「仕事が増え、下請けを依頼できる外注先を探しているが、うまく活用できるか不安」
「発注側にまわったものの、“いいランサー”の見極め方が分からない」
リソース不足や業務拡大のために、外注を検討したり、取り入れたりしている企業も多いと思います。しかし、いざ始めてみようとしても活用の仕方や人材の選出方法が決めきれず悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。
今回お話を伺った片山まきこ様は、もともとランサーとしてライティングのお仕事を受注していました。2023年の冬頃からランサーズを“発注側”として利用し始め、SEOライティングの依頼をしています。「2回目の募集で自分とマッチするランサーと出会えた」と話す片山様は、“いいランサー”と出会うために日々どのようなことを意識して発注しているのでしょうか。さまざまなサービスがある中であえてランサーズを選んで利用している理由や、これから外注を始めたい方へのアドバイスなども伺いました。

最初はライターとして案件を受注。SEOライティングを発注するようになったきっかけ
──まずは片山さんがランサーズを利用し始めた背景を教えてください。
初めてランサーズを利用したのは今から10年ほど前です。出産をきっかけに働いていた会社を退職し、子育ての合間にお小遣い稼ぎができないか考えていました。ちょうど世間にクラウドソーシングが出始めた頃だったので、「私にも何かできることがあるかもしれない」と思いランサーズを利用し始めたんです。当時は主にライターとして活動していました。
──最初はライター側としてお仕事を受注する側だったのですね。発注側へまわったきっかけを教えてください。
「私一人では、これ以上は納品できない!」と思ったことがきっかけでした。
現在の会社に入社したのは5年前で、本業をする傍ら副業としてSEOライティングやwebデザインを請け負っていました。ある日お付き合いがある業者様から、webサイトのアクセス数を増やしたいとご相談を受けたんです。そこで記事の本数を増やす提案をしたところ「うちではこの本数は書けないから、片山さん書いてくれませんか?」と逆提案をいただきました。
しかし、すでに私のリソースは限界。「私が1記事に費やしている8時間のうち、3時間分を誰かが担ってくれたらもっと納品数を上げられるのに……!」と感じていました。そのときに、ランサーズなら昔の私のように、家事や子育ての合間でライティングの仕事をしたい方がいるのではないかと思い、発注者として利用しようと考えるようになりました。
──数あるサービスの中からランサーズを選んだ理由を教えてください。
過去に利用していた経験から、ランサーズは発注者やランサーの質が高い印象があったからです。さまざまなサービスと比較するため、ランサーズを利用する前に記事制作専門の会社に依頼したことがありました。しかし、レギュレーションを踏まえての柔軟性が感じられず、フォーマット通りの形式的な対応に違和感がありました。
発注者→ディレクター→ライターといった依頼構造だと、執筆者が変わる度に記事のクオリティに差が生まれてしまいがち。それならば私が直接ライターさんと知り合った上でディレクションがしたいと思い、個人の方に依頼できるサービスに絞って探すことにしたんです。他のクラウドソーシングも検討しましたが、文字単価が予算の2倍、3倍なところもあり……。最終的には「良い人と長いお付き合いがしたい」気持ちを第一に、質と予算面を総合的に見てランサーズを利用しようと決めました。
現在は私が業者様から受けたSEOライティングのお仕事を、月に1本発注しています。一緒に制作してくれる方はプロジェクト方式で募集して探しています。これまで6回利用していて、2回目の募集で案件とマッチするランサーさんと出会えました。現在はその方に継続して依頼しています。
相性の良いランサーと出会うために!チェックしたいポイント4つ
──2回目の募集で相性の良いランサーに出会えたのですね!片山さんは案件にマッチするランサーを探すときに、どのような点に注目しているのでしょうか?
大きく4つあります。1つ目は「人としてしっかりしているか」です。お互いを思いやる丁寧なメッセージのやり取りができるか、納期を守れるかなど、まずは仕事をする上で当たり前のことをきちんとできるかを基準にしています。
2つ目は「プロフィール画面が作り込まれているか」。本気で仕事をしたい方はマイページの一つ一つの項目に対して責任を持っています。具体的にはアイコン、職歴、自分が努力した証をアピールできる資格、過去の実績などの項目を丁寧に記載している印象です。クライアント(閲覧者)の気持ちになり、必要な情報が分かりやすいページを作れているかどうかは注目していますね。
例えば、アイコンはなるべく人となりが分かるものにするのがおすすめです。なんとなく「このような雰囲気なんだ」とイメージができると、お互いにミスマッチが起きづらいです。顔出しできる方は写真、難しい場合は顔のイラストや後ろ姿の写真などで工夫してみてください。
職歴も書ける範囲で書くのが良いと思います。例えば、保育士や不動産業界などで働いていた経験をお持ちの方であれば、記事を書くときにリアルな情報まで付け加えていただけます。そういう方をクライアント側としては重宝したいと考えていますね。
3つ目は「自分への守りが少ない人」。イレギュラーは誰にでも起こるもの。起こってから対応すればいいことや、「勉強中です」など、わざわざ書かなくてもいい部分をプロフィール欄に記載している方は、発注する側としてはお声がけするのに躊躇してしまいます。
最後は「提案文」です。「私のために提案文を作ってくれている!」と感じられる内容だと心が惹かれますね。例えば「不動産系の記事を書いてほしい」と募集したときに、「不動産業界で働いていました」「家を購入した経験があります」など、募集文を読み込んで必要な情報を加えたオリジナルの提案文が届くと、長いお付き合いができそうで依頼したくなります。
──発注者だけではなく、ランサーのためにもなるアドバイスをありがとうございます。現在継続して依頼しているランサーは、どのような点に惹かれましたか?
メッセージの丁寧さや雰囲気の良さだけではなく、ご自身で積極的に情報収集をしてくださっているところが素敵だと感じています。クライアントが求めている内容に対して、必要な情報のインプットとアウトプットを自発的に行ってくれるので安心してお任せできていますね。
──これまでの発注を通して、改めて感じたランサーズの良さを教えてください。
事務手続きが簡単なところです。手数料は必要ですが、ワンクリックで支払いが済ませられたり、案件の進捗状況が画面で見られたりするのは便利です。個人同士のやりとりでは不安に感じる事務手続きや管理面をカバーしてくれているので、優秀なプラットフォームだと思います。
また、このような取材によって「ランサーから発注者側にまわった事例」や「発注者・ランサーの心得」を広めてくださる点も魅力に感じます。記事を通して伝えていただけることで、ランサーさんのモチベーションアップや制作物、業界全体のクオリティ向上にも繋がるかもしれません。ただ登録を促すだけではなく、より良くしていこう!という姿勢が感じられる取り組みは、他社との差別化にもなるのではないでしょうか。
ランサーズ内で発注するメリットとは?検討している企業へ活用のアドバイス
──業務を外注するメリットについて教えてください。また、あえて“ランサーズ内”で発注するメリットは何だと思いますか?
外注のメリットは、「収入が上がる」ことと「自分の時間が空く」ことです。経費はかかりますが、単純に今まで5本納品していた記事が10本になると収入(売り上げ)が増えますよね。また1時間でも時間が空くと、自分の好きなことができたり、新しい仕事にチャレンジができたりします。将来への種まきをする時間が生まれるのがメリットだと思います。
ランサーズ内で発注する良さは「発注者実績」が貯められることです。評価や実績が詳細にプロフィールに記載されるため、ランサーさんから良いコメントをいただけると“このクライアントは仕事がしやすい”というアピールになります。評価が貯まった結果、相性の良いランサーさんに出会える確率も上がるため、どんどん良い仕事へと繋がっていく気がしますね。
──外注を検討している企業へ、活用のアドバイスをお願いします。
まずは「自分がされて嫌なことはしない」ようにしましょう。ランサーさんも発注者も人間ですので、自分が言われて・されて嫌なことはしないように徹底してください。
もう1つが「伝えたいことは言葉と視覚で説明する」です。自分が伝えたい意図は思った以上に伝わらないもの。目的や意図がズレないように、理由を丁寧に説明したり、言葉では伝えづらかったら画像や参考サイトを見せて視覚化したりするなど、伝え方を工夫してみましょう。共通認識を揃える努力をすると、求めている制作物と違ったリスクや、発注者側の修正の負担が減ると思います。
──外注を検討しているものの、なかなか最初の一歩目が踏み出せないことも。その場合は何がハードルになっていると思いますか?
大きく2つあります。1つ目は「経験」です。やはり発注経験がないと不安ですよね。ですがこれには解決策がありますよ!ランサーズをはじめ、他社から受けたお仕事の募集要項やコミュニケーションを参考にしつつ発注するんです。どのような要素が伝えられると分かりやすいのか、自分が受けたお仕事の経験をもとに考えてみると、発注しやすくなるかもしれません。
ただし、これは発注したい分野の一定のスキルを持っていることが前提です。目的や意図の理解、制作物をチェックするためのライティングスキル、業界の知識などが全くない状態だと、いくら型を真似しても難しいことも。まずはご自身に最低限の知識が身についているか、発注する前に振り返ってみましょう。
2つ目は「費用」です。外注はお金がかかるため、「損をしてしまわないか」と踏み切れない方も多いのではないでしょうか。その場合はあらかじめ「最悪なケース」を想定しておくと、発注しやすくなります。
例えば私の場合、想定外の記事が納品され、指摘をしても思うように修正指示が伝わらず、結局自分で書かないといけなくなったときが最悪なケースとなります。一から自分で書き直す場合に、経費を差し引いてもプラスで収まり、無事にクライアントへ納品できるようであれば、勉強料として支払えると考えていました。
問題が起こっても対応できるように、現在月1本の発注にしているのはそのためです。最悪なケースを想像し小さな発注からスタートすることで、リスクヘッジになり、費用面での不安も軽減するのではないでしょうか。
──ありがとうございます。最後に読者の方へメッセージをお願いします。
発注経験がないと最初は不安かもしれませんが、まずは失敗しても大丈夫な範囲でテストを3回してみることをおすすめします。業務の一部を任せられると時間が生まれて精神的にも余裕ができます。新しいチャンスも舞い込みやすくなりますし、良いランサーさんと巡り会えたら収入も上がります。将来の投資へと繋がると思うので、ぜひ小さく試してみてください。
取材・文:田中青紗
https://www.lancers.jp/profile/sayakatanaka
テレビ番組制作会社の勤務を経てフリーライターに。インタビュー記事、エッセイ、コラムなどの執筆をしています。
