ | 約4,000,000円〜 |
SNSアプリ | 約7,000,000円〜 | |
マッチングアプリ | 約10,000,000円〜 | |
企業B | Androidアプリ | 約1,500,000円~ |
iPhoneアプリ | 約2,500,000円~ | |
企業C | カートシステム | 約1,000,000円~ |
ソーシャルゲーム | 約3,000,000円~ | |
位置情報利用システム | 約5,000,000円~ |
※大凡の価格を表示しています。実際の料金は依頼内容や会社によって異なります。
※こちらで記載している金額はランサーズ上の依頼金額ではありません。
※当社調べの「一般的な制作会社や企業に依頼した際の目安の依頼料金」となります。