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ニッケン刃物株式会社のご利用事例

クラウドファンディングで、目標額の16倍もの支援を獲得したニッケン刃物株式会社。商品の魅力を広く伝えるきっかけとなったのはPR動画でした。制作プロセスをひも解くと、目的達成に必要な動画制作のヒントが見えてきました。

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チャレンジを成功へ導いたのは、実力あるクリエイターからの提案

刃物の町として有名な岐阜県関市で創業し、70年以上の歴史を持つニッケン刃物株式会社。新製品のPRを目的に行ったクラウドファンディングで、目標額を大きく上回る1,600万円もの支援を獲得しました。

多額の支援を集めたのは日本刀型のペーパーナイフ。ユニークな動画が話題を呼び支援を後押ししたのだそうです。

実はクラウドファンディングも動画制作も初の試みだったという同社。クラウドソーシングで目的に沿った動画を作り上げ、プロジェクトを大成功に導いた要因は何だったのでしょうか。

ニッケン刃物株式会社 取締役 専務 熊田 祐士さんと、ランサーとして動画の制作に携わった4s Production 代表 中沢 淳さんにお話を伺いました。

動画制作経験の少なさが自由な提案を促すポイントに

ニッケン刃物株式会社 取締役 専務 熊田さん

ーーなぜ制作会社ではなく、ランサーズでご発注くださったのでしょうか。

熊田:2年前に日本刀をモチーフにしたはさみを作ったところ、海外の方を中心に人気が高かったんです。これがきっかけでクラウドファンディングにもチャレンジしてみようという話になりました。

クラウドファンディングをするなら商品動画があったほうが支援が集まるだろうと思ったんですが、動画制作は初めてでして。どういうものをどういう流れで作るのかを相談しながら進められる相手を探していました。これを関市の経営相談所に話したところ、クラウドソーシングなら沢山のクリエイターが登録していると教えてくれたんです。

「動画制作が初めてで相談しながら進めたい」と書いて募集をかけたところ、30名ほど、想像していた以上にご提案をいただけました。その中でも中沢さんのご提案が、文面でも伝わるくらい一歩踏み込んだものだったんです。この方はいいなと思って用意していた絵コンテをお見せしたら、改善アイデアをポンポン出してくれた。

ーー初めてなら初めて、わからないならわからない、教えてくださいと素直に言ったほうが良い提案が集まるんですね。

中沢:動画制作のご経験がない発注主だからといって、それを理由に提案を控えることはありません。こういった想像力を掻き立てる商品は、固定観念や制約のなさがむしろ魅力だったと思いますよ。日本刀のペーパーナイフのプロモーションなんて、面白いことができそうと思うじゃないですか。テンションが上がる案件かどうかって、クリエイターとしては大事な要素なんですよ。その点でこの案件は、面白い仕事になりそうと直感的に思って提案しました。

発注をいただく前に見せていただいた絵コンテは、商品をPRするだけの内容だったんです。もったいないな、と感じました。単なる宣伝に終始するのではなく、違和感が含まれているほうが面白くなるという感想を素直にお伝えしたんです。

熊田:イメージに近い他社動画も探してお見せしました。これを見て機材にかける費用についても言及してくれましたね。

中沢:見せていただいた動画どおりの表現ができるカメラを使ってしまうと、クラウドファンディングの目標支援額に対して原価がかかりすぎてしまうので、使うべきでないなと思ったんです。格好いい動画を作れば売れるというものでもないですから、今回は費用が押さえられるカメラで撮ってはどうかと伝えました。

熊田:アドバイスをもらいながら、出来上がる動画の大枠のイメージが掴めました。加えて、Lancer of the Year 2016 受賞者でもあり、商品PR動画制作のご実績もあるということで、ご経歴も魅力的でしたね。この人とならいいものができそうだと思い発注を決めました。

大胆な構想変更で、目的を見据えた動画へと昇華

4s Production 代表 中沢さん

――制作段階で意識していたことはありましたか。

中沢:撮り直しはお互いにデメリットになってしまうので、これは前もって認識合わせをしましたね。場所を借りて撮影するので、日数が伸びてしまうと費用がかかります。その時多めに撮っておくのはいいので、撮りたいカットがあれば先に教えてくださいとお話ししました。

熊田:撮影のためにスタジオを半日借りたんです。プロの人の撮影に立ち会った経験がないので、半日もあれば充分だろうという感覚でいたんですが、カツカツでしたね。これを想定していたんだなと、撮影のその場で実感しました。

中沢:複数回撮影すると追加費用がかかるというのは、ナレーションもそうです。何度も撮り直しが効かない分、複数パターンを1回で吹き込んでもらいました。例えば、映画予告風、クールな感じ、おとなしめな感じといったように。こうすれば選んでいただけますし、何より楽しんでもらえますよね。こうやって、予算内で熊田さんのご意見に沿ったものができるように意識していました。

動画はやはり見てもらえないと意味がないので、面白いか、誰かにシェアしたくなるか、という点にもこだわりました。商品紹介動画にありがちなテレビショッピングみたいな表現を削除したり、当初は2~3分程度のになる予定だったところを拡散されやすい1分程度にまで短くしたり。Webでのシェアを考えた場合、短時間で面白いと思われるほうが再生されたりシェアされやすいんです。素直にそれを熊田さんに伝えて、絵コンテから大幅に変えさせていただきましたね。

熊田:動画をどういう心理で見ているかなんて客観的に考えたことがなかったんです。確かに、面白いと思って見ていた動画でも「これ、1本何千何百円です」って出てきたら冷めるし、長ったらしい動画は最後まで見ないと思います。アドバイスがすごく納得できたんですよね。

納品物に留まらないクラウドソーシングの魅力

――クラウドファンディングを実施してみて、期待に対する結果はいかがでしたか。

熊田:個人のFBアカウントでの投稿を中心に、「いいね!」とシェアが自然に広がっていって、公開初日に目標額の100万円を達成しました。この勢いが注目されて、テレビ番組のトレンドを取り上げるコーナーで紹介もされたんです。1分程度だったんですが、これがきっかけで一気に動画再生数も増えて、支援者も増えました。公開最終日まで支援が続いて、ありがたいことに1,600万円もの支援が集まりました。

支援者の方と見本市などでお会いする機会があるんですが、動画おもしろかったねと声をかけていただくことが多いんです。こういう言葉を頂くと、動画が商品を印象づけたんだなと思います。

クラウドファンディングで1,000万円を突破したというのは、関市の中小企業ではなかなかないことでして、社内外から驚きとお褒めの言葉をいただきました。雑誌、新聞、テレビといったマスコミにも取り上げられたことで、関市の刃物業界での弊社の評価も上がりましたね。

――支援を集めるのみならず、市場での評価を実感されているのですね。このプロジェクトが成功した要因は何だったと思いますか。

中沢:初日に100万円を突破したとき、正直なところ、商品がよかったなと思いました。仕事上、あまりそういう風には言いたくないんですが(笑)。ビジネスとしての動画の効果って、数字としてはなかなか表せないのが本音です。ただ、純粋な動画による効果は図れないにしても、自分の知りうる知識と経験をもってお力になれる自信はありました。

熊田:中沢さんのような、成果につなげる知識やご経験を持ったクリエイターさんと出会えたことが大きいと思います。クラウドソーシングを知る前は、動画は要件を決めて制作会社に作ってもらうものと思っていましたから。

経歴やご提案内容が魅力的な人が複数いらっしゃいましたし、どう動画を作っていくべきか話して最後まで発注するか悩んだ方もいます。多くのクリエイターさんに質の高いご提案をいただけたからこそ、想像を上回るいい動画を作るに至り、この成果を得られたのだと思っています。

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