福岡県の太宰府天満宮参道に店舗を構える「梅園菓子処」。昭和23年の創業以来、職人の手で一つひとつ作られる美しい和菓子を製造・販売する会社です。著名な文人・茶人にも愛され、太宰府天満宮の御用達としても知られています。
従来の実店舗での販売と法人顧客にくわえ、ECサイト運営により売上の三本柱を目指しているという同社。お客様が使いやすく、売れやすいECサイト構築を目指し、ランサーズを利用してShopifyによるECサイト構築を行いました。ランサーズを活用する前に抱えていた課題から実際に利用した所感、効果について、専務取締役の佐藤弘人さんにお話を伺いました。
目次
Lancers活用前に抱えていた課題
大手制作会社ではスピード感のある対応が難しい
大手制作会社に依頼してECサイトを立ち上げたものの、細かな修正や臨機応変な対応が難しく、スピード感に課題を持っていた。
使いやすく売れやすいECサイトを構築したい
プラグイン(拡張機能)のアップデートや、自社が実装したい機能の追加・改善がすぐにできる体制を作り、お客様が使いやすく訴求力の高いECサイトを実現したい。
Lancersでこう解決!
信頼できるフリーランスとの出会いによりECサイト改善のスピードがアップ
高度なスキルを持ち、信頼できるフリーランスと出会えたことで、サイト改善のスピードが格段にアップ。細かな修正や緊急度の高い修正にも臨機応変に対応してもらえる。
自社では難しいことや機能拡張にプロのスキルを活用できる
自社では対応が難しい設定や機能拡張にもプロのスキルを活用できるため、やりたかったことを実現できるようになった。ECサイトの利便性が向上したことで、売上アップや新規顧客の獲得につながっている。
実店舗と法人営業、ECサイトで売上の三本柱を作る
――事業内容を教えてください。
梅園菓子処は、和菓子の製造・販売をしている会社です。創業したのは昭和23年で、妻の祖父が創業者です。祖父はもともと東京で菓子作りの修行を積んでいたのですが、戦後、故郷である福岡に戻り、焼け野原になっている街の有り様を見て「人の心が明るくなる菓子を作りたい」と思い、お店を構えたのが始まりです。「どこにもないような菓子をつくろう」と試行錯誤した創業者の意思を受け継ぎ、現在も当時の味を守るとともに、新しい菓子作りにも励んでいます。
創業当初は西鉄太宰府駅の近くに店を構えたのですが、のちに現在の大宰府天満宮参道に移転しました。梅園菓子処の建物は江戸時代末期に建てられたもので、重さ100キロを超える巨大な木造看板が目印です。もとは「泉屋白水楼」という旅籠だった建物で、土佐藩の定宿でした。土佐藩士の中岡慎太郎の日記にはこの場所で酒を酌み交わしていたことが残っており、坂本龍馬も宿泊したといわれています。
建物には当時の面影がそのまま残っているので、ご来店いただいたお客様には歴史的なところも楽しんでいただけると思います。
――ECサイトを強化しようと思った背景を教えていただけますか?
当社はこれまで、実店舗と法人のお客様からの贈答のご注文が売上の二大柱となっていました。しかし、EC市場は無視できないですから、今後はECサイトを強化して三本柱で売上を作っていこうと考えていました。
そこに、コロナ禍の影響で実店舗の売上が激減するという事態が起きました。店舗は観光地にありますので、緊急事態宣言が発令された直後はこの辺のお店の大半が閉まり、シャッター街になりました。当社の売上も、6月には通常の10分の1以下まで下がってしまったんですね。
こうした状況下で売上を確保するには、ECサイトを強化したり、既存のお客様を掘り起こしたり、法人営業をがんばる以外に道はありません。とくにECサイトの強化は急がなくてはならないと考え、取り組みを始めました。
ランサーズにはビジネスに便利な仕組みと信頼できるフリーランスが存在
――ShopifyでのECサイト構築にランサーズを活用することにした経緯を教えていただけますか?
最初は自分たちでECサイトを立ち上げてみたのですが、日々の業務が忙しい中ではやはり限界がありますし、もっと洗練されたものを作りたいという思いがありました。そこで、まずは大手のWeb制作会社に依頼して作ってもらいました。大手さんであれば、イレギュラー対応を含めて、何かとカバー範囲が広いだろうと考えたためです。
しかし、「この部分をちょっとだけ修正してほしい」といった細々とした部分の対応がどうしても遅かったり、その都度高額の費用が発生したりして、なかなかコンセンサスがとれない状況が続きました。また、このときはWelcart (ウェルカート)を使っていたのですが、バージョンのアップデートがされないまま放置状態になってしまったんですね。
プラグインのバージョンがアップデートされないと、やりたいことができなかったり、セキュリティ面で怖い部分が出てきたりします。それでも毎月の保守・メンテナンス費用は支払わなくてはならないので、このままでは継続できないなと。
そうした中で、ちょっとした修正を依頼するためにランサーズを活用しました。このときに出会ったフリーランスの方がとても信頼できる方で、一緒にやれたら面白そうだなと思い、制作会社から切り替えることにしました。結局、制作会社に作ってもらったサイトは1年未満で止めて、ランサーズを利用して再構築することにしたという経緯です。
当初は、どのECサイト構築サービスを利用するかは白紙の状態でしたが、Shopifyはよく耳にしていたし、カスタマイズしやすい点が魅力的だったので乗り換えることにしました。もし困ることが出てきたとしても、ランサーさん(ランサーズに登録しているフリーランス)に頼めばすぐに対応してくれるという安心感があったので、挑戦しやすかったことも大きいですね。
――ランサーズを選んだ理由や決め手を教えていただけますか?
ランサーズはビジネスユースに便利な仕組みを提供されていますし、規模感においても信頼できると思いました。お会いしたことがないフリーランスの方に仕事を依頼するときは、どうしても不安になりますが、ランサーズが提供する仕組みの中で仕事の依頼ができることは大きな安心感です。
とくに、HPやECサイトの仕事ではいろいろな情報を提供することになるので、信頼できるかということが重要になってきますが、その点はランサーズさんがしっかり担保しているので不安がありませんでした。また、登録されているフリーランスのデータベースも充実しているので、相性の面などで選択の幅が広い点も魅力的でした。
より良いECサイト作りをランサーズと一緒に育てている感覚
――ランサーズにはどのような業務を依頼されていますか?
以前に使っていたWelcartのときから、制作会社が対応してくれないような細々とした修正やアップデートの処理などをランサーズに依頼していました。現在はShopifyに切り替えて自社で運営していますが、ECサイトまわりのことはほとんどお願いしています。
具体的にいうと、Amazon Payの導入やInstagramの最新投稿をHPに自動表示したり、LINEと連携したりなど、いろいろな機能をカスタマイズしたいときに依頼しています。ECサイトは日々の運用と改善が重要になるので、自分でも使いこなせるよう毎日のように手を加えていますが、やはりプロの手を借りたほうがよい部分があります。
お客様にとって、よりわかりやすく買いやすいサイトになるよう、ランサーさんと一緒に育てている感じですね。
――ランサーズを使ってみた所感を教えてください。
当社がお願いしているランサーさんは、レスポンスがとても速い。スピード感があるというのは、私にとってはとてもアドバンテージが高いことです。やりたいことが、すぐにできるわけですから。それと、ちょっとした修正やメンテナンスの依頼だと、人によっては面倒な仕事と受け取られたりすることがありますが、ランサーさんはしっかりコミットメントしてくれます。
以前に注文画面でちょっとした仕様の問題があり、お客様からクレームが入ったことがあるのですが、ランサーさんにお願いしたらすぐに対応してくれました。こうした緊急度の高いケースに即対応してもらえるのは非常に助かりますし、信頼関係が深くなっていきます。
コスト面でいっても、制作会社にお願いしていたときの3分の1程度まで下がっています。本当にいいなと思っているので、知り合いの店舗にもランサーズを紹介したくらいです。宣伝マンのように、「ECサイトを作るならランサーズにお願いしたほうがいいよ」と伝えました(笑)。
Shopifyに切り替え、お客様とのつながりが強化されている
――ランサーズを活用して、どのようなメリットや効果を得られたのか教えていただけますか?
以前は社員にECサイトの運用を担当してもらっていたのですが、どうしても多くの時間がかかります。昼は店舗業務をやってもらい、閉店後の17時頃からECサイトの作業をしてもらうとなると、毎日のように残業しなくてはならないわけです。残業代もかかりますし、社員も疲弊してしまいます。かといって、運用をしっかり行っていかなければ売上に大きく影響するので、止めるわけにもいきません。
ランサーズを活用するようになって、社員が残業しなくて済むようになりました。また、ランサーさんの対応が速い点やクオリティの高さも魅力です。簡単な修正であれば、即日あるいは翌日にはやってくれますし、新たに人を雇用することに比べたらコストをグッと抑えることができます。自社では対応できないレベルのこともスポットでお願いできるので、社内でIT人材を雇用しなくても、一定以上の水準かつスピード感でECサイトを強化できるようになった点は大きなメリットです。
売上面の効果でいうと、Amazon Payを導入したことでお客様の利便性が高まったこともあり、カゴ落ちが大幅に減少しました。ECサイトの売上で見ると、1.5倍ほど伸びています。こうした、お客様の利便性を高める機能をどんどんカスタマイズしていきたいと考えたときに、とても速いレスポンスで対応してくれるランサーさんの存在は非常に大きいと思っています。
――Shopifyに切り替えたことでのメリットや効果はありますか?
Shopifyの導入は、大きな改革の一つでした。以前のECサイトでは思うような戦い方を実現できなかったので、Shopifyの導入によって、しっかり戦えるECサイトを作りたいという思いを強く持っていました。
たとえば、以前のECサイトでは受注の処理をオンライン上で完結できなかったんですね。なので、すべてのメールをいったん受注専用のGmailに飛ばして、それを所定の紙に印刷して配送スタッフに渡すというフローになっていました。Shopifyではすべての受注処理を完結できるので、無駄なフローを削減できています。
また、Instagramと連携させたことで、Instagram経由の流入が非常に増えています。お客様からも「見やすくなった」「お菓子の魅力が伝わってくる」というお声をいただくので、訴求力が上がっているのだと思います。実際、ECサイトの売上は順調に伸びていますし、新規のお客様も増えました。
常に最新情報を提供できるのは以前のサイトではできなかったことなので、お客様とのつながりを作れているという実感があります。クーポンを自由にカスタマイズできる点も気に入っていますし、POSレジと連携できるところもいいなと思っています。もっといろいろな機能を有効に活用して、どんどんブラッシュアップしていきたいですね。
ランサーズは時代の変化に負けず暖簾を守るための強力なパートナー
――アフターコロナでも様々な課題に直面することが考えられますが、梅園様の今後の展望を教えてください。
少し前までは、伝票や配送承り書といった書類はすべて手書きでした。繁忙期には、こうした作業に7~8人のスタッフの時間を割いているということもあったほどです。今はこうした無駄をできるだけ省けるよう、経理やPOSレジなど、社内の様々な仕事においてデジタル化に取り組んでいます。
コロナ禍で売上が激減し、今は店舗のほうでは社員1名、パート1名というぎりぎりの体制で動かしています。ですが、デジタル化を進めて無駄なフローを見直しているので、現場はしっかり回せています。会計士さんが「こんなに人件費を減らして大丈夫ですか?」と驚いたほどです(笑)。
梅園は創業当時から一貫して、職人の手作業で一つずつ菓子を製造することを大切に守っているので、ここに、どのようにしてDX(デジタルトランスフォーメーション)を取り入れていくかということが今後の課題ですね。守るべきところはしっかり守り、効率化も図りながらサバイバルしなくてはなりません。
今はShopifyを含めて、デジタル化を進めるシステムを活用することで、人員は減らしても売上は落とさないという戦略が可能になっています。コロナ禍でつまずきましたが、アフターコロナを見据えた売り方というものを考えていきたいと思っています。
――今後、ランサーズに期待することを教えてください。
和菓子業界はアナログでやっているところがまだまだ多く、お年を召した経営者も多い業界ですので、なかなか新しいビジネスモデルに脱皮できないという課題を抱えています。時代の変化についていけず、廃業してしまうケースも少なくありません。ものづくりにこだわり続けてきた伝統あるお店の暖簾がなくなってしまうのは、本当にもったいないことです。
こうした状況を変えるには、やる気のある若い方を筆頭に暖簾を守るためのビジネスモデルを作っていくことが重要になってきます。ランサーズさんには、DXを後押ししてくれる仕組みがあります。ぜひ、こうした悩みを持つ企業のパートナーとなってほしいですね。
――最後に、ランサーズの導入を検討されている企業様に向けて、一押しポイントをお願いします!
ランサーズを利用することで、高度なスキルを持つフリーランスの方と直接仕事ができるのは大きなメリットです。スポット的な仕事もその道のエキスパートにお願いできるので、コスト的な無駄もありません。
仕事を進めるうえではフリーランスの方と信頼関係を作っていくことが重要になりますが、これは一般社会でも同じです。ランサーズという枠組みがあることで安心して仕事を依頼できますし、優秀なフリーランスの方を利用しやすい環境が整っているという点が一押しのポイントではないでしょうか。ぜひ一度、活用してみてほしいですね。
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取材・文:solaneko(ランサーズネーム)
https://www.lancers.jp/profile/solaneko
出版社に18年勤務。編集長、メディア設計・企画マネージャーを経験後、フリーランスに。記事、広告ともに20年のキャリアで数百社の取材・インタビューを経験しています。