
企業の海外展開において、情報発信や顧客との接点づくりができるInstagramは、有効な手段のひとつとして注目されています。
しかし実際には「発信をどのようにビジネスにつなげればいいのか分からない」「発信しているけど、これで本当に合っているのか不安」と感じている企業も多いのではないでしょうか。
今回お話を伺ったのは、創業150年を迎えた静岡県焼津市にある「長峰製茶株式会社」の多々良香代様。世界的な抹茶人気を実感し、海外販路の拡大に取り組まれる中で、Instagram発信の必要性を感じながらもどのように始めればよいのか分からず、なかなか動き出せなかったといいます。
そんな中、外部プロ人材に依頼するきっかけとなったのが、企業と外部プロ人材の間に入り、最適な人材選定や進行をサポートするコーディネーターの存在でした。
外部の視点と分析を取り入れたことで、発信の方向性が整理されてアカウントは3か月で急成長。海外からの問い合わせが日常的に届くようになるなど、具体的な成果へとつながっていきました。
外部プロ人材との取り組みはどのように進み、どんな変化が生まれたのか。詳しくお話を伺いました。
【インタビュイー概要】
長峰製茶株式会社
多々良香代 様
HP:https://nagamine.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/nagamine.tea/

目次
「海外に届けたい」その一歩が踏み出せなかった理由

——まずはじめに、御社の事業内容を教えてください。
弊社は静岡県焼津市に本社を置く、お茶を専門に扱う会社です。1976年に創業し、2026年で150周年を迎えました。現在5代目が事業を担っており、伝統的な煎茶を中心に、見た目がワインのようなスパークリングティーや和紅茶など、新たな商品にも挑戦しています。
————海外に向けた発信を始める前は、どのような状況だったのでしょうか?
展示会への出展や楽天グローバルサイトを通じて、海外のお客様の声を直接お聞きする機会があり「海外に届けたい」という思いは以前から持っていました。
実際に、世界的な抹茶人気の高まりは私たちも強く感じており、その影響で日本国内でも煎茶の確保が難しくなるなど、お茶業界全体が大きな変化の中にあります。円安の影響もあって、今後の事業継続を考えると外貨を獲得していく必要性を感じていました。
ただ、どのように海外へ発信し、ビジネスにつなげていけばよいのか分からず、具体的な一歩を踏み出せずにいたのが正直なところです。
——海外展開の必要性を感じながらもなかなか動けなかったのには、何か理由があったのでしょうか?
英語に苦手意識があり、日本語以外で発信すること自体にハードルを感じていました。加えて、Instagramが得意なスタッフが社内にはおらず、「どこからどう手をつければいいのか分からない」という状況だったんです。
特に悩んでいたのが、「何を発信すれば海外の方に届くのか」という点でした。国内と同じ内容でよいのか、それとも海外向けに変える必要があるのか、そのイメージも持てていませんでした。
地道に情報収集はしていましたが、調べるほどに難しさを感じてしまい、足踏みしている状態が続いていました。
「外部プロ人材という選択肢」コーディネーターがつないだ出会いと挑戦

——足踏み状態だったという海外に向けた配信を、今回取り組もうと思ったのはどうしてですか?
大きなきっかけになったのは、ランサーズさんから補助金や外部プロ人材についてお電話をいただいたことです。
電話で初めて静岡県の「外部プロ人材活用に対する補助金制度」を活用すれば、費用の8割が補助されることを知りました。正直、それまでは「外部プロ人材を活用する」という発想自体がなかったので、電話をいただかなければ今回のInstagramでの海外発信は始まっていなかったと思います。
しっかりと提案してくださったおかげで「こういう進め方があるのか」と具体的なイメージを持つことができ、今回の取り組みにつながりました。
——今回は、コーディネーターを介しての依頼だったそうですが、「コーディネーターがいて助かった」と感じた場面はありましたか?
はい、ありました。特に人材探しの部分を代行していただいたことが大きかったです。
ランサーズの中から自分たちで人材を探すとなると、300万人の中から選ぶことになります。以前私たちがデザイナーさんに依頼したときは、一から探すのに苦労しました。もし自分たちでやるとなっていたら「やっぱりやめておこう」となって、結果的に動き出せていなかったと思います。
その点、今回は最初からコーディネーターの方に、条件に合う方を3名まで絞ってご紹介いただけたので、スムーズに比較・検討ができました。
Instagram運用者の中でも、海外向けにできる人材は限られているとお聞きしていたので、とてもありがたいご縁をいただいたと感じています。
また、私たちの考えを言語化して整理してくださったことも助かりました。
候補者の方とオンライン面談でお話をさせていただいたのですが、自分たちの中では「こうしたい」という思いはあってもうまく言葉にできないことも多くて。
そんな中で「今多々良さんがおっしゃっているのはこういうことですよね」と整理しながら候補者の方に伝えてくださったので、とてもありがたかったです。
総合的にサポートしてくださったおかげで、ストレスなく進めることができました。
——紹介された3名の候補者の中から、最終的に1人を選んだポイントがあれば教えてください。
配信の方向性が、私たちのやりたいことと一致していたことが大きなポイントでした。
素材の多くが動画だったため、リールを中心とした発信をお願いしたいと考えていたんです。
実際に運用されているアカウントを拝見すると、投稿のほとんどが動画で構成されており、編集やテロップのクオリティも高く、「この方にお願いすれば安心して任せられる」と感じました。
最終的な決め手は、やはり人柄です。面談でお話してみると、柔らかな雰囲気でとても話しやすく、海外発信の知識が豊富と分かり「この方と一緒に進めていきたい」と思い、依頼しようと決めました。
「0から2500へ」外部プロ人材の視点と分析力で変わったInstagram発信

——契約後、実際にプロジェクトが動き出して、何か発見はありましたか?
一番の発見は「海外の方には何が響くのか」という視点です。
ランサーさんと一緒に投稿の方向性や内容を決めていく中で、アメリカでは歴史やストーリーがとても響くと知りました。そこで「まずは長峰製茶の歴史や5代目、150周年というところを掘り下げて発信していきましょう」とご提案いただいたんです。
自分たちにとっては当たり前だった会社の歴史や背景が、海外の方にとっては大きな価値になると知り、正直驚きました。
さらに「漁港のイメージが強い焼津で、なぜお茶だったのか」「もともとは輸出から始まった会社だった」など、自分たちが知らなかった会社の歴史を改めて知るきっかけにもなったと思っています。
他にも「白黒の古い写真もいい」とお聞きして、創業初期の写真を使った投稿も行いました。
それまで何を発信すればいいのか分からなかったのですが、海外の方に響くものを具体的に教えていただいたことで、何をするべきかが明確になり、迷いなく動けるようになっていると感じています。
——ランサーさんと発信を進めていく中で、特に印象に残っていることはありますか?
印象に残っているのは、分析力の高さです。
ランサーさんは「自分の仕事は、投稿することではなく分析することです」と言い切っていて、その言葉がとても印象的でした。
これまで私たちは、インターネットで得た情報をもとに、国内向けアカウントでは毎日投稿やプレゼント企画を行い、とにかくフォロワーを増やすというやり方をしていたんです。
しかし、ランサーさんはどの投稿がどの層にどのように届いているのかを細かく見ながら運用をされていました。より反応の良い投稿に絞って広告をかけ、データを見ながら調整や改善をしていくという方法で、効率よくアカウントを伸ばしていったんです。
今振り返ってみると、これまでの私たちは、表面的なアプローチしかできていなかったんだと思います。実際にInstagramの見方も教えていただき、どこを見れば何が分かるのかを知ることができました。
ただ、Instagram以外にも業務がある中で、投稿まではできても分析まで手を回すのは難しかったとも感じています。そういった意味でも、専門的な知識を持つプロの方にお願いする価値を強く実感しました。
——海外へ向けた発信では、どのような成果がありましたか?
アカウントはゼロからのスタートでしたが、3ヶ月で2,000フォロワーを超え、2026年4月現在は2,500フォロワーまで伸びています。広告経由だけでなく自然にフォローしてくださる方も多く、離脱が少ないのが特徴です。現在も継続的にフォローが増えており、信じられないスピードで成長していると実感しています。
コメントやDMの数も想像以上に多く、ほぼ毎日のように問い合わせをいただいています。社内で「対応が大変になってきた」と嬉しい悲鳴を上げているほどです。
——海外の方から直接反応をいただけるのは嬉しいですね。DMではどのようなメッセージが来ていますか?
「仕入れはできるのか」「卸は可能か」といった内容のメッセージをいただきます。購入方法や配送方法など、かなり踏み込んだ質問が多く、いきなり商談に近いやり取りが始まることに驚きました。
想定以上の反響だったため、急遽プライスリストを作成し、現在はDMをいただいた方にリンクでご案内しています。
中にはタイで抹茶ラテ専門店を運営されているインフルエンサーの方からご連絡がきっかけで、実際に日本でお会いするご縁につながったこともあるんですよ。
具体的な反応を直接いただいたおかげで、Instagramを通じて海外との距離が一気に近づき、ビジネスの可能性が大きく広がったと実感しています。
「挑戦の先に見えたもの」世界とつながる実感と広がる可能性

——Instagramでの発信を始めて、大きく変化したことは何ですか?
一番大きな変化は、今まで長く日本国内だけで展開していた事業が、一気に世界へ広がったと実感できたことです。
これまで「抹茶が人気」という話は聞いていましたが、海外の方から直接「欲しい」と言っていただくことで、日本茶にこれほど関心を持っている方がいるんだと強く感じました。
現地の声を直接聞けたことが、大きな転換点になったと感じています。
——2026年3月下旬には、アメリカの展示会にも参加されたんですよね。
はい、ロサンゼルスで開催された「World Tea Expo」に参加したのですが、アメリカだけでなく、カナダやコスタリカ、中国など世界中からバイヤーが集まっていて、日本茶への関心の高さを実感しました。特に抹茶の人気は思っていた以上に高く、会場全体が熱気に包まれているようでした。
期間中、Instagramでリアルタイム発信もしたんです。そのときにも現地で「Instagram見たよ」と言ってくださった方がいて、とても印象に残っています。投稿にも「お会いできてよかった」というコメントをたくさんいただきました。社内の人材だけでは実現が難しかったので、対応してくださったランサーさんには感謝しています。
——商品への反応はいかがでしたか?
私たちは抹茶ではなく、スパークリングティーという新しい商品で挑戦したところ、想像していた以上に好評で驚きました。
実はこのスパークリングティー、2年前に参加した海外の展示会では「甘くないと美味しくない」と言われていた商品なんです。しかし、今回はノンシュガーや健康志向への関心が高まっていたこともあり、好意的に受け取っていただけました。
海外では急須でお茶を淹れる文化が一般的ではないため、瓶を開けてすぐ飲めるスタイルが受け入れられやすかったのだと考えています。海外を意識してシンプルなパッケージにしたことも、興味を持っていただけた理由のひとつです。
こうした変化を現地で実感できたことで、抹茶だけでなく、煎茶や玉露といった日本茶の価値にも可能性を感じています。海外での広がり方が、これまでとは少しずつ変わり始めている手応えがありました。
——今後、力を入れていきたいことはありますか?
現在はInstagramから自社サイトへ誘導できるようにリンクを記載していますが、アクセス数に対して購入につながる割合がまだ少ないと感じています。
海外向けに翻訳や購入代行サービスを導入しているのですが、ランサーさんの分析によると「どのようなサービスなのか分かりにくい」という点で不安に感じている可能性があると分かってきました。お客様が少しでも購入しやすくなるようにと思って導入しましたが、こうした細かな点にも、国内と海外で感覚の違いが出てしまうんですね。
今後は海外の方にとってより使いやすく、分かりやすい導線に見直していきたいと考えています。
——最後に、これから外部プロ人材活用に挑戦したい企業へのメッセージをお願いします。
プロ人材活用は予算や期間を区切って取り組めるので、リスクを抑えながらチャレンジできる点は大きなメリットです。外部の専門家の方に入っていただくことで、これまで自分たちだけでは気づけなかった視点や可能性に出会うことができました。
さらに、もし自社だけで人材を探して採用するとなると、時間もコストも大きくなってしまいます。その点、必要な部分だけに限って専門家の力を借りられるのは、大きな価値だと思います。
実際に私たちも、今回の取り組みがなければ、海外に向けた発信は動き出せていませんでした。
これから新しいチャレンジを検討している企業にとって、プロ人材との協働は有効な選択肢のひとつになるのではないでしょうか。
【当記事制作を対応いただいたランサーさま紹介】
中村ことは様
▼ご対応いただいたランサーさまから
静岡県の外部人材活用事業にコーディネーターとして関わる中で、導入事例記事の執筆も担当いたしました。
今回の取材で印象的だったのは、「海外に届けたい」という想いを持ちながら、何を発信すればよいのか分からず、最初の一歩を踏み出せずにいたお話です。プロの視点が加わったことで発信の方向性が明確になり、海外との新たな接点やビジネスの可能性が広がっていく様子から、外部人材の価値を改めて実感しました。
この記事が、自社の魅力の伝え方や新たな挑戦に悩む企業様にとって、一歩踏み出すきっかけになれば嬉しく思います。
▼中村ことは様のプロフィール
https://www.lancers.jp/profile/kotoha-nakamura
