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「フリーランスの活用は、新規事業創出の成功確率を上げる」株式会社本田技術研究所の事例

私たちの暮らしに欠かせない、バイクや自動車、エネルギー、ロボティクス領域の研究・開発事業を行う株式会社本田技術研究所。2019年に立ち上げた新規事業創出プログラムのチーム内で、Lancersの利用をスタートしました。Lancersを利用することで、抱えていた「新規事業創出に必要な人員不足」「スピードの確保」といった課題が解決できたといいます。そこで今回は、統括機能本部 開発戦略室 事務局の皆川達也さんと、新規事業創出の開発プロジェクトリーダーの小野拓洋さん、野村真成さんに、Lancersの利用のきっかけから、利用後の変化、新規事業創出でフリーランスを活用する際のアドバイスを伺いました。

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Lancers活用前に抱えていた課題

新規事業創出において、必要な人員が不足しがちだった

新規事業創出プログラムは社内公募制。採択されたメンバーは元々自動車の開発に携わっていた技術者のため、営業や市場調査といった業務についてはこれまで経験が少なかった。もちろん、社内には専門のスタッフはいるが、本業を抱えているため、新規事業創出をタイムリーに手伝ってもらうことは難しい状況。得意な領域以外の業務を担当できる人員が欲しかった。

新規事業検討の進捗を定期的に報告するためスピードを重視したい

3ヶ月に一度、各プロジェクトは進捗を社内でプレゼンしなければならない。ここで採択され続けないとプロジェクトが終了となるため、プレゼンの期限内までに事業を進めていかなければならなかった。仕様を変更したり、急ぎで対応したりする必要がある場合も、すぐ担当者に状況を伝えられるようなスピード感を確保したかった。

Lancersでこう解決!

自分たちの得意な領域以外の業務を単発で依頼し、リソース面をカバー

営業や市場調査、翻訳など、経験豊富なフリーランスにお願いすることで、開発に集中できるようになった。

スピードを緩めずに開発が進行できた

ウォーターフォール型の開発ではなくアジャイル型の開発手法を取っているので、仕様や方向性の変更も多々ある状態だった。その中で以下の2つの方法でスピード感を担保できた。

[1]フリーランスと直接やり取りができる(制作会社や開発会社との仕事だと営業やディレクターが間に介在することでスピードが落ちたり、意図が伝わらなかったりする)

[2]複雑な発注手続きがなく、依頼までスピード感をキープできた

新規事業創出のメンバースキルが偏りがち。リソースやスピードを確保して開発を進めたかった

(左)統括機能本部 開発戦略室 事務局の皆川達也さん、(中央)小野拓洋さん、
(右)野村真成さん

――今回、フリーランスを活用しようと思ったきっかけを教えてください。

野村:きっかけは大きく2つあります。1つ目が新規事業創出に必要な人員が不足しがちだったからです。現在、各チーム4名ずつのメンバーで活動しているのですが、全員が社内公募で集まった技術職。もともと自動車の開発を担当していたので、その分野については得意としていますが、営業や市場調査、インタビューといった他分野を経験していないメンバーがほとんどでした。

新規事業創出プログラムは時間が限られており、経験不足と感じる分野にもチャレンジしないといけないし…。専門スキルのあるメンバーに不得意な部分をカバーしてもらいたいという気持ちがありました。

小野:例えば、全世界に提示するデスクリサーチ資料を作成する場合、市場調査のスキル+英語も得意でなければなりません。時間も限られている中での調査となると、どちらのスキルも持っていないと作成に時間がかかると感じました。

もちろん、翻訳や市場調査の分野を得意とするメンバーは社内にいますが、それぞれの業務があるので新規事業創出を手伝うためのリソースをタイムリーに確保することは難しいです。

野村:2つ目が、スピードを落とさず事業を進めたかったからです。3ヶ月に一度、定期的に事業プランの進捗を社内でプレゼンする必要があり、期限内までにスピード感をキープしながら開発を進行しなければなりません。

ですが、新規事業検討の場合、仕様変更も多いのでもともと依頼していた内容から変更するケースがあります。そんなとき、すぐに「ここを変更してほしい」と伝えられて、対応がしやすい必要がありました。コンサルティング会社を挟むと伝言ゲームになり、意図が伝わらないことも多いです。直接フリーランスの方とやりとりすることで、スピーディーに業務が進行できる点に魅力を感じましたね。

――Lancersを利用しようと思った決め手を教えてください。

皆川:これまでさまざまなコンサルティング会社やクラウドソーシングの会社と比較してきましたが、契約形態が群を抜いて良かったからですね。

弊社では、まだフリーランスの方個人と直接契約は非常に難しいです。ですが、リソースの問題、スピードの観点からフリーランスは活用したいと考えていました。そんな中、Lancersの大手法人向けに高スキルのフリーランスを一括管理してくれる『Lancers Enterprise』というサービスがあることを知りました。

これは、弊社とLancersで法人間契約ができ、担当のスタッフが高スキルフリーランスを選定してくれるサービスです。発注、報酬の支払いまで全て一括でサポートしてくれるため、契約上で抱えていた課題がクリアになりました。業務委託の際に発生する複雑な手続きもカバーしつつ、フリーランスの方とは直接やりとりができる点は唯一だと感じています。

Lancersの利用で課題がクリア。品質向上にも繋がった

――実際にLancersを利用してみて、いかがでしたか?

皆川:これまで、市場調査、リサーチ、翻訳、文字起こしなどの単発の作業を依頼させていただきました。利用した結果、当初抱えていた新規事業創出における人員不足の問題は解決し、開発スピードが向上したと感じます。

例えば、市場調査をコンサルティング会社に依頼した場合、意見やアイデアはいただけますが、膨大な時間とお金がかかります。ですが、単発の業務だけでしたら、フリーランスに気軽に依頼が可能。『Lancers Enterprise』のおかげで窓口があるため、相談すればすぐに専門スキルを持った人材を提案いただけました。

最初にお伝えした通り、新規事業創出だからこそ、社内で進捗を報告しなければなりません。もし他の会社に依頼をしていたら、人材確保までに時間がかかり、開発まで間に合わなかったかもしれない…とも思います。

小野:また、品質も確保できました。以前、海外出張に行く際に英語翻訳した資料作りをランサーさんに依頼しました。当時は時間もなく、英語もそこまで得意ではなかった状態。自分で資料作りをしていたら相当大変だったと思いますし、伝わる英語ではなかったかもしれません。

単発の発注は人員不足の解消・業務スピードが上がるだけではなく、クオリティも確保できるのは大きいと感じました。

新規事業創出する際のフリーランスを活用するときのポイント3つ

――他の企業がフリーランスを活用する場合、どんな点に注意したらいいでしょうか?

皆川:まずは上層部の理解を得るために、メリットを提示しましょう。
フリーランスへの発注に慣れていない大手企業の場合ですと、「そもそもフリーランスってなに…?」と不安になるケースも多いです。

一般的な企業では、発注する際に「発注部門」とそれを承認する「主管課部門」と、「購買部門」など担当が分かれていますよね。それぞれの管轄で確認して承認して…という流れになるので、社内のプロセスを円滑に回すためにも、事前説明は必須です。我々も説得に約2ヶ月はかかりましたから(笑)。

そのため、フリーランスを活用することで一体どんなメリットがあるのか。「お金・人材のリソース不足を解消できる」「開発スピードが上がる」「発注までのプロセスが楽」といった、「Lancersの利用によって、安い・早い・そして品質保証まで可能」といった実績をデータで提示できるといいと思います。

野村:ほかには、小さな業務から依頼可能であると伝えること。
いきなりアプリ開発などの大きい案件をフリーランスに依頼するとなると、上司の承認は難しいです。そのため、まずは市場調査や翻訳、文字起こしといった単発なコンテンツを依頼できる可能性を提案すると安心してもらいやすいです。一度事例や実績ができると、導入がスムーズに行くのではないでしょうか。

小野:ただし、あらかじめゴールやターゲットが確定している事業は注意が必要です。
例えば、私たちのチームのように、ゴールがまだ決まっていない新規事業検討の場合だと、フリーランスの方とコミュニケーションを取りながら臨機応変な対応が必要です。

ですが、あらかじめゴールが決まっている事業の場合だと、フリーランスに一発発注を行い、その後何もフォローしないケースもあります。あとから「期待していた品質と違う!」と感じ、フリーランスの活用をやめてしまう恐れも。なので、コミュニケーションを取りつつ、試行錯誤しながら事業を進められるチームのほうが、フリーランスは合うと思いますね!

フリーランスの活用で、開発の成功確率も上がる!?

――Lancersの利用で今後どんな可能性が広がると思いますか?

小野:事業の“成功確率”が高められると思います。例えば、開発で5案試したいと思ったとき、最も成功率が高い案を自分たちで試しつつ、最優先ではないけれど、成功確率を上げるために一度試してみたい案をフリーランスの力を借りて検証できます。

人数が少ない新規事業創出だからこそ、多くのアイデアを確認したい。他の案を外部に任せて検証することで、開発が進んでいくと感じていますね。

野村:他には、フリーランスの活用によって、仕事の選択肢や考え方が大きく変わりました。以前は、1〜10まで全ての業務を自分たちでこなしていました。しかし、フリーランスを活用することで、1と2の業務は他の人にお願いできるなと、仕事をうまく切り分けられるようになり、仕事のやり方の幅が広がったと思います。

また、通常の開発でしたら、「この日までに開発を終わらして…」と想定できましたが、新規事業創出は突発的なトラブルも多いです。そんなときに「急ぎでこれをお願い!」という発注ができるようになると、予定外のことが入っても対応できるような仕組み作りが生み出せるかと思います。

――今後、どのようにLancersを活用していきたいですか?

皆川:クラウドソーシングと聞くと、隙間時間に片手間で行っている…というような「簡単・安い品質」というイメージがあったのですが、今は「プロフェッショナルに仕事を依頼するプラットフォーム」だと感じています。

現在は主に単発の仕事を依頼していますが、ゆくゆくはアプリ開発など大きな案件も依頼できるようになりたいですね!

取材・文:田中さやか
https://www.lancers.jp/profile/sayakatanaka
テレビ番組制作会社の勤務を経て、2017年よりフリーライターに。働き方・生き方のジャンルをメインに取材やインタビュー記事を執筆しています。

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